先週まで、今回の総選挙の意義を見出すのは難しかった。というのも、本来あるべき最重要の争点が事実上、抜け落ちていたからである。

フクシマはなぜ争点にならないのか? メルマガ読者には繰り返しの説明になるが、私の指す「フクシマ」はすなわち「福島(県)」のことではない。

あの東京電力福島第一原発のもたらした惨禍のすべての事象を指す。そこには避難も、除染も、復興も、被曝も、育児も、産業も含まれている。

つまり、放射能に起因するすべての問題を「フクシマ」と呼んでいるのだ。

もう、お分かりいただけるだろう。それは福島という地域の問題ではない。東京、東日本、いや日本全体、海洋への放射線汚染水のリークを考えれば、世界全体の問題だから「フクシマ」なのだ。

さて、3・11以降の1年半というもの、私はその「フクシマ」を、国民的な議論の中心に置くべきだと主張してきた。

ところが、今回の総選挙では、その入口論である原発の問題ですら、各党のマニフェストではまともに差別化されていなかった。

ちなみに、私のいうマニフェストは本来的な意味でのマニフェスト(政権公約)であり、政権獲得可能な議席数を持つ政党の公約をそう指している。

つまり、今回の総選挙では、民主、自民、維新、未来の比較第4党(予測含む)までが、「マニフェスト」を出す権利を持つと個人的にみている。

その中で、これまでは未来を除く、比較第3党までの原発政策についてはほとんど差異がみられなかった。

ところが、「未来」の結党によってやっと最重要の争点がみえはじめた。