サムメンデスと朗読会
皆様、お変わりありませんでしょうか。
今日は久世です。一つお付き合いください。
今日は2つ。
2は宣伝含んでて、自分のブログでも書いたことなので、
読まれた方などは読み飛ばし下さいね。
1.NTLIVEに行ったときに思った「物語のこと」
2.或る言葉の記録というこれから僕に始まる「物語のこと」
・NTLIVEに行ったときに思った「物語のこと」
2月18日。ナショナルシアターライブに行ってきました。
英国ナショナル・シアターが厳選した世界で見るべき傑作舞台を
映画館で上映するプロジェクト。
僕が見たのはリーマントリロジーという作品で、
演出をヤンサンでもおなじみのアメリカンビューティや007、
今話題の1917を監督したサムメンデスが担当している。
これが無茶苦茶よかった。
話自体は調べれば出てきそうなのでだいぶ割愛しますけど、
リーマンショックでおなじみのリーマンブラザーズ創業者一族を
三代にわたって描いたもの。
それをたった3人の役者が何役も演じ分け、
1台のピアノの生演奏のみという形式で上演している。
上演時間は休憩合わせて221分。
長いwでも。見れてしまう。すごい。
特筆すべきは第三幕の役者たち。
印象的で抽象化された台詞を怒涛の勢いで畳みかけ、
場の熱量を高め見事なまでに演じ切っていた。
この作品を見て、特にラストの三部を見て改めて思ったのが、
僕の完全に個人的な意見ですが、
演劇にとって、台本のストーリーは大して重要じゃないということ。
もちろん奇想天外な物語やどんでん返しがある方が
見ていて面白しろがりやすいですが、本質はそこじゃないと僕は思います。
僕にとって演劇の魅力は、どんなに自分に起こりえない状況でも、
その場(舞台上)に本当にそう感じた人間が目の前にいること。
そして、それを目撃できることです。
人知を超えた苦難を乗り越えた人間、死んで生き返った人間、
人を殺した人間などなど。
それが実際に「目の前に」にいる。
演技の行きつく先は「本当にそういう状態になる」ということなので、
本当にそういう状態になった人間たちのエネルギーを
見るのが演劇の僕にとっての楽しさです。
僕としては、ストーリー自体や台詞自体は、
役者が生を開放するための単なるスイッチの一つであって、
役者がそのセリフをその感情で言って感情を純化させて
その状態になることができれば、台詞や物語は何でもいいと思っています。
(究極的にはということで、お話が面白いに越したことはないですが)
焚火に例えると演劇で見せられる一番大事なことは「火が点くまで」なんです。
火が点いたら、そこでもう演劇はおしまいでいい。
火が点いたら、ストーリーではなく生きた「物語」が
個人個人の観客の胸に灯る。
その火(物語)は作品のストーリーじゃなく人それぞれ違うもの。
それを家に持ち帰る。しばらく火は消えない。生活の中にも火がともる。
そんなかんじです。
ただ、ややこしいのは、ストーリーはストーリー自体で
もう一つの火なんです。
ストーリーという火が燃えている中で、
火が点くまでのことに取り組んでいるのが演劇の醍醐味です。
もし見に行かれる方は、お話を理解できてもできなくてもいい
というスタンスで、役者や空間から「火が点くまで」の気配を感じる
という感覚を頭の片隅に持ち、いつもは見ない部分を見てみて頂けると
ありがたいです。
リーマントリロジーはお話も面白いので、
お話だけに目が行きやすいかもしれないと思い、書いてみました。
ちなみにナショナルシアターライブ。
来月は、アマゾンで配信中のドラマ「フリーバッグ」の元になった舞台が上映されます。
そして、一旦上映が終了したこの作品も
いろんなところで上演されると思うのでみなさんよかったら見に行ってみてください。
・或る言葉の記録というこれから僕に始まる「物語のこと」
ポエムをぽえぽえする男の話を聞いてください。
自分の最近の心境をつづります。
福岡での遠征放送で発表した通り、
今年は自分的に武者修行の年にしたいと思っています。
具体的には年間365詩以上描く、単独ソロライブ3回これとプラスアルファ。
特別に意識しなくても、毎年毎年、研鑽を積めばいいと思って、
ここ何年も、生きるなかで生きるように、らしく詩って来ました。
楽しくその日来た詩を言葉にする日々はとても気持ちよく、
悪いことがあっても、人間だしなとすんなり腑に落とし、
腑に落ちないときも、これは人間味。
嫉妬も、怒りも、したらしたで、それを無理には止めないで
それを含めて自分の人生や業を楽しんでいました。
そんな暮らしの中で、ここから先の人生でも詩を紡いだり、
舞台をつくったり、みんなと集まって気持ちよく生きていくために、
改めて「修行したい」という謎の意識が芽生えました。
快楽主義で刹那主義、その日暮らしの楽しければいい
という性格の僕にしては珍しいことです。
自然と気持ちが動いた時ほど、
物事を動かすのに適切なタイミングはない
と僕は思います。
意識しないでやっていたことをもう一度意識してやることで、
また新たな局面が見える気がしています。
あと自分の中で、今までにない気持ちが出て来てますねん。
言葉に対しての今まで感じたことのない種類の感謝と、
もっともっと言葉を触って遊んで、誰もみたことないカタチをつくりたい
という意欲が今凄くて。
絵の道を行く人の、すっと引いたように見える
一本の線の美しさに魅了されるように、
自分が今使っている言葉をもっと意識的に探求することで、
言葉でその境地にいきたいなと。
読んで描いてある意味が面白いと思うより、触って、視て、
字の配置や言葉の手触りやつなげ方などで
これ面白い!ってなるようなものをたくさんつくりたいなぁ。
そのためにもう一度明確に自分が何を追いかけてるのか知りたいなと。
今年はそういう意識でやってみます。
詩が描けないことは今までなかったんですが、
これからは考えすぎて、描けなくなるかもしれません。
一喜一憂していきたい。
それがこれからの僕の言葉への感謝を言葉からの恩恵を
世界に循環させることにつながる気が今しています。
そこでこの度「或る言葉の記録」という朗読会を立ち上げることにしました。
ご縁のある方。お立会いいただければ幸いです。
日本ではあまりなじみのない詩の著者自身による朗読会ですが、
映画やゲームのようにものすごく視覚的に強い強烈な体験はできません。
はらはらドキドキしてあー楽しかったってエンタメ体験もできない。
最新のテクノロジーもありません。
素敵なレストランやエステや温泉のような極上の快楽も体験できません。
ただ、残響が消えない言葉の魅力、
言葉の原液をお見せできます。
頭の中で一つの言葉が乱反射して、内側がぐらぐら揺れて、
今自分がどこにいるかわからないくらい
心が目の前に広がって気持ちが溶け出し、
体と現実の境目がなくなるような時間はお渡しできます。
そんな風に、もし、僕の世界に入ったら、頭の中を見せられたら、
それはきっと強烈な視覚体験も、
エンタメ体験も、快楽体験も同時に経験できるはず。
全部を含んで統括して頭の中を動かせる、
純粋に「言葉」だけを触る時間だからできる
何万年も人に何かを伝え続けてきた「言葉」が持つ生の力。
小さいころ絵本なんかを読んでその中にずっと居たみたいな
イマジネーションの世界に皆さんと一緒に行きたいな。
切り取った時間の中で記録した或る言葉たち。
共通の幻想を共有できますように。
詩の朗読会・或る言葉の記録
或る言葉の記録とは…詩人・演出家の久世孝臣が
自分の言葉を各地に伝えて廻る朗読プロジェクト。
ひとつの言葉のような一日。
第一弾は「自画像」をテーマに、
舞台で使用した詩、詩集に採用した詩、謎夜の中から
厳選した作品を朗読します。
衝撃の言語体験。混じりけのない
久世の言葉の原液、言葉で描く、詩人の自画像。
◆日時
3月8日(日)
開場13:00~ 開演13:30~
開場16:00~ 開演16:30~
※各回、読む詩は違います。
※16:30の回は終演後、懇親会あり
◆場所
野方DAILY SPACE
西武新宿線 野方駅 徒歩1分
https://www.dailycoffeestand.com/
◆値段
2500円+1Dink(500円)
一日通し券 4000円+1drink(500円)
◆問い合わせ先
takaomiomi@gmail.com
◆ご予約
※こちらの公演のご予約・お知らせページよりご予約いただけます。
https://kuzetakaomi.weebly.com
それか僕に直接連絡ください。
公式サイト:久世孝臣works
Twitter:@waraukuze
Instagram:@kuzetakaomi
ファンサロン:GOLD PANTHERS
Facebookページ:@YamadaReijiOfficial
平野建太
発 行:合同会社Tetragon
コメント
コメントを書くNTLIVEというもの、久世さんがご紹介くださったので初めて知りました。おもしろそうですね。
"それを家に持ち帰る。しばらく火は消えない。生活の中にも火がともる。"
演劇や映画を観るのって、即効性があるわけではなく、次の日からすぐに自分の中の何かが変わるというわけではないのですが、長い人生を通して確実になんらかの影響を受けるというか、まさに"何かが灯る"経験だなあとハッとさせられました。
それから、朗読会への思い、ブログでも拝見していたのですが、
「言葉への感謝」という文言に衝撃を受けていました。
私は地方住まいで都心へは数年に一度くらいしか訪れられないのですが、今年は可能ならヤンサンのイベントと、玲司先生の個展と、久世さんの朗読会に絶対行ってみたいです。
どうか何度でも負けじと久世さんの幻想の世界をわたしたちに共有させてくださいね。