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山田玲司のヤングサンデー 【第153号】ホームランの打ち方
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山田玲司のヤングサンデー 【第153号】ホームランの打ち方

2017-09-18 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第153号 2017/9/18

    ホームランの打ち方

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    メジャーリーグを見ていたら、本当に「凄いやつ」がいた。


    いや、そもそも「メジャーリーグ」って場所自体が「世界中の凄いやつ」を集めた「バケモノ集団の闘技場」だから、そんな「凄いやつ」なんかいくらでもいるんだけどね。


    むしろ「バケモノ」でないと入れない世界なんだけどね。


    そんな「ポケットに入らないモンスター達」のバトルを呑気に観る幸せが、メジャーリーグ観戦なんですがね。


    男の名は「アーロン・ジャッジ」

    メジャーを観戦している人ならすぐにわかると思うけど、ニューヨークヤンキースのルーキーにして圧倒的な主力打者。

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    2メートルの大男で、とにかくバカみたいに打ちまくる。

    しかもまだ25歳。


    今年も前半戦には打率.329、30本塁打、66打点という大活躍をしていた。

    とにかく「出れば打つ」イチロー以来の外野手新人王とMVPのダブル受賞をしたという。


    確かに今年はボールの規格が変わって「ホームランが出やすくなった」という条件もあるだろう。

    とはいえ、他の選手も同じ条件で戦っているわけだ。

    ホームランの多い今シーズンの中でもジャッジは圧倒的だった。


    しかし、そんな「世紀の天才」が夏を過ぎてから嘘みたいに打てなくなった。


    7月8日から8月22日まで37試合連続三振して、野手のメジャー「ワースト記録」を更新する。


    37試合連続!


    相手球団が彼の弱点を研究しまくって、それまでのやり方が通用しなくなったのかもしれない。

    8月にはとうとうジャッジは先発を外される。

    「伝説的選手の登場」だったはずが、一転「悲劇のルーキー」になってしまうのか?

    そんな夏だった。



    ところが、その「悩めるスーパールーキー」ジャッジが最近になって復活してきた。

    いつもの威圧的な構えから、とんでもない飛距離のホームランを量産し始めたのだ。

    そんな彼がインタビューで、これまた「すごいこと」を言っていた。


    彼は「ホームランの打ち方」を解説していたのだ。


    「ボールの7時のところを、その軌道に合わせて振り抜くんだ」なんて言ってる。


    ちょっとまて、ジャッジ。


    てことは君はいつも「ホームランだけ」を狙って打席に立っているのか・・・。


    これはちょっと興味深い。

    野球を少しでも知っている人であれば「ホームラン」がそんなに簡単に出るものではないと思っているのが普通だ。


    ホームランは「特別」なものだ。

    だからホームランバッターはスーパースターなのだ。

    そんなにめったに出ないモノを目指すより、手堅く当てに行って塁に出る方が大事だと考える方が普通だ。

    そんな中「たまたま」スタンドに入ることがある。それが「ホームラン」なのだ。


    それはどこか「偶然」の出来事で、「努力」と「運」が結びついた時の「特別賞」みたいなものだと、選手も観客も思っているのが(主なる)日本の野球だった。


    そういえば昔、サッカーについても似たような事を聞いた。

    (当時の)日本のサッカーは闇雲にボールを蹴って、上手く行けばゴールの中に入る、と思ってプレイをしすぎるって話だ。

    ヨーロッパのトータルフットボールでは「闇雲なシュート」は許されない。


    偶然のゴールを期待してサッカーをしている人同様に、

    「たまに打てればいい」と思っている人は、めったにホームランは打てないだろう。


    「ホームランを打つ」のが目的の人は、常に「どうしたらホームランが打てるか?」という具体的な行動をするはずだ。


    その試行錯誤の中には「休養」や「分析」の時間も入るだろう。

    やたらとバットを振ったり走り込んだりするだけではホームランは常に「偶然の産物」のままだからだ。



    なんだかこれ「人生」の話にも通じる点がある。


    人は時々自分が「何を目的にしているのか?」ってのを曖昧にしたまま、闇雲に「努力」をしてたりする事がある。


    「いつか打てるさ、だって僕はアーロン・ジャッジだもん」


    なんてのもいいけど、それで何の試行錯誤もしなかったら、ジャッジは復活できなかっただろう。



    一方で「振ればホームランになる時もある」という「お気楽哲学」も捨てがたい。

    それに人生には「コントロール不能」の部分がほとんどでもある。


    でも「それ」ばかりだと「私の目的はホームランです」と言う選手にはかなわない。

    少なくとも「ホームランの数」ではね。


    僕はよく、迷っている人に「君はどうしたいの?」と聞く。


    なのに自分自身が時々「僕はどうしたいんだ?」みたいになっている事がある。




    そういえば、巷では戦争だの何だの騒がしい。

    勇ましい事を言う戦前の人みたいな意見が溢れてる。


    そんな時代だけど、ジーン・シャープという人がこんな事を研究している。

    非暴力で問題を回避する方法だ。


    その人によると非暴力で問題を解決するための方法は198種類もあるというのだ。


    これもまた「平和解決」という「明確な目的」から始まっている。

    198の中には「服を脱ぐ」みたいなものまであるので、全てに効果があるかはわからないけど、戦術は多い方がいいし、その中には「抜群に効果のある方法」も見つかるだろう。


    何より「明確な目的」はいい。

    「ホームランを打つ」「非暴力で平和にする」それが「目的」って。

    友達になりたいよ。


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    それはともかく。

    最近「自分がなぜ野球を観たがるのか?」がわかった。

     
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