2013年10月に更新されたブロマガをもとに編集しております。




音楽業界の中で僕が、才能あるアーティストを見つけて世に送り出す
立場になっていた時に出会ったのが、YOSHIKIでした。

 当初はエックスというバンドのリーダー、またはドラムスという位置づけで受けとめて
いたのですが、ちょうどその当時、彼らがレコーディングしていたインディーズアルバム
「VANISHING VISION」の制作中音源を預かった時のこと。会社に戻ってから聴くのが
もどかしく、地下鉄に乗ってすぐにヘッドホンで聴き始めた途端、僕は驚きました。
 作曲者のYOSHIKIが、選ばれた人間だと気づいたからです。


 まだまだ僕の感覚では荒さが目立ちましたし、彼自身が、納得のいく名曲を生み出せて
いると思っていないのでは、という印象を感じ取りましたが、とにかく圧倒的な曲を生む
ことのできる、数少ない選ばれた才能の人間だということは、音源を聴いてすぐにわかり
ました。
 「YOSHIKIは、現代のベートーベンかも知れないな・・・」
そう思ったことを覚えています。

 「すべての始まり」など過去、エックスについて僕が書いてきた文章の中では、あまり
触れていませんが、「YOSHIKIが現代のベートーベンになること」が、その頃から僕の大
きな、そしてとても大切な目標になりました。

 2人で音楽についてゆっくり話を始めてみると、やはり思っていた通りでした。

 とにかく自分自身が心の底から感動できる作品を生み出したいこと。
 そのために命をかける、という強い想いで音楽をやっていること。
 まだ、100%納得のいく作品を生み出せているわけではないこと。

 その想いに応えるように、僕は話しました。

 自分が、心が泣くようなとてつもない名曲が好きで、それを生む才能を求めて生きて
いること。
 紛れもなく、YOSHIKIがその一人であること。
 だからバンドのあり方やジャンル、偏見などには一切とらわれずに、とにかくYOSHIKI
自身が納得のできる名曲を生むことを、一番大事にして欲しいこと。


 そして僕達は、ふたつのイメージを共有しました。