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山田玲司のヤングサンデー 第154号 2017/9/25

男でいくか、女でいくか

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東村アキコの漫画「海月姫」が完結した。

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この漫画は僕にとっても特別な漫画の1つだ。



海月姫は、めったに人の漫画を読まない自分が、たまたま本屋で見つけて、帯に書かれた「オタク再生」というコンセプトに惹かれて買った「珍しい漫画」だったからだ。


この漫画は想像を超えて面白く、思わず作者の過去作「ひまわりっ」まで探して読んだ。

こんな事はめったにないのだ。


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「ひまわりっ」という漫画は、海月姫のコミックスにあった広告ページにイラストが載っていたので知った。


そのイラストに庶民的な3人のキャラクターが肩を組んで騒いでいる様子が描かれていて、着ている服になぜか「しんらいかんけい」と書いてあるのだ。


なんというセンス・・


僕はいてもたってもいられなくなり、フラッシュの取材を理由に東村アキコに会いに行った。


そして彼女は僕に会うなり「すみません、パクりました」と言ってきた。


全く気が付かなかったけど、彼女は僕の「オタク再生漫画」であるBバージンを読んでいてくれていたのだ。


そこからは、あまりの共通点の多さに驚き、なんだかんだと長い付き合いになっていったわけだ。




アッコはその時僕のスケブに「人生は祭りだ!ふぅ~!!」と書いてくれた。


もう何もかもが今に至る「予告編」みたいだ。



今回改めて「海月姫」を読んでみて思ったのは、女装の美男子キャラ「蔵之介」の魅力についてだった。



蔵之介は「大臣の息子」という行き過ぎたセレブであり、親に反抗して女装姿で生きている、という中々のトリックスターだ。


そんな彼が「男を拒絶する女たちの館」に入り込み、彼女たちの人生を変えていく話が海月姫のメインストーリーだ。



蔵之介を見ていると、このキャラクターが明らかに「アッコの化身」であることがわかる。


アッコの中にいる「イケメン」が、グジグジして外に出られない「腐女子」たちに「そんなんじゃ人生もったいないぜ!」と叫んでいるわけだ。


主人公の気弱な女の子(海月)もまた、アッコの中に住んでいる「弱い女」の化身だろう。


この漫画は、弱い「女の子」の自分を、強い「男の子」の自分が開放していく話になっているのだ。


「タラレバ娘」同様、この作品もまた「繋がれた犬の開放」を描いているわけだ。




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そんな事を考える少し前に、この話に繋がる経験をした。