四君子さん のコメント
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第216号 2017.3.14発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが見舞われたヘンテコな経験を疑似体験!?小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…3月10日夕方、森友学園の運営する塚本幼稚園で記者会見が開かれた。キー局ほぼ全社が生中継するなか現れた籠池理事長は、小学校認可取り下げの報告や自身の理事長退任、さらにマスコミや大阪府に対する恨み節を炸裂させた。しかし、この記者会見のテレビ中継は開始30分で中断。安倍首相が南スーダンからのPKO撤退を緊急決定し、緊急記者会見を行ったのだ。明白な「籠池会見潰し」である。果たして中継中断の後、明らかになった事実とは?
※「ゴーマニズム宣言」…毎日のように新ネタの映像が出てくる森友学園疑獄だが、籠池氏はじめ自称保守派やネトウヨは「日本民族」が大好きである。しかし、そもそも「日本民族」なんてありうるのか?何をもって「日本民族」と言っているのか?アイヌ民族を主張する左派と、日本民族を主張するアナクロ極右・ネトウヨ連中の共通点とは?彼らが依拠する「国粋主義」は、本来の「国粋主義」とは全く別物である!アナクロニズムを脱して、アップデートせよ!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!戦隊モノで女性戦士がリーダー(レッド)になれないのは男尊女卑だから?女性グラビアを買うときの基準は顔?スタイル?常識に欠ける人にはどう接するべき?まゆゆ主演ドラマ『さよなら、きりたんぽ』問題をどう思う?浪江町の避難指示解除は正しい判断?故郷でない土地は何年住んでも他所の町?考えを変える時、罪悪感にかられない?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第24回「官邸の“籠池潰し”で幕引きさせるな!~森友デンジャラス学園に見る安倍首相の強固な支持層の姿」
2. ゴーマニズム宣言・第216回「【日本民族】はいない」
3. しゃべらせてクリ!・第174回「泣かんでクリ、得票ゼロの人、袋小路く~ん!の巻〈後編〉」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第24回「官邸の“籠池潰し”で幕引きさせるな!~森友デンジャラス学園に見る安倍首相の強固な支持層の姿」 私は“日教組の牙城”と言われる三重県出身だけれど、通っていたのは国立の学校で、体育館の正面には日の丸が掲揚されており、入学式や卒業式などの式典では当たり前のように『君が代』の斉唱もあった。壇上にあがった校長先生が、まず日の丸に一礼してから演台に立ち、生徒に向き直るという一連の動作も見ているから、あれは自然な「礼儀」のひとつだと受け入れていた。
しかし、在特会やネトウヨの姿を見てきて、そして今回、この会見を目撃して、やはりこう思うに至った。 「日の丸掲げて主張する奴って、やっぱりおかしいわ……」 。
◆これが、安倍晋三首相の強固な支持者の姿だ!
3月10日夕方、森友学園の運営する塚本幼稚園で記者会見が開かれ、キー局ほぼ全社が生中継して待つなか、籠池泰典理事長がカメラの前に登場し、まずは壁に掲げた日の丸に一礼、着席した。
マイクを握った籠池理事長がぶっちぎりで話しはじめたのは、問題の土地で建設中の小学校開校認可取り下げの報告と、自身の理事長退任、それからマスコミや大阪府に対する恨みつらみの言葉の数々だった。
記者の質問に対しては、煙にまいて答えないか、一方的な主張を繰り返すか、 「カネと言うな、“お金”と言いなさい! あなたちょっと悪いんじゃないのお!? 眼鏡かけてるけど!」 などと笑いを誘っているとしか思えないキレ方をするばかり。暴露された数々の証拠物件についても「そもそも暴露したのは誰なんだ?」と、強引にピントをずらしていく。
その上で、小学校建設については、今後も 「あきらめない」「開校の延期」 と、再チャレンジの可能性があることを平然と語った。
資金集めにさんざん苦慮して、鴻池議員にコンニャクアタックしてまで粘り強く値切ってきた人が、これから何億もの負債を背負うことになるのに、まだ「開校延期」と堂々と言えるその根拠はどこから来ているのか――?
●森友学園の愛国教育の結晶 “ネトウヨの現人神”
なかでも強力だったのは、会見に同席した 長男の籠池佳茂氏 だった。たびたび質疑応答に割り込んで、記者の質問を妨害しながら強引に発言する様子には、唖然とさせられた。
「新左翼と共産党と朝日新聞が連動して事態が勃発したんですよ」
「鴻池事務所の陳情記録が共産党から出てきた。自民党から共産党へ流れたというこのルートもおかしい。なんでそんなズブズブなん?」
「都構想の時もそうやったでしょ! 自民党、共産党とかの街宣に一緒に乗ったでしょ!」
「いま質問されたのはどなた? 朝日? 朝日はもういい!」
「産経さんはおられないんですか!? 産経さんは!!」
うわあ、すご~い! ネットで見たことあるやつやぁ。
思わずテンションが上がってしまうほどの、完全なるネトウヨだった。ネット上でしか見たことのないセリフを、まったく正確にコピペして、テレビのなかでよどみなく堂々としゃべっている人がそこにいて、ああ、ネトウヨってやっぱり未確認生命体じゃなく、こうして実在するんだなと妙な感慨を得た。
お国のために使命感を持って、特攻隊のような気持ちで素晴らしい小学校を作ろうとしている俺たちを妨害するのは、やはり反日勢力・朝日の陰謀なんだ! すべて朝日のせい! 朝日は嘘を書くダメな新聞だ! 慰安婦問題を思い出せ! 売国朝日を排除しろ! 産経よ、勇ましく立ち上がって俺たちを称えてくれ!
……これで約140文字だが、だいたい、主張の要点はこのぐらいのものだ。
同時に、籠池理事長の教育方針のもと育った子供は、やっぱりこうなってしまうんだな、とも思った。森友学園式教育の結晶、それが、ほとんどネトウヨの現人神としか思えない、籠池佳茂氏の姿なのだった。
籠池理事長と、この長男佳茂氏の「反日朝日陰謀観」はあまりに強大で、朝日新聞や朝日放送の記者が質問しようとすると、ふたりがかりで「朝日さん? 朝日はだめ!」「朝日は、いいの。朝日は嘘を書く!」「朝日放送もだめ」「朝日は、だめなの!」と畳みかけて話にならなかった。しまいに、苛立った記者から、
「産経新聞が聞こう! 産経が聞け! 産経が聞け! 産経、聞けっ!!」
と怒声があがったのには思わず笑ってしまった。
●“森友学園の暴力装置”籠池諄子副園長
この時に、記者会見場の脇からじっと籠池親子の姿を見つめ、時に激しくうなづき、時に顔をゆがめて感情をあらわにしていた人物がいる。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
トンデモ見聞録・第24回
いつにもまして、木蘭さんの舌鋒が鋭かった回でした。
今回の「道場」でもアナクロ右翼ということばがありましたが、籠池一族はその典型例なのだと明示されています。中國・韓國を非難し、朝日新聞などのマスコミをたたき、産経新聞を讃美すれば、何か格が上がったものであるかの如く思ってしまうのは、形式を遵守することにとらわれ、情勢にあわせて、自分を変化させてゆく弾性をかいた、塑性(そせい)的な保守だと言えるのではないかと思います。ステロタイプの言論と言ってもよろしいかと。
安倍や稲田などはそれらに比べて、己の政治家としての地位を防衛しようとするしたたかさが感じられますが、結局のところ姑息なものでしかないように見えます。籠池氏らが證人喚問されて、パンドラの箱が開かれて真実が明るみに出ることをのぞみます。そして、國賊安倍らに天誅の下らんことを希望し、譲位問題など、本当に重大な課題が解決されることを期待します。
というか、もっとましな政治家や教育者は現れないものでしょうか?
ゴーマニズム宣言 第216回「【日本民族】はいない」
ある意味、衝撃的なタイトルです。
「人種」と「民族」の違いについて、私たちは社会(地理・政治経済)などで学びますが、じつはかなり混同していて、血の純粋さが民族の誇りだという誤認をいだいているのではありますまいか。その誤謬は、天皇制の皇位継承における男系絶対主義にもあらわれており、穢多・非人などの差別論ともつながっているようにも見えます。
先日、書店で百田尚樹氏の本をたちよみしましたが、そこには、曾野綾子さんのおっしゃるように、南アフリカのホームランドによる人種隔離政策は、この國では仕方がないものではないかと、現状を見て思った、その根拠として、中國や旧ソ連の強制移動による人種消滅があるということが記されていました。私は、自國内に無理矢理國境を定めて、部族集團を閉ぢこめるような政策は正常なものではないと思うのですが、部族の傳統という視点から考えたら、そのことについてだけ言えば、一理あるのかも知れないと感じました。
ただし、それは南アフリカが一つの言語や文化でまとまっていないからこそ起こる悲劇であって、日本のように、各地から部族集團が移住してきたとしても、天皇という象徴でまとまってきた歴史を持つ國家においては、当てはまらないのではないかと感じました。
ヨーロッパの場合も、支那・東南アジア・イスラム世界の場合も、少数集團が存在して、國内を統合しなければならないというテーゼがある限り、その國や地域にあった特殊の事情がうまれてやむを得ないのだと思います。
同じ人間だから、と私たちはよく言いますが、それは同じであっても、じつは似ているということであって、似ているということは、違っていることでもあるのだと言えるのではないでしょうか。
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