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解説テキスト『100年残る音楽の魅力 ~ YOSHIKIの限りない可能性3』
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解説テキスト『100年残る音楽の魅力 ~ YOSHIKIの限りない可能性3』

2016-03-15 17:00
    2013年10月21日に掲載されたブロマガを基に編集しております。




    1988年夏。
     河口湖の合宿で「メジャーキー(長調)の名曲バラード」の誕生を待っていた僕を
    ある夜、YOSHIKIが「すぐに部屋に来て!」と呼びました。
     
     もしや、と予感がして、急いでYOSHIKIの部屋に入ると、
     「ねえ、曲できたから、聴いて」
    と、YOSHIKI。

     (きっと、そうだ!)
     咄嗟に、期待と不安を隠し、
     「ああ、あのメジャーのバラード?」とさりげなく聞くと、
     
     「そうそう。まだサビしかはっきり決まってないんだけど、聴いて欲しくて」
     
     (とうとうこの日が来たか…)
     僕の心は、激しく揺れました。
     バラードは、メジャーキーのバラードと2人で決めていましたから、YOSHIKI
    としては初めての試みになるはずです。



    今まで聴いたことのない、YOSHIKIのメジャーバラード。

     たくさんの名曲を聴き、共有して、しかも、そのどんな曲とも似てない、まったく
    新しい名曲を生もう、と決めた。
     そんな、普通のアーティストには不可能に近いことを、ちゃんと目標にして、合宿
    に入った。

     何日も待ったけど、いよいよその名曲のサビができた、というYOSHIKI。
     この曲を聴けば、僕の考えが正しかったかどうか、決まるんだ・・・。


     もし期待はずれの曲だったら、僕はどうするんだろう・・・。

     本当に、僕が心の中で描いているXの未来はあるんだろうか・・・。

     いや、もし期待通りの曲だったら、これからどれだけ凄いことが始まるんだろう・・・。
     
     そういったことを、一瞬のうちに頭の中に浮かべ、でもそれとは裏腹にあくまで軽く
    明るい雰囲気で、

    「おー!聴かせて、聴かせて!!」

    と答え、イスに座る。

     「津田さん、いい? 
    弾くからね 」

     合宿中の、シンプルな宿泊施設の一室。
     調律も怪しい、アップライトピアノ。
     まだ23才のミュージシャンが、気を使わない26才のディレクターにオリジナル曲を
    聴かせるためだけの、ラフな演奏。
     でも・・・。
      
     
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