【ブロマガ月別アーカイヴ: 2012-12 / 2013-1 / 2013-2生放送はこちら 】

ニャンか、釈然としないでしょ。レスリングの除外は。
でもね、日本バッシングだ、日本パッシングだ、日本レイシズムだ、と憤る前に、どうして1896年に復活した近代オリンピックの第1回大会で競技種目として採用されていたレスリングが、21世紀の2013年になって「除外」だって話になる訳よ。

先ずは理に叶(かな)った説明を行う義務が、国際オリンピック委員会=IOCに有るでしょうに、選手や観客に対してね。コンシューマー・オリエンテッドから程遠い訳です。
詰まり、黄色人種国・日本が云々という以前に、オリンピックの歴史を「改竄(かいざん)」するに等しい「採決」な訳で、五輪バッシングでしょ、五輪パッシングでしょ、五輪ネガティヴでしょ、と論陣を張るメディアが、どうして現れないのですかね?

物の本に拠れば、紀元前776年にアテネで開始された古代オリンピックでも、短距離走・走り幅跳び・円盤投げ・槍投げを勝ち残った選手が最後にレスリングで決着を付けたのだとか。即ちレスリングは、古代オリンピックに於ける「五種競技」の1つな訳です。
リヒャルト・ヴォン・ヴァイツゼッカーの科白を捩(もじ)れば、「過去の歴史に目を瞑る者は、現在の誇りにも、未来の喜びにも目を瞑る者でっせ」w。
因みに近代五種競技は、射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニングです。

更に、競技種目数の「上限」は一体、どういう根拠で決定されている訳?
だって、昨年のロンドン五輪では26競技。2008年の北京五輪では28競技、2004年のアテネ五輪でも28競技。
で、2016年のリオデジャネイロ五輪では7人制ラグビーと、1904年=明治37年以来112年振りに復活したゴルフが加わって28競技。お~い、「裁量行政」でっか!?

ウィキペディア君に拠れば(苦笑)、

オリンピック夏季大会競技団体連合(ASOIF)に国際競技連盟(IF)が加盟している競技が正式競技とされ、本大会の7年前の国際オリンピック委員会(IOC)総会で最終決定する。競技数の上限は28である。競技・種目数は一貫して増え続け、シドニー五輪(2000年)では28競技・300種に達したことから五輪の肥大化が問題視され、ロンドン五輪(2012年)では野球とソフトボールが外され、26競技・302種目に減らされた。2007年には中核競技制度が導入され、2016年のリオ大会ではロンドンで実施された26競技(2020年大会では25競技)は除外されない。リオ大会ではゴルフとラグビー(7人制)が加わり、28競技で実施されることが決まっている。


「五輪の肥大化が問題視され」て、ロンドン五輪では26競技と2競技減少したのに、次回のリオデジャネイロ五輪では再び28競技。で、2020年五輪では27競技。
紛れもなく裁量行政でしょ(爆)。

と記してきて気付いたのですが、
シドニー28競技・300種目
アテネ 28競技・301種目
北京  28競技・302種目
ロンドン26競技・302種目
リオ  28競技・??種目

オ~ッ、競技と種目は違う訳です。
ところが、その「競技」は、陸上競技もバレーボールも、更にはビーチバレーも、それぞれ1競技な訳です。これこそ変じゃな~ぃ?
だって、レイヤー=layer=階層が違いすぎるでしょ!
陸上競技には100mもマラソンも競歩も棒高跳びも走り幅跳びも砲丸投げも円盤投げも槍投げも、全~部、一緒くたに含まれて、1競技と定義されている訳よ。
(余談ながら、「なんクリ」時代に風靡した「レイヤー・カット」は、階層=段差を付けてカットした髪型ですね)

「レスリング消滅!」と大見出しを打って大々的に報じている各紙をチェックしましたが、「競技」と「種目」の定義を解説している媒体にはお目に掛かれませんでした。
グローバル・スタンダード、ウエスタン・スタンダード、アメリカン・スタンダードと片仮名で惹句を掲げられると、それが実はローカル・スタンダード以下の“やらずぼったくり”なルール以下の、身勝手な「掟」であっても疑いもせずに受け入れてしまう「新手のB層」wという名の新自由主義信奉者と同一の心智が、ここでも蔓延しています。

そもそも、理に叶った「上限」という「基準=スタンダード」を設けるなら、競技でなく種目で考えるべきじゃないのぉ?
IOC理事会の側に、説明責任が求められている訳でね。

ところがところが、
「危機感欠いた伝統競技 ロビー活動せず 五輪レスリング」という見出しになっちゃうのは何故ですかねぇ??
昨夏のロンドン五輪で、日本が獲得した金メダル7個のうち4個がレスリング。そのお家芸が、東京都が招致を目指す2020年五輪の実施競技から外れることがほぼ確実になった。国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、どのように決められたのか。▼1面参照

 理事会は12日午前、ローザンヌのホテルで非公開で行われた。理事会に出席できるロゲ会長と4人の副会長、10人の理事の計15人全員が顔をそろえた。

 カルシュミット理事(グアテマラ)によると、会議ではまず、事前にプログラム委員会が各理事に配布した全26競技の報告書について検討した。報告書は、ロンドン五輪でのテレビ視聴率やチケットの売り上げ、反ドーピングへの取り組みや競技の世界的普及度など36項目について、26競技ごとに分析したものだ。

 報告書を基にした話し合いを経て、「中核競技」から外れる候補としてレスリング、近代5種、ホッケー、カヌー、テコンドーの5競技が残ったという。無記名の投票で、最後にレスリングの除外が決まった。

 除外される可能性が指摘されていた「本命」は近代5種で、「対抗」はテコンドーだった。近代5種は競技人口の少なさ、テコンドーは判定のわかりにくさなどが指摘されていた。

 それが、なぜレスリングになったのか。IOCから正式な発表はないが、ある理事は「第1回近代五輪から実施され、伝統があるレスリングの関係者は危機感がなかった」と話す。これまで、フリーとグレコローマンの二つの種別のうち、グレコローマンは除外の候補に挙がったこともあったが、競技自体は話題にあがらなかった。理事会の会場となったホテルに、レスリング関係者がロビー活動している様子はなかった。

 理事会後、国際近代五種連合の副会長であるサマランチジュニア理事(スペイン)は「昨日、私が言った通りだ。まだ私たちは死んでいない。努力をつづけるとね」と得意げに話した。

 カルシュミット理事は世界テコンドー連盟の倫理委員長を務める。「テコンドーはロンドン五輪での評価は高く、加盟国・地域数も200を超す」と話す。

 IOCの内情に詳しい五輪招致のコンサルタントの一人は「理事会内部で積極的にロビー活動をできる人物がいた競技は強かった」と背景を説明した。理事会メンバー15人の中に、レスリング出身者はいない。

(ローザンヌ=稲垣康介、平井隆介)

 ●「IOC説得へ、あらゆる手段」 国際レスリング連盟

 国際レスリング連盟は12日、IOC理事会の決定に対するコメントを公式ホームページ上に掲載した。「非常に驚いた。古代五輪や近代五輪の創設時から実施された競技に対して異常な決定をしたIOC理事会と委員を、必要なあらゆる手段をもって説得する」と表明。16、17日にタイで会議を開き、5月のIOC理事会に向けた対応策を話し合うとしている。

 <長野修士全日本テコンドー協会常務理事> 「私たちも外れるんじゃないかという不安があった。世界連盟や韓国の協会はIOCに直談判したと聞いているし、ルール改正にも取り組んできた。レスリングと聞いてびっくりしている」

 <横田博之日本ソフトボール協会事務局長> 「人ごとではない。同じ境遇になったものとして、心を痛める。(追加候補の)ライバルになるとか、影響があるという次元ではない」

■実施競技決定の流れ

 ◆2月 IOC理事会で、2020年五輪で実施する競技を議論。ロンドン五輪実施26競技からレスリングが外れた。16年リオ五輪から加わる7人制ラグビー、ゴルフと合わせ、20年五輪で必ず実施される27競技が決定

 ◆5月 IOC理事会で、新しい7競技とレスリングの計8競技を、20年五輪で追加実施する候補として検討し、候補数を絞る

 ◆9月 IOC総会で、追加実施候補のうちどれか1競技を、20年五輪で実際に採用するかどうかを決定

■ロンドン五輪で実施された26競技
 陸上、水泳、サッカー、テニス、ボート、ホッケー、ボクシング、バレー、体操、バスケット、レスリング、セーリング、重量挙げ、ハンドボール、自転車、卓球、馬術、フェンシング、柔道、射撃、近代5種、カヌー、アーチェリー、バドミントン、テコンドー、トライアスロン
(リオ五輪では、ゴルフと7人制ラグビーを加えた28競技を実施予定)

■2020年五輪から新たに採用される競技の候補

 ◆野球・ソフトボール
 ◆スカッシュ
 ◆ウエークボード(水上スキー)
 ◆空手
 ◆武術
 ◆スポーツクライミング
 ◆ローラースポーツ
時差8時間のスイスはローザンヌで現地時間12日午後0時21分に遠藤啓生記者が撮影した写真に「会見でレスリングが除外される可能性について発表するIOCのマーク・アダムス広報部長」のキャプション付で、日本時間23時27分にアップされた第一報の見出しは「レスリング、20年五輪から除外へ IOC理事会」と“シンプル”だったのに、朝刊紙面では
「危機感欠いた伝統競技 ロビー活動せず 五輪レスリング」という見出しになっちゃうのは、繰り返し申し上げますが、何故ですかねぇ??

「ロビー活動」って、早い話が口利きや陳情でしょ。
それって、“お召し列車”を仕立てて「上山田温泉」にファン・アントニオ・サマランチさまをお招きして「招致活動」を行った揚げ句、「帳簿」は「焼却」したと強弁した一件を、見出しを付けた「朝日新聞」東京本社の編集幹部は、結果として「是認」しちゃう話になりませんかね(苦笑)。

符丁で「本記」と呼ばれる記事本文でも、「伝統があるレスリングの関係者は危機感がなかった」、「理事会の会場となったホテルに、レスリング関係者がロビー活動している様子はなかった」と報じてますから、経費削減の折wに少なくとも3名の記者をローザンヌに特派した「朝日新聞」の心智は、まっ、そういう事な訳ですね。
その前に、競技数と種目数のレイヤーの不可解さや、そもそも、競技数が増えたっていいじゃないの、という主張にならないのは、どうしてザンショ。

スカッシュに加えて空手や武術、更にはウェークボードまで2020年五輪の採用競技候補になってるんですから、「上限」撤廃を述べた方が、安倍ちゃんもビックリな“経済効果”でしょうに。
まっ、個人的には周囲にウェイクサーフィンを愉しむ面々も多いので、これも併せてどうざんしょ、って気もします。

とまれ、理に叶ってない「上限の設定」「競技と種目のレイヤー」に“着目”せずにレスリング敗北だのロビー活動怠慢だのと情緒的な
B層呆道は変だよね。


はてさて、全世界に報じられた「帳簿焼却」がトラウマとなっていた長野県民の要望に応えて、設置した「長野県」調査委員会が見事に「帳簿」を発見し、その詳細を報告した経緯と文書は、こちらで御覧頂けます。

「『長野県』調査委員会」の「長野冬季オリンピック招致委員会帳簿処分問題に関する調査報告書」

「長野冬季五輪招致の帳簿『焼却』事件への長野県の取り組み」

長野冬季五輪の音頭を取った八十二銀行や信濃毎日新聞の“逆鱗”wに触れてしまったのも、今や懐かしい想い出ですね(苦笑)。

ところで、「共同通信」が速報した

新たに2人が甲状腺がん

 福島県が行っている県民健康管理調査の甲状腺検査で、県の検討委員会は13日、18歳以下の2人が新たに甲状腺がんと確定したと報告した。昨年9月に判明の1人と合わせ、計3人となった。
2/13 11:57

放射線の影響を否定

 新たに2人が甲状腺がんと確定したことについて、福島県立医大の鈴木真一教授は「甲状腺がんは最短で4~5年で発見というのがチェルノブイリの知見。今の調査はもともとあった甲状腺がんを把握している」と述べ、福島第1原発事故による放射線の影響を否定した。
2/13 12:16

いやぁ、
「放射能の影響はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験で判っています」と「3・11」直後に講演した映像がYouTube上で視聴可能な日本甲状腺学会理事長で福島県放射線健康リスク管理アドバイザー、この3月迄は福島県立医科大学副学長を務め、4月からは古巣の長崎大学医学部に「避難」wする山下俊一氏の薫陶を受ける医学博士は流石、違いますなぁ(涙)。
「科学を信じて・技術を疑わず」以下の八卦見の心智です。



㋣学会認定の山下氏と細野豪志氏の「妄言」に言及した僕の原稿

「トンデモ“二股大臣”はオツムをCT検査せよ」

「竹槍で放射能と闘う気かよ」

「間違った『決められる政治』」

「憂国呆談」
で再読可能です。

という訳で、
「だから、言わんこっちゃない!」
のですね。
本当は、ローザンヌの「光と影」というか「闇」にも言及したかったのですが、これは次回以降ですね。ゴメン、ペコリ。

では、
16時からの無料生放送も、どうぞお楽しみに!