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ついに発売になった根津孝太さんの新著『カーデザインは未来を描く』。今回はDMM.make AKIBAで行われた刊行記念イベントの後編です。自動車好きとして知られる株式会社Cerevo代表取締役・岩佐琢磨さんとの対談から浮かび上がる、次世代のあるべき自動車の姿とは?(構成:池田明季哉)
※本記事は2017年10月24日に行われた刊行記念イベント「自動車の世紀はあと100年続く」を再構成したものです。

当日のイベントの様子は動画でもご覧いただけます。 

【書籍情報】
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業界の錚々たるメンバーが大推薦!
AI、シェア、自動運転――。大変革のなか、車社会はどこへ向かうのか。気鋭のカーデザイナーが、自動車の過去を紐解き、未来を解き明かす。ご注文はこちらから。


「硬いものを作っている人ほど頭も硬い」

宇野 岩佐さんは、これから車が語るべき物語には、どういう形がありえると思いますか?

岩佐 僕は家電業界にいるので、その目線から車の状況を俯瞰して見ると、家電と車の融合がものすごい勢いで進んでいるんですね。家電のテクノロジーが車に流れ込んでいる。
昔はABSひとつとっても油圧でしたけど、今は電子制御ですよね。こうした電動のパーツは、バッテリーがあって、モーターなり何らかのアクチュエータがあるわけで、そうなると家電のテクノロジーとほとんど変わりがない、電気の世界の話になるわけです。
これがEVや自動運転になればなおさらで、よく「自動車がパソコン化・スマホ化していく」と言われますが、僕も近い見方をしています。

根津 おっしゃる通りですよね。今の自動車はどんどん頭脳化している。これから自動運転ももっと発展するでしょうし、今の段階でも危険を感知して自動的にブレーキしてくれるくらいは普通になっていますからね。

岩佐 実はこうした電気のテクノロジーには、必ずソフトウェア技術がセットで入ってくるわけですね。するとドライバーに合わせてカスタムしていくようなパーソナライゼーションと極めて親和性が高い。そこにはいろいろな可能性があると僕は思っているんですが……残念ながらハードウェアを手がけている人は、ソフトウェア的な発想を持ちにくいんですよね。これは家電業界でもそうではあるのですが、自動車のような重厚長大なプロダクトになればなるほど、ハードとソフトの発想が離れていってしまう。でも一方で、ユーザーは日々ソフトの世界に生きている。みんなLINEでコミュニケーションを取って、ECで買い物をしている。だからユーザー側は当たり前のように受け入れてくれるんだけれど、メーカー側がなかなか適応できていないという現実があります。

根津 そうなんですよね。トヨタ時代によく「硬いものを作っている人ほど頭も硬い」と言われていて。ボディよりもシャーシ、シャーシよりもエンジン。エンジンが一番硬い(笑)。

岩佐 逆にインテリアをやっている人が一番柔らかいんですかね(笑)。

根津 いや本当にそうなんですよ。でもそれも必然があって、やっぱりヘビーなものを作るためにはヘビーなことをやらなくてはならない。開発期間も長くなるし、費用も莫大になるので、どうしても判断も重くならざるを得ないんです。 だから逆に、自動車全体をもっと軽くすればいいんじゃないの? というのが、最近僕が考えていることです。物理的に軽量に作るというのもそうなんですが、全体的に重厚長大でない方向を目指して舵を切る。そうすればソフトウェアとのマッチングもしやすくなりますよね。そこに未来がある、というのは僕も同じ意見です。

家電化する車のつくる新しいライフスタイル

宇野 岩佐さんって、自動車よりもっと小さいモビリティをいろいろ手がけていますよね。


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