石原慎太郎さんに『わが人生の時の人々』(文藝春秋)という著書がある。

作家としての交遊録だったように記憶しているが、タイトルをしっかり記憶している割には、その内容は判然としておらず覚えていない。

ただ、ずいぶん前だが、その本を読んだ時の印象は、やはり彼は「時代(昭和)」のスターだったのだなとつくづくと感じ入ったことであった。

長嶋茂雄、美空ひばり、石原裕次郎──。石原さんが、こうした「昭和のスター」たちのひとりであったことは疑いのない事実である。それは同書に登場するキラ星のごときスターたちとの交友を知ればなおさらだ。

ところが、こうしたスターたちと違って、「石原慎太郎」はその一員でありながら、激しい毀誉褒貶の対象であり続けている。いったいなぜか?

「長く生きるといいことのある反面、余計なことも味合わなくてはならなくて嫌だね」

10年くらい前だったか、石原さんの旧友Aさんについて話していた時、こう語っていたのを思いだした。