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第18回 おたく文化に涵養されたパソコンAVGの発展

 アーケードゲームがファミコンとの差別化のために独自進化を遂げていったのと同様、パソコンゲームにおいてもしだいにジャンルの幅が淘汰され、一定のニッチの中での文法的な洗練と題材の淘汰が進むという傾向が強まっていた。それは、「PC-8801 mkII SR」や「FM-77AV」シリーズ、「MSX2」規格などホビーパソコンのプラットフォームが定着してモデルチェンジが進み、1980年代前半よりも所有者の裾野が広がった一方で、プログラムの自作に取り組むユーザーの割合が相対的に減り、もっぱらフロッピーディスクで販売されるようになったパッケージゲームの享受に留まるユーザーが一般化してきたことの帰結でもある。もはやファミコンで手軽に遊べる高度なゲームが世にあふれている以上、BASICのような入門的な言語では太刀打ちできるプログラムは作れないし、かといって本格的に機械語やアセンブラを習得するところまで踏み出すのは多くの人には越えがたいハードルとなる。マイコンブーム時のような作り手と受け手が未分化だったハンドメイド・ホビイストたちのエデンの園は、すでに終焉しつつあったのだ。