先週末、X JAPANのドキュメンタリー映画『We Are X』が、ワールドシネマドキュメンタリー部門受賞候補作品としてサンダンス映画祭で公開上映された。
この映画の内容はまさに『Xという物語』そのものだ。
実は『We Are X』には、僕のインタビューも登場する。
どこがどう使われたのかは、まだ観ていないから知らないのだけれど。
昨年の初夏、来日した監督スティーブン・キジャックとの会話という形で、僕はインタビュー撮影に臨んだ。
スティーブン・キジャックが僕に尋ねる内容も、それに対する僕の熱い答えも、みんな「すべての始まり」と「夢と夕陽」に書いたものだった。
インタビューを受けて僕が感動したのは、キジャックがXというバンドのことを、そしてXを支え続けた運命共同体のことを、深く理解していることだった。
Xはすべてが生きている。作品も表現も、メンバーの人生もそれを愛で支える運命共同体も、そしてその物語も・・・。
僕はキジャックに熱くそう伝えたけれど、僕が話さなくても彼は充分そのことを理解していた。
そう。
だからこそ、彼は『We Are X』という映画を創ったのだった。
それがわかって僕はインタビューの後、とても幸せな気持になった。
1988年から28年経った今、世界中に『Xという物語』が発信され始める。
何と素晴らしいことだろう・・・。
この連載「夢と夕陽」と「すべての始まり」で、僕は様々な角度から『Xという物語』を書いてきた。
さて、【夢と夕陽】はいよいよ最終章となるのだが、最後に、ある文章の解説をしてみたいと思う。
1988年から「文字を書かない作家」として『Xという物語』を心の中に刻み続けた僕だが、そんな中、唯一文章として書き残していたものが、アルバムなどのブックレットに記載されているライナーノーツだ。
それぞれのライナーノーツは「Co Producer」としてメンバーと共にアルバムを制作していた僕の立場からアルバムの解説をしたものだが、実は意図的に「今のX」と「未来のX」、そして僕のXへの深い想いを、その文章の中に忍ばせていたのだ。
今回は『夢と夕陽』の締めくくりとして、今まで僕の心の中だけにあった『ライナーノーツに込めた秘かな想い』を綴っていきたいと思う。
(解説するライナーノーツは「BLUE BLOOD」「Jealousy」「VISUAL SHOCK Vol.4 破滅に向かって 」「ART OF LIFE」の4作品に掲載されたもの)
1. 「BLUE BLOOD」のライナーノーツに込めた想い