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山田玲司のヤングサンデー 第102号 2016/9/19

「女は黙ってろ」の時代?

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いつもは避ける「時事問題」なんだけど、今週は「お題有り」でやってもらいたい、との事で。
少しばかり「日本の貧困問題」について考えてみたわけなんですけどね。
本当にこの国は「悲しい国」になったものだと思う。

今回の貧困JKみたいに、特定の誰かを「お前は貧困なんかじゃない」なんて叩くのはもう経済問題とは別の話だ。

そもそも人はそれぞれ「生まれ」というスタート地点が違うのだから、テレビやネットなんかの少しの情報で人の事を判断したり裁いたりするのも無茶な話。
あの国会議員さんの「私ならこうするのに」みたいなのも、当事者不在の「大きなお世話」って話に感じる。

それにしても1番感じるのは、今更ながら圧倒的な「他人への不寛容」だ。

そんなに他人が許せないの?って思うくらいネットの反応は厳しい。
どうも最近の空気は「他人が許せない」のが普通で、「誰かを思いやる」と偽善者と言われる。
そんなこんなで、人権だの環境だのを語るととたんに「サヨク」だの「スイーツ」だのと言われるので、優しい人ほど沈黙していく。
これがバトルロワイヤルな学校で「負けたら終わり」の恐怖教育を経験させられた結果なのだろう。

それくらいの貧困なんかで騒ぐな、とか、努力が足りないんだ、とか言っている人は、そんなふうに言われて育ってきたのだろうから、それはそれで気の毒な話なのだとも思う。

更に悲しい事に、多くの事は努力だけでは解決しない。

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女の心を歌う曲は聴けない現象

この問題を考えててふと思ったのが、我々男達が最近「女が女の気持ちを歌う歌」を聴かなくなってきたのではないか?という問題だ。

番組でも言っていたけど、その昔は男も「中島みゆき」や「YUKI」なんかが歌う「女の心情」が描かれた歌を喜んで聴いていた。
ところが「西野カナ」を代表とする現代の歌姫は、もはや「女のためのアンセム」になっていて、男が夢中になっている、なんて話は聞かない。

もしも世間の言う「西野カナは現代女性の心を歌っている」とするなら、男達は「そんなものは聞きたくない」と言っているように見える。

じゃあ、どんな歌なら聴くのか?というと、「男にとっての理想の女」を男が歌詞にして、それを「男が選んだ美少女達に歌わせる」という、アイドルの歌なら聴く。

こっちの世界はこっちの世界でヤバいことになっている。
アイドルは男(俺たち)にとっての理想(夢)を生きる(演じる)ものなのだから、その理想を裏切って知らない男のマンションに通っていたりしたら「丸刈りになって謝罪しなければならない」みたいな状況まで進んでしまっている。

こうなると、日本の男は「女の話」を聞く気はないみたいに見える。
メンヘラの女がモテるというのは「僕が彼女を救ってあげる」という「ヒーロー願望」が満たされるからであって、これはこれで「自分のための行為」で、本当に彼女の話を聞いているわけではない。「こうすればいいんだよ」なんて語って満足したいわけだ。
今の男には「荒ぶる現代の女」を受け入れる余裕はないのだろう。
受け入れるフリをしつつ、本音では「女は黙ってろ」と思っているのかもしれない。

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心の中の相手だけを愛す

同様に女の方も、相変わらず「イケメンに限る」「ハイスペに限る」と言っている一群が幅を利かせている。
女たちもまた、女にとっての理想の男(夢)を見せてくれる「声優さん」や「アイドル」の声しか聞く気はない、みたいになって久しい。