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第2話:急接近
2018-07-27 13:007あれから夏の日差しが強まっていくのと同じように、私と彼の仲も急速に深まっていた。
「今日、会いに行くから」
彼から突然電話がかかってくる。
「えっ、ほんとに? 今日のいつ?」
すっぴんにラフな格好でアイスを頬張っていた私は焦って聞き返す。彼の前では最大限可愛くいたいから、準備は入念にしておきたいところだ。
「え、今」
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る。相変わらずの彼の行動の速さに驚く私。全部全部が彼のペースだけど、それも何だか心地よいのだった。
今日は珍しく彼の提案で近所のゲームセンターに行くことになった。彼はアニメやゲームが好きで、私と意外にも趣味が合う。
早く早く、と急かす彼の横で急いで化粧を済ませた私は、うっかりマスカラを忘れてしまいテンションが下がる。
「なんか、今日元気なくない?」
「だって……急ぎすぎてマスカラ忘れたー」
と、ふいに彼が立ち止まる。じっ、と私の顔を -
第1話:出会い
2018-07-20 12:0023「今日から俺がお前の彼氏だから」
クールで、しかも何故だか上から目線で……でも、何だかめちゃくちゃ気になる。
コクリ、と頷きたい気持ちを抑えて、胸の高鳴りを隠して、私は言った。
「……それも、悪くないかも」
こんなんじゃ可愛くないなぁ、なんて思いながら。
こうしてこの夏、私は運命のヒトに出会ってしまった。
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絶賛干物女子満喫中。他人になんて到底見せられない、すっぴんに寝起き頭にジャージで、私は夏休みの一週間目を浪費していた。
ああつまらない。友達は気を遣うから疲れるし、彼氏なんてできそうもない。
とはいえ、まだまだ夏休みは長い。
「ふぅ……」
真っ白なカレンダーを見て、ため息をつく。去年の夏もこうだった。
今年の夏も、来年の夏も、こんな風に過ぎていくんだろう。
そういえば、もう昼だ。いつまでもこんな恰好をしてベッドでグダグダしている
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