文藝春秋が芥川賞、直木賞のスポンサーを探しているという。すでに電通が動いていて、スポンサー筋の受けもいいらしい。
しかし、それでいいのだろうか。芥川賞、直木賞といえば、菊池寛が二人への友情の証として昭和10年に始めた賞。
制定を発表した10年1月号に菊池寛はこう書いている。
「主旨は、亡友を記念する旁々無名若しくは無名に近き新進作家を世にだしたい為である。(中略)賞金は少ないが、しかしあまり多く出すと社が苦しくなった場合など負担になって中絶する危険がある。五百円位なら、先づ当分は大丈夫である。表彰的効果はあると思っている。(中略)二つの賞金に依って、有為なる作家が、世に出ることを期待している。」
受賞作の発表を3月号(2月発売)と9月号(8月発売)にしたのも、物が売れない(雑誌も)ニッパチ対策。この辺にも菊池寛の優れた経営感覚を見ることができる。
第一回の受賞者は芥川賞が「蒼氓」の石川達三、直木賞が「鶴八鶴次郎」「風流深川唄」などの川口松太郎だった。以来、文学賞の最高峰として文学に関心のない向きもこの賞だけは知っていた。
その芥川賞、直木賞にスポンサーをつける!?
文藝春秋はそれほど「苦しくなってる」のか。スポンサーをつけて、スポンサーが関係ある作家を強力に押してきた場合、拒否できるのか。あれこれ勘繰られもするだろう。
それで文藝春秋にいくら入るのかは知らないが、愚挙と言うしかない。貧すりゃ鈍すると言いたくなる。
花田紀凱
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