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山田玲司のヤングサンデー 第312号 2020/10/19

女の予告ホームラン

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この時期のメジャーリーグは毎年観てしまう。


何年か前にこのメルマガでヤンキースのジャッジの話を書いた事もある。


野球に興味のない人が増えたとは言っても「面白い事」は報告したいので今週はメジャーリーグの話をします。


メジャーリーグは今クライマックスを迎えている。


世界最高の化け物みたいた凄い選手が世界中から集まって、後のないトーナメントを本気で闘ってるのを観るのはスターウォーズでも見ているようで楽しい。


体格からフォーム、国籍、勝った時のノリ、全てが独自で様々なのもいい。




【予告ホームラン】


特に痺れたのが「レイズ」と「アストロズ」の戦いだった。


71歳の人情派監督が売りの「アストロズ」と、徹底したデータ野球で勝ち上がった「レイズ」


アストロズは3連敗。後がない状況だった。


負けたら終わりの崖っぷちの試合が始まる。


なんとか同点のまま9回裏まで来たアストロズ。


モンスター級の投手陣を揃えたレイズに対して、アストロズの投手陣は明らかにパワー不足で、使えそうな投手はすでに使い果たした状態だった。


おまけにアストロズのクローザー(抑えの投手)は連投で明らかに疲れている。

いつものキレがないままなんとか9回の表を無失点で抑えた。


そして9回の裏、アストロズの攻撃。


同点のまま「一打サヨナラ」のシーン。


ピッチャーが危ういアストロズはなんとしてもここで決めたい。



しかし、バッターはそれまでノーヒットの「コレア」


この時コレアは監督に向かってこう言ったらしい。


「ホームラン打ってきます」


彼はその直後バッターボックスに向かい、本当にホームランを打った。


コレアは飛んで行く打球の軌道を見つめながら動かなかった。


「これはホームランになるのだ」と信じている顔だった。


すごい事が現実に起こる。スポーツ観戦はこれを見るためにあると思う。




【ロマン主義】


基本的に「予告ホームラン」ってのは「成功した話」だけ話題になって「失敗した話」はあまり語られない。


予告の申告も曖昧なので「予告ホームランの成功確率」なんて調べようがないけど、ちょっと気になる。


入院中の子供をお見舞いに行ったプロ野球選手が「明日、君のためにホームラン打つよ」なんてのも「予告ホームラン」だ。


そんな無謀な約束が案外「結果」につながる、なんて話も聞いたことがある。


もちろん普段の打席より「予告した打席」のほうが集中力も増すだろうし「自分のため」より「あの子のため」になると「予期せぬパワー」なんかも生まれそうだ。



「私がホームランを打つのは決まっているのです」と、勝手に未来を決めちゃうのには惹かれる。


「自分で決めちゃう」のがいい。


予告したってダメなものはある。

そんなのはわかってて「予告」するのだ。


なんかもうこれって「ロマン」とか「美学」の話だ。


随分前にここで「これからはロマン主義でいこう」なんて書いたけど、そんなシーンを目の当たりにした秋だった。

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【私決めたの】


女の人がここぞという場面で言い放つ「私決めたの」という言葉もすごい。


多少の男女関係を体験した人ならわかると思うけど、うまくいってない時の男女には「女が何かを隠している時期」ってのがある。