これからの季節、お酒を飲むとなったら「まずは冷たいビール!」という方も多いですよね。
も、実はビールは「冷やさないといけない」わけではありません。海外、特にヨーロッパ旅行の際にビールを飲まれたことのある方はご存知かと思いますが、冷やさないビールを飲む習慣の国も多いのです。
この違いには、いくつかの要素が関係しています。
ラガーとエールでは適温が違う
一つはビールのスタイル。大ざっぱに言って、ラガー系のスタイルは冷やして飲むほうがおいしいといわれています。特にピルスナーのキレと苦味、炭酸の爽快感といった特徴は、冷やして飲むのに適しているからです。そして、日本で作られているほとんどのビールがピルスナースタイルのため、「ビールは冷やす」のが当たり前になったんですね。
それに対し、エール系のスタイルはあまり冷やさないほうがおいしく飲めます。これはエール系のスタイルそれぞれのもつ香りが、低温よりも常温付近のほうが感じやすくなるからです。
そして、海外にはエールスタイルのビールも多いので、海外旅行では日本人にとって「ぬるいビール」と感じられることも多くなるわけです。
意外な影響、気候や温度
もう一つの大きな理由として、飲む場所の気候も影響しています。
日本だけでなく東南アジアなど、雨が多く湿度の高い土地では暖かい・暑い時期が多くなりますよね。となると、ビールに限らず冷たいものを飲みたくなるのはごくごく自然なこと。
一方、ヨーロッパではアジアよりもずっと冷涼な気候ですから、そもそも飲み物を冷やすという感覚があまりないわけです。もちろん、冷たい飲み物がないわけではないんですが。
ヨーロッパでは日本よりもホットカクテルのバリエーションが多いのも、このあたりが理由なのでしょうね。ビールを温めてシナモンなどを加える「ホットビール」という飲み方もあります。
自分の「ツボ」な温度を探してみよう
このへんのことがそれぞれの国で習慣化しているので、日本では「冷たいビール」が当たり前になり、ヨーロッパでは「常温に近いビール」が好まれるようになったというわけです。
一応「このスタイルはこのくらいの温度で」という細かな基準もあるのですが、日本で飲むときは、基準よりもやや冷やし気味にして飲むとおいしく感じられることが多いでしょう。
家飲みであれば、野菜室くらいの温度が無難です。もちろんキンキンに冷やすのがお好きならそれで良いですし、現地流の「常温よりやや低め」くらいでも構いません。
最近の機種だと野菜室でも結構冷えることがありますので、説明書を一度読んでおくといいかもしれませんね。
また、輸入ビールの場合、輸入元が日本語のラベルをつけてくれていることも多いですが、よく見ると以下の写真のように「飲み頃は○○℃です」と書いてあることも。そういった表示を基準にしてもいいでしょう。
冷やしすぎてしまったら、飲むときに少し時間をかけて温度と味の関係を確かめてみるのもアリ。私も一度やってみたことがありますが、同じ銘柄でも温度によって結構味が変わって面白いものです。
「こうしなきゃダメ!」という決まりはないので、ご自身が「おいしい!」と感じられる温度を探してみてはいかがでしょうか。
次回はビールを飲むときに欠かせない、とあるアイテムについていろいろご紹介する予定です。お楽しみに!