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新仕分け会場にニコ生・コメント流れる、視聴者アンケート参考に議論
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新仕分け会場にニコ生・コメント流れる、視聴者アンケート参考に議論

2012-11-20 17:53
    3年前に誕生した民主党政権が精力的に取り組んできた「事業仕分け」が、2012年11月18日、ついに最終日を迎えました。今回は、11月16日から3日間にわたって、東日本大震災の復興予算の有用性などを再検証してきましたが、「新仕分け」と銘打っているだけあって、初の試みが実施されました。会場内に設置した4台の大型液晶から、ニコニコ生放送のコメントや、Twitterのタイムラインが流れたのです。仕分け人はこれらのネット上の反応に取り囲まれる中で、仕分け作業を進めることになりました。

    【参考HP】
    ・行政刷新会議「新仕分け」特設ページ - 内閣府
    http://www.cao.go.jp/sasshin/shin-shiwake2012/index.html
    ・ニコ生とTwitterが流れる会場で議論 「新仕分け」で初の試み、「民主主義2.0」実現か!? - ねとらぼ
    http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1211/16/news113.html

    今回の取り組みを受けて、最終日の18日には「仕分けを仕分ける」というお題で特別セッションが開催されました。これは、「新仕分け」の手法について、その意義や可能性などを議論するという内容です。岡田克也副総理や、編集者・ライターの速水健朗さん、社会学者の古市憲寿さんらに交じって津田大介も加わり、活発な議論が交わされました。

    また、今回の新仕分けは、ニコニコ生放送でのユーザーのコメントや、アンケート結果が会場で読み上げられたという意味でも画期的でした。インターネットの意見として質問や、ニコニコ生放送のリアルタイムアンケートの結果が、仕分け人の席に座っている意見の一つとして、ネットの意見や意志が可視化され、一つ、空白の席としての『ネット代表』の席があって、参考意見としてネットを通じて参加できるようになった。仕分けがシステムとして完成形に近くなってきたように思います。

    特別セッションの中で、津田が「新仕分け」のネット利用の試みについて発言した主な部分は以下の通りです。

    ■「暇な人なら全部見ることができる」ことが大事

    津田:今、速水(健朗)さんの方から「ニコ生のレベルが低いよ」「コメントがひどいじゃないか」みたいな話もあったんですけど、僕はある意味でいうと全く逆の感想を持っています。今日の最後の仕分けで取ったアンケートで、「今回の『新仕分け』のように、オープンガバメント(政府の積極的な情報公開)の取組みをどう思いますか?」というアンケートをやったら、思った以上に(評価する)感想が多かったんですね。「非常に意義がある」が56.8%、「まあまあ意義がある」が23.2%。両方合わせて8割近くが評価しています。

    もう一つ、行政事業レビューシートについてのアンケートではより評価が高くて、「(このように)国がやっていることや、税金の使われ方について公開することをどう評価するのか」という質問に対して「非常に意義がある」が71.7%、「まあまあ意義がある」が18.6%でした。約9割が意義を認めるということで、みんな文句を言いながらも、取り組み自体に対しては、非常に評価して頂けた。これは意義深いことだなと思います。
     
    ツイートを見ていても『少しでも政治に参加しているという気持ちを味わうことができた』とか『政策ってこんな雰囲気で議論されているのかって分かる』とか。ただ、見せ方の問題でいえば、(仕分けは)仕組み上、1時間ってバンバン切っていかないといけないので議論が深まることはできない。これは事業仕分けへのネガティブな批判として言われるんですけど、1時間で切らないといけないスピード感があるからこそ緊張感がある議論があって面白いし、それ自身がたくさんの人に見ているコンテンツ価値につながるんだと思います。

    先ほど岡田副総理の方から発言がありましたけど、僕が「すごい象徴的だな」と思ったのは、今までは永田町や霞ヶ関だけで行っていた予算編成という物に、第三者が介入するということです。それがネットに開かれるようになって、1回目から実験的に行われてたけど2回目からはマストになりました。それが見ようという気になれば毎日8時間に及ぶ議論を全部、動画が公開されているわけだから、暇な人は見ることができるわけですね。そうやって公開されていることが何よりも重要です。

    それにプラスして、ある意味で「最後の仕分け」とも言われている今回、インターネットの意見として質問や、ニコニコ生放送のリアルタイムアンケートの結果が、ここで実際に読み上げられました。ここの仕分け人の席に座っている意見の一つとして、ネットの意見や意志が可視化されて、一つ、空白の席としての「ネット代表」の席があって、参考意見としてネットを通じて参加できるようになった。そういう意味でシステムとしても完成形に近くなってきたんじゃないかなと思っています。

    ・[ニコニコ生放送]津田の「全く逆の感想を持っています」発言から視聴 - 会員登録が必要
    http://live.nicovideo.jp/watch/lv115221366#34:41

    ■フワっとぶつけるのが「これからのメディア」

    津田:さっき岡田克也副総理の閉会式のあいさつで、「無駄な予算の一刀両断じゃなくて、個別の案件に関して難しい問題を抱えているということが明らかになったということに意義がある」とおっしゃっていましたが、僕もその通りだと思います。情報がどんどん公開され、プロセスが透明化していくということは、いろんな人が関わり合いになるということでもあるんだけど、自分たちでコメントすることも含めて、ネットを使って参加するきっかけが増えていきます。でも、そうすると、古市(憲寿)さんの話とも関連してくるんですが「お上が悪い」「政治が悪い」って言ってられなくなるんですね。関わる機会が出てくるということは、今までは飲み屋で政治放談していれば良くて、それがある種の世論として消費されていたんですが、自分が関わって知ったことによって「結構、問題って複雑なんだね」というのに気が付いたときに、初めて進み出すこともあったわけですから。

    (ネットでコメントを募集することで)しょうもないコメントもたくさんあったと思うんですね。ツイッターにしてもニコ生にしても。でも今回、この試みで「良かったな」と思ったのは、どちらかというと実名に近くてコメントの質が比較的高いと言われているツイッターと、ニコニコのコメント、両方あったのが良かったと思っています。意外と「おっ」と思うような意見はニコニコの方にあったりするんですよね。実名・匿名どっちも参加できるということによって(メリットを感じています)。

    アイデアレベルだと良い物もあったりするので、「このアイデアは使えるんじゃないか」「いい質問じゃないか」と、そういった物の中からきちんと吸い取る。それってネットで可視化された「世論の上澄み」だと思うんですね。その「世論の上澄み」をカッコ書きの【世論】として、「これが一つの【世論】ですよ」と、「聞くべき意見がこんなにありますよね」という物を政治家や官僚の方にフワっとぶつける。それがこれからのメディアの仕組みなんじゃないか。それが本来、マスメディアがやんなきゃいけない一番重要な仕事に、今後なっていくと思うんです。

    今回、行政刷新会議はものすごく良い仕事をしたと思います。だけど、既存のマスメディアは新しい取り組みとか、ネットから上がって来た物の可能性とかをほとんど報じていません。その意味で僕はマスメディアに関しては今回は落第だと思います。マスメディアは反省して欲しいですね。

    ・[ニコニコ生放送]津田の「僕もその通りだと思います」発言から視聴 - 会員登録が必要
    http://live.nicovideo.jp/watch/lv115221366#1:02:56
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