桜の季節もそろそろ終わり、これからゆっくりと新緑の季節へ向っていく。
3月には全国各地で観ることのできた『WE ARE X』も、上映館はピーク時の約3分の1程と、だんだん限られてきた。
それでもまだ、X JAPANとの新たな出会いが、今も各地で生まれていることだろう。
何より、ドキュメンタリー映画で2ヶ月以上のロングランというのは、やはり特別なことなのだと思う。
初めて観た時の、あの衝撃はやはり正しかったのだ。
X JAPANの歴史は壮絶で、YOSHIKIの人生は凄まじく、キジャックによる映画のクオリティーは圧倒的で、未来を切り開いてくれる音楽の力は素晴らしい。
おそらく、観た人の衝撃と感動がリピーターを生み、口コミが新たな観覧者を生み続けているのだろう。
これまでX JAPANに縁のなかった、何人もの20才前後の若者へ、僕は『WE ARE X』を観ることを薦めた。
彼ら彼女らの観た感想は、やはりとても熱いものだった。
皆、何かしらクリエイティブな活動をしている子たちだ。
YOSHIKIの生きる姿、X JAPANの壮絶な過去と今のとてつもない大きさに、それぞれが深く学び、吸収したことだろう。
近々、僕はキジャックへ手紙を書こうと思うのだけれど、その手紙には、前回書いた『YOSHIKIという人間へのキジャックの驚き』など、僕が何度か観るうちに理解した『WE ARE X』の素晴らしい本質に加え、日本でこの映画が、観た人たちに何を伝え、どんな作用をもたらしているのか、といったことについても、僕なりに色々な声を集めて書こうと思っている。
きっとそれはとても意味のあることだと思うのだ。
というのも、映画を観てすぐに僕がキジャックに送ったメールが、キジャックにとって、ちゃんと意味のあるものだったことが、後からわかったからだ。
まずは僕とキジャックの、メールのやり取りを記載してみたいと思う。
Hello, Mr. Kijak. How are you?
As for me, Finally I've got an opportunity to watch the movie ”We are X” at the Japanese Premier a couple of days ago.
First of all, let me say huge thank you for your fantastic movie. Well, could I possibly have some more time to express how much I was impressed with it? Honestly it was absolutely marvelous and beautiful, however as I mentioned my current feeling is indescribable. Throughout the movie I felt great amount of energy and passion, so I'm still massively excited. Well, No words can describe how much I was moved and No one still can stop me due to my strong enthusiasm. lol
The only thing I can mention to you now is that your great movie did touch my heart strongly but beautifully, furthermore even though both X (X JAPAN) and myself had a lot of tragic histories and had many difficulties with their lives, your movie convinced me that our ways of lives had been right. Therefore I'm sure this movie is going to lead a lot of people who had watched or will watch the movie to step forward into delightful future positively. I think this movie is a great example to X fans and non X fans.
In addition I would say this exclusive chance to make the film with you developed Yoshiki surely.
Once again, big thank you for creating such a wonderful movie and truely understanding X (X JAPAN). I am deeply grateful to you for your warm kindness.
Best regards.
〜 僕はやっとプレミア試写会で『WE ARE X』を観ることができました。
作品から伝わるエネルギーがあまりにも強くて、感動に震える心や感想を言葉で表現するのには少し時間がかかりそうです。ただ、この素晴らしい作品が僕の心を強く動かして「Xと自分の人生が間違いではなかったんだ」と確信したように、きっと観る人たちの心を、輝く光の方向へ強く引っ張っていくに違いないと思います。また、僕はこの映画によって、YOSHIKIが大きく進化したのでは、と思っています。キジャック、あなたが素晴らしい作品を創ったことに、僕は深く感謝します。ありがとう! 〜
そして、キジャックから次のような返信があった。
Dearest Tsuda, thank you so much for your message! Sorry it took so long to reply, the London release has kept me very busy!
As someone who did not know X Japan before beginning this film, your kind and generous words truly means so very much to me. It was a huge responsibility for a Westerner to take on this story.
I thank you for being a part of it and for helping me to tell the story authentically.
I only wish I could have been in Tokyo to celebrate with you.
Again, many thanks for your message.
My very best,
Stephen
(返信が遅れたことについて…)〜 Xという存在を知らなかった人間(注釈:キジャック自身のこと)にとって、インタビューの際にあなたが語ってくれた、温かく、想いのこもった言葉の数々は、本当に意義深いものでした。
日本人ではない私たちが、この壮大な物語を手がけるのはとても大きな責任が伴うことでした。
それに対して津田さんが映画製作に協力、真実を語って下さった事は、大きな助けとなりました。
東京で津田さんとお祝いをしたい気分ですが、それが今すぐできず、残念です。
この度は本当に本当に、ありがとうございました。
そして、このやり取りの後、イギリスのあるWeb雑誌でキジャックがインタビューに答えた際、彼は僕のメッセージを引用してくれていた。
インタビュアーの、
『WE ARE X』はサンダンス映画祭をはじめ、数々の賞を受賞し賞賛されています。
このスーパーバンドの(メンバーの)映画に対する反応はいかがでしたか?
という質問に対して、キジャックは
悲劇的な過去がありながらも、この映画によって、彼ら(Xのメンバーと津田氏)が歩んできた道は間違いではなかったんだ、と確信できた、と・・・
と返している。
以前この連載で書いたように、『WE ARE X』の素晴らしさはキジャックの才能によるところが大きいと思うのだけれど、キジャックがX JAPANを知らなかったこと、そしてYOSHIKIが制作についてキジャックに一任したことが、キジャックの才能を存分に『WE ARE X』で光らせる結果になったと僕は思っている。
その代わり、キジャックはある意味、孤独でもあったはずだ。
大きな責任に対する心の重圧も計り知れないものであったろう。
だから僕は、それらを乗り越えて『WE ARE X』という素晴らしい作品を創り、世の中に送り出してくれたことへの感謝を、キジャックへ伝えたいと思う。
映画『WE ARE X』が日本でどのように素晴らしい結果を生み出しているのかを、伝えたいと思う。
何より、同じクリエイターとして心から沸き起こる尊敬の気持を、伝えたいと思う。
そして、それらを伝えた後
改めてキジャックにお礼を伝えようと思う。
X JAPANを
YOSHIKIを
そして運命共同体を
深く理解してくれてありがとう・・・と。