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【今週のお蔵出し】
「学級という『箱』を解体せよ」
(初出:毎日新聞「月刊ネット時評」2012年8月)

  大津市の中学生の自殺問題を契機に「いじめ」についての議論が沸騰してい
る。しかし個人的にはあまり建設的な議論がなされているようには思えない。
たとえば「親や教師はもっとしっかりするべき」といった主張は、まあ正しい
だろう。しかし、これは「松井秀喜の魅力は何ですか」と問われ「バッティン
グです」と答えて満足するようなものだと思う。
  もちろん、個々の現場のプレイヤーたちに注意を促し、動機づけ、啓発する
言説は、決して無駄ではない。しかし、その効果には限界がある。子どもは親
も教師も選べない。確率的に、この種の言説を聞いても啓発されない大人に
「当たって」しまったらどうなるのか。