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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第18回「男と男7」【毎月末配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.638 ☆
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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第18回「男と男7」【毎月末配信】☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.638 ☆

2016-07-08 07:00

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    脚本家・井上敏樹エッセイ
    『男と×××』
    第18回「男と男7」
    【毎月末配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.7.8 vol.638

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    今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズの脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第18回です。若かりし日の敏樹先生を振り回し続けた、大手映画会社のプロデューサーSのエピソードも今回で最終回。突然、大手映画会社を退職した彼は、なんと単身フィリピンに渡ります(今回の『男と×××』は6月末配信分となります。読者の皆様には配信が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます)。


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    ▼内容紹介(Amazonより)
    「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
    平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
    荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
    (Amazonでのご購入はこちらから!)

    PLANETSチャンネル会員限定!
    入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。

    (動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)

    (動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)

    (動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)

    (動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)

    ■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)



    これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 

    ▼執筆者プロフィール
    井上敏樹(いのうえ・としき)
    1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。



      男 と 男 7   井上敏樹

    さて、6回に渡って大手映画会社のSの話を続けて来たが、今回で終わりである。私が大学在学中に脚本家としてデビューして以来、Sとの付き合いは十数年に及んだ。その間、おかげ様で多くの仕事をし大いに遊び良くも悪くも多くを学んだ。当時は怒りや反発も覚えたが、今思えばSが恩人であることは間違いない。Sがいなければ私は脚本家にはなっていなかったろうし、酒の飲み方やその他、覚えなくてもいい遊びを覚える事もなかったかもしれない。男にとって覚えなくてもいい遊びを覚えるということは、実は大変重要な事なのだ。そんなSからプロデューサーを辞める、大手映画会社を辞める、と聞いた時は大変驚き、同時に私は責任を感じた。『お前のつまらない本を読むのも飽きたしな。おれは第二の人生を生きるのだ』新宿のバーでウイスキーを飲みながらSは私にそう言った。『いや、違うな。お前の本はつまらなくなくなって来た。それがつまらない。おれはお前のつまらない本が好きだった』そう言った。
    『それで………辞めてどうするのですか』Sの突然の言葉に驚きながらも私としては当然の問いだ。すると、Sは、『フィリピンに渡る。日本はおれには狭過ぎる』などと言う。フィリピンと聞いて私には思い当たる節があった。その前年、私はSと脚本家仲間と三人でフィリピンに旅行していたのである。言い出しっぺは私であった。フィリピンのセブ島でダイビングをしたい。青い海と空が見たい、そうダダをこねたのだ。初めてのフィリピンにSは大喜びであった。海は美しく、酒はうまい、人は優しい。人々が優しいのは我々が旅行者である点が大きいと思うが、とにかくSはフィリピンが気に入ったのだ。


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