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評論家でジャーナリストの大宅壮一氏が「一億総白痴化」とテレビによる社会の浅薄化を喝破したのはいまから60年以上も前のことだった。
「テレビに至っては、紙芝居同様、否、紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって、『一億白痴化運動』が展開されていると言って好い」(大宅壮一氏「週刊東京」1957年2月2日号)
いま、その一億総白痴化の「化」は外れて、一億総白痴になったという。こう喝破したのは大宅氏の娘で、評論家の大宅映子氏である。
「もう『化』は取れているの。白痴、白痴、一億総白痴」(大宅映子氏『ニューズオプエド』)
新聞からラジオ、そのラジオからテレビへと、テクノロジーの発展によるメディアの進歩は確実に進んでいる。しかし、それは技術の話であり、中身の言論空間の健全性はむしろ失われているのではないだろうか。
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