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第20回 『スーパーマリオブラザーズ』が変えたもの
ファミコン発売以来のブームは、基本的にはアーケードとパソコンの両プラットフォームにおける先進的なタイトルを移入してくることによって形成されていた。しかしハード発売2年を経て、任天堂が満を持して看板キャラクターであるマリオを前面に押し出す本格的なファミコン向けのオリジナルゲームを開発したことで、ファミコンブームの様相は大きく変貌を遂げる。他でもない、『スーパーマリオブラザーズ』である。マリオを主人公とする過去のゲームと同様、ジャンプアクションを駆使して敵キャラの妨害と様々な地形の障害を乗り越えながら目的地を目指すという操作スタイルは継承しつつも、アーケードゲームで一般化していた横スクロール型アクションの様式に沿ってプレイフィールドを大幅に拡張したのが、本作の基本的な特徴だ。
大魔王クッパにさらわれたピーチ姫を救い出すという類型的な目的性自体は、『ドンキーコング』とあまり大差はない。しかし、右へ右へと一方向的にスクロールしていく多彩な背景の描かれたフィールドには、『マリオブラザーズ』での敵キャラの設定を膨らませたカメ軍団に侵略されたキノコたちの王国という奥行きのある世界観が与えられ、ストーリー性のある「冒険の旅」としての性格が大きく高められた。