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山田玲司のヤングサンデー 第158号 2017/10/23

トルコハラスメントとハリウッド女優

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その時僕らは「イスラムのヒゲ男」に陵辱されていた。


事件が起きたのは、ヤンサンのサロン、ゴールドパンサーズ(通称ゴルパン)のオフ会の打ち上げの時だった。



オフ会はいつものワニスタで、おっくんの旅仲間のジェダイとあずみんを招いて「旅トーク」だった。


いい感じに盛り上がって、おっくんオススメの「うざいおっさん」がいるトルコ料理屋に行こうという流れだった。


店には絨毯が敷かれ、でかいラクダのオブジェがあり、天井1面に華やかなトルコランプが下がっていて、まさに「イスラム」という、いい雰囲気。


ゴルパンの活動もそれなりに数を重ねてきているので、メンバーもかなり仲良くなっていて、こっちもまたいい感じだ。


初めて来た人に古参のメンバーが声をかけて、僕に紹介してくれたりする。


今回は山梨の大学の女の子と、出版社に内定が決まった長野の男の子に、アニメーター3年目の女性が初参加してくれた。



ゴルパンには、プロのミュージシャンやアニメーターもいれば、「そんなふうになりたいです」という人も、「特に何もしてません!」という人もいて、実にいい。



共通点は「ヤンサンを観ている」という事だけ。

なので、不思議な仲間意識と共に「ここでなら言っても大丈夫かも」と、普通に「本音の話」をしてくれる。


普段は「こんな事言うと立場的にヤバいから言わない」と思って、心の中にしまってあるような気持ちを語ってくれたりする。


利害関係のない「場」ってのは本音を話しやすいのだ。

しかも、誰も強制はしないので、黙っていてもいいし、その場で友達を作ってもいい。


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そんなわけで、打ち上げのトルコ料理屋も勝手に盛り上がるはずだった。



ところが、その店の「恰幅のいいトルコのヒゲおっさん」が大声で仕切りまくってくる。

事前におっくんから「俺の10倍はうざいっすよ」と聞いていたものの、想像以上の迫力だ。



おっさんの口癖は「ヤバい、ヤバいー」で。


「ヤバい」を連発しながら、綾小路きみまろみたいに客をいじっていく。


イケメンの男の子や、モヒカンの「オズ」みたいな、見た目のいじりやすそうな人は真っ先に「餌食」にされていく。


もちろん「僕は無理です」という空気を出しているお客さんには無理に絡まない。

その辺は実に日本人の性質を見ている。


そんなこんなで、内気な人もそれなりにその場を楽しんでいた。



ショータイムになると、お馴染み「装飾ビキニ」のセクシーなベリーダンサーのお姉さんが現れて、絨毯の上をクネクネと踊りながら練り歩き、次々と絡んでいく。


ゴルパンのメンバーは「ファンキーな人」も多いので「踊るよ」とひっぱり出されても平気な人が多いのはさすが。



ヒゲオヤジは僕らのメンバーの雰囲気を読んで、色々な事をやらせる。

聞いてないのにミュージシャンの人には「お前歌え」と言う。


そして僕には「お前10分しゃべれ」と言った。


さすがヒゲオヤジ。僕がこの直前に3時間近くも喋ってきたのを見ていたかのように言ってきた。


しかし、困ったことに、その店には僕らの他に2つのグループがあり、その人たちには「ヤンサン」なるニコ生の番組なんか、知るよしもない。

なんなら「ニコ生って何ですか?」みたいな感じではないか。


まさに「たこつぼ文化」の弱点だ。


この場所で「えー、それではここで「俺たちはなぜサンボマスターを許せなかったのか?」という話を始めます」とか、やってもいいんだけど、そうなると面白いのは我々「ヤンサンたこつぼ」の仲間たちだけになってしまう。


ちょっとやりたかったけど、僕は「他のお客」に気を使って無様にトークを切り上げた。



ところが。


大騒ぎショータイムの後で、僕が気を使っていた「別のグループのお客さん」の1人が、僕に声をかけてきた。僕より若い女性の人だ。


「あの、 山田玲司さんですよね。私、漫画家の〇〇です」


僕は15年くらい前にその人と会っていた事を思い出した。担当の編集者が同じだったのだ。