こんな時代に効く映画とは?
ダークナイトでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督最新作「ダンケルク」。
敵を倒すのではなく「仲間を逃がす」という戦争映画は新鮮で、まるでVRのような「1兵士の目線」に特化した演出も素晴らしかった。
CGを使わないで本物の戦闘機を使った撮影が見せる映像は、戦闘機以外の光る海や空の美しさを引き立てていて、これもまた素晴らしい。
「こんな美しい空の下で、自分たちが作った地獄に苦しんでいる人類」という存在が本当に哀れで小さく見えてくる。
ダンケルクは「戦争」を始める前に、「戦争という選択肢はこういう事態に向かうことでもある」という「現実」を冷静な視点で描いている。
ダンケルクでは会話がほとんど無い。
いざ戦闘が始まれば議論なんかできないのが「戦争」なのだ。
正義だ悪だ、人の命だ、民族の誇りだ何だ、の高尚に見える「国の正論」なるものが、「戦争」になるとその解決方法は単に「暴力での決着」でしかないからだ。
難しい言葉や資料を並べ立てて、相手の短所を延々と罵りあって、最後はカナヅチで相手の頭を叩き割る、みたいなのが「戦争というもの」だろう。
その「カナヅチで相手の頭を叩き割る」状況が「ダンケルク」ではそのまま描かれている。
ダンケルクを観た直後に、おっくんは、「こんなもん全世界人類必見の映画ですわ」と言っていた。
僕もそう思う。
ところで、ミサイルだ選挙だ、大衆迎合主義だ、右だ左だ陰謀だ、とかなんとか。
やたらと騒がしい世の中になってきた。
僕には、直接「食べ物」に影響する地質や水質の汚染や、東北や九州の被災者救済や、気候変動の根本的解決の方が大事だと思えるのだけれど、あいかわらず人類は「カナヅチで人を殴る話」をしている。
こんな時代にはどんな映画を観るべきか?
それはもう「フォレスト・ガンプ」しかないだろう。
いやいや、もちろん他にもいい映画はあるけれど、今の僕が考える最高の「今観るべき映画」はこれだと思う。
もちろん、大半の人はこの映画を観ていると思う。
何しろこの映画、恐ろしく深いテーマを抱えているのに「ユーモアたっぷり」でテンポもいい。
泣かせどころも「あざとさ」や「押し付けがましさ」がない。
この映画が現代に観るといい理由の1つは、主人公ガンプが信じる相手がたったの4人だけ、という部分に集約される。
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。