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『BTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』からカルチャーと時代の〈繋がり〉を考える (石岡良治の視覚文化「超」講義外伝 vol.2) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.291 ☆
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『BTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』からカルチャーと時代の〈繋がり〉を考える (石岡良治の視覚文化「超」講義外伝 vol.2) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.291 ☆

2015-03-27 07:00

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    『BTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』
    からカルチャーと時代の〈繋がり〉を考える
    (石岡良治の視覚文化「超」講義外伝 vol.2)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.3.27 vol.291

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    本日は、新連載「石岡良治の視覚文化「超」講義外伝 」の第2回をお届けします。昨年、「紀伊國屋じんぶん大賞2015」2位となった石岡さんの『視覚文化「超」講義』は、これまでのカルチャー批評とどこで一線を引いたのか? そして、スピルバーグ/ゼメキスの代表作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を今、改めて考えることの意義を解説していきます。

    「石岡良治の視覚文化「超」講義外伝 」これまでの連載はこちらのリンクから。
    ※本連載は、PLANETSチャンネルニコ生「石岡良治の『視覚文化「超」講義』刊行記念講義」(第1回放送日:2014年7月9日)の内容に加筆・修正を加えたものです。
     
     
    ■『「超」講義』」であえて触れなかった事柄たち
     
     本書ではそれぞれの分野そのものに踏み込まないようにしました。そして分野ごとに濃淡をつけています。特に一番禁欲したのは「マンガ」です。本書の注意書きでも触れていますが、マンガについては雑誌『ユリイカ』を主な場に、いくつかの論考を執筆しています。去年(2013年)のものだと「今日マチ子」さんの特集で『Cocoon』を論じていたり、今年(2014年)の週刊サンデーの特集で『らんま 1/2』を論じています。このように個別の作品について語っているモノグラフはあります。今期のアニメで松本大洋さんのマンガ『ピンポン』がアニメ化されていましたが、ユリイカの特集で昔、松本さんのボクシングマンガ『ZERO』をフォーマリズムっぽく語った文章を書いています。(それらを集めた論集『「超」批評 視覚文化×マンガ』が2015年3月に刊行されました。マンガ論だけでなく伊藤若冲やガンダム、仮面ライダーディケイド論なども入っています。)
     
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     本書を読んだ方に、マンガの作品についてもっと取り上げて欲しかったという声がありますが、目的が違うと考えて割り切りました。というのは、私のような性格の人間は、どこかに焦点を合わさないとうまくまとまらないからです。
     
     たとえば、マンガ『ハンター×ハンター』に「念能力」というものがあります。マンガに出てくる「誓約と制約」ですね。
     要するに本書にはかなりの縛りをかけています。とはいえ、完全に縛りをかけたのではなくて、一部ゆるい部分があります。
     
     具体的には「作品分析〈そのもの〉」、つまり作品は作品そのものとして見るべきであるという了解への縛りです。一作品の構造分析は「自宅警備塾」でもよくやっています。前回の「自宅警備塾」では、短時間のPV『On Your Mark』を割と細かい部分まで構造分析しました。過去の動画でも色々語っていますので、PLANETSチャンネルのアーカイブ動画を参照してください。「自宅警備塾」では、作品のバックグラウンドについても語っていますが、作品そのものの構造分析を常に行うように意識しています。構造分析に一番困ったのは『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』でした。「4回観た結果」と語っていますが、要するに、この作品は4回観ないと構造が把握できなかった。そんなふうに、一度構造分析してから、ざっくりとトークに落とし込む作業を私なりにしています。そんな感じで作品分析は日課なのですが、それを本書では意識的にしていません。
     
     あとは「理論」です。理論そのものに関してはあまり立ち入ってません。本書の第5回の1パート「メディア、メディウム、メディエーション」ではメディア論と様々な哲学の話について語っていますが、そこでも概論にとどめました。
     
     ゲームに関しては第4回の2パートで、ゲーム研究と遊戯論についてまとめて語っています。ここでも理論そのものに踏み込むのはギリギリのところで止めています。能力がないと言われたらそれまでですが、私なりに一応の考察をしています。
     また、「外国語文献の参照」も、ピエト・モンドリアンの文献とメディウム論の文献、具体的に言えばイヴ=アラン・ボアとロザリンド・クラウスと、エルンスト・ゴンブリッチという3人の美術史家の文献以外は、本書から外しています。つまり、私の性格上、外国語文献までたくさん入れてしまったら、本書の刊行に間に合わなかったとのではないかと考えています。
     
     もうひとつの制約は「注記からの二次的注」です。いちおう、注記には分野ごとの参照本が書いてあります。つまり、その分野で定評のある本や、そこから広がっていく文献などですが、範囲を絞りました。私自身はトリビアルなものが好きで、大学時代には、フランス思想研究で有名な、今は明治大学の教授である合田正人さんのゼミに所属していました。彼もフランス思想の文献をネットワークのように掘るタイプの人で、そこで学んだので、少し彼とキャラクターがかぶっているところがあります。他に影響を受けた人に、美術批評家の岡崎乾二郎さんなどいろいろな人がいます。そういう意味で「注記からの二次的な注」を網羅していく作業を、私自身はすごく好きです。思想史マニアには注記だけ読むという伝統があります。注記で有名な思想家として、マックス・ウェーバーとエルヴィン・パノフスキーが挙げられます。彼らの著書には、本文より注記が長いという特徴があります。そこまでではありませんが、本書でもページ下のコラムに二次情報的なものを入れています。制約を外してしまい、注記があふれかけたことがあったので、だいぶ添削しました。
     
     もちろん制約を課したことで、内容面で薄くなり、断片的になったかもしれません。ページ数についても、当初は7回を想定していたのですが、500ページを超過するので断念しました。
     
     
    ■作品を「◯◯年代」で考えることは有効か?
     
     もう一つ考えていたこととして、これは私の本質的な関心の一つなんですが、「ディケイド区切り」についてです。文化的に意識の高い人の何割かは、無条件でディケイド区切りを嫌います。私が疑問を持っている考え方として、作品そのものを語るときに「〜年代」を語るのは良くないとか、逆に年代や世代について語ると作品そのものについて語れなくなる、という発想が定番化していると思います。ですが、「作品」と「年代」の二つの語り方は、言われているほどには対立しないと考えています。もちろん本当に対立していることもあるでしょうし、あらゆる対立が無効とは思っていません。でも、大多数の一見して対立に見えるものの多くは無効ではないのだろうか、区切りを思いっきりシャッフルし直せるのではないかと考えています。
     

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