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山田玲司のヤングサンデー 第57号 2015/11/2

「面白い」の作り方

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日本の映画はどうして面白くないのか?

この秋は「進撃の巨人」の映画版が「酷かった」という話をやたらと聞きました。
僕はあまり邦画を観ないんだけど、今回の「リアルタイムで原作が大ヒットしている漫画」の映画化はハードルが高いだけに僕も興味はありました。

結果、酷評(大コケ)を避けるために取った「あらゆる措置」が、大きく裏目に出たとか、原作ファンは激怒していたとか、いないとか、逆に「大満足の人」もいたとか、いないとか。
実際どうなのかは直接取材していないんで何とも言えないんだけど、「がっかりした」という話はずいぶん聞きました。

映画関係者が「人気イケメン俳優が出れば赤字にはならない」とか「あの監督は言うことを聞いてくれる」とか、あざとい計算をしているのが透けて見えると、その映画を観る気は無くなるものです。
そもそもが「大ヒットしている漫画が原作だからコケない」という制作動機(に見える)も、モノを作る人間としては悲しい話です。

早い話が「お金儲けのための映画」を作っているわけで、「本当に血の通った映画を観てきた人間」がそんな映画を観る気になれないのも当然の話です。



原作レイプとは?

そもそもほとんどの漫画は、漫画家が個人的に発見した「これって面白い」から始まっているものです。

売れる漫画のメソッドを使って漫画を作る人もいますが、ほとんどの漫画家が「自分が見つけた面白いこと」を編集者と七転八倒しながら「伝えられる形」にして受け手に送るわけです。

「こういうの売れるから入れておこうよ」という、姑息な計算もしたりするけど、まずは「これって面白いよね」から始まるのです。


そして漫画家は「失敗したら即失業」という過酷な旅(連載)に出るのです。
そんな多くの「命がけの旅をしている漫画家」の中から、ほんの少しの「ヒット作」が生まれるわけなのですが、これを見つけて応援してくれる読者は、その漫画家が見つけた「面白いこと」を目当てに作品を買っているのです。

そんな奇跡の「ヒット作」を見つけて「何だか売れてるらしいじゃん」と、安易に「これなら儲かるだろう」みたいな映画なんかを作ろうとするのは危険です。

制作サイドがいくら「原作の読者様を裏切ることのないように」とか「誠意を持って」とか言っても、観る方にはすべてバレてしまうのです。
漫画家という小さな「個人」が産んだ「面白さ」を「リスク回避の道具」にする時「原作レイプ」は起こるのです。

(僕は映画版「進撃」を観ていないので、今回の件がどうだったかは言えませんけどね)



「未確認生物ワンパンパン」誕生

先週のメルマガでは、僕は頑張って「ワンパンマン」について書いていたんだけど、そのタイトルに誤字がありました。
「ワンパンマン」が「ワンパンパン」になったまま配信されてしまっていたのです。