音楽業界の中で僕が、才能あるアーティストを見つけて世に送り出す
当初はエックスというバンドのリーダー、またはドラムスという位置づけで受けとめて
いたのですが、ちょうどその当時、彼らがレコーディングしていたインディーズアルバム
「VANISHING VISION」の制作中音源を預かった時のこと。会社に戻ってから聴くのが
もどかしく、地下鉄に乗ってすぐにヘッドホンで聴き始めた途端、僕は驚きました。
作曲者のYOSHIKIが、選ばれた人間だと気づいたからです。
まだまだ僕の感覚では荒さが目立ちましたし、彼自身が、納得のいく名曲を生み出せて
いると思っていないのでは、という印象を感じ取りましたが、とにかく圧倒的な曲を生む
ことのできる、数少ない選ばれた才能の人間だということは、音源を聴いてすぐにわかり
ました。
「YOSHIKIは、現代のベートーベンかも知れないな・・・」
そう思ったことを覚えています。
「すべての始まり」など過去、エックスについて僕が書いてきた文章の中では、あまり
触れていませんが、「YOSHIKIが現代のベートーベンになること」が、その頃から僕の大
きな、そしてとても大切な目標になりました。
いること。
紛れもなく、YOSHIKIがその一人であること。