「鬼は外、福は内」

京都に三年ぶりに本格的な「春」が戻ってきた。旧暦の新年を迎える立春の

2月2日、3日、古都の各所に節分の掛け声が響いた。

鬼の格好をした着ぐるみの大人たちは、子供たちや観光客の豆爆弾を食らっ

て逃げまとっている。寒中にありながら、コロナ前の古都の明るい風景が戻

ってきた。

そうした中で左京区にある聖護院門跡の節分は少し変わっている。「福は内、

福は内」と掛け声だけが境内に響いている。「鬼は外」が聞こえない。それ

ばかりか、見れば、当の鬼たちも「福は内」と境内で豆をまいているではな

いか。なんだこれは?