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希蝶さん のコメント

 そろそろ纏めます。

 ゴーマニズム宣言第258回「みにくい国、日本の権威主義と忖度」

 何度も繰り返してゐることですが、権力との癒着といふと、「火の鳥」鳳凰篇の茜丸になってしまひます(一番わかりやすい例ですよね)。あの人と桜を一緒に見たからといって、何かアップグレードできるんでせうか?
 何だか「タケちゃんマン」を思ひだしました。「ベルばら」でも、マリー・アントワネットとむすびつかうとした女性、なんてのが存在しましたよね。

 あと、聖武天皇の娘、不破内親王をめとった親王に、「塩焼王」(のちに氷上塩焼〔ひかみの しほやき〕として、臣籍降下する)といふ人がゐるんですが、この人は反藤原仲麻呂運動をしたあと、仲麻呂に勝てないと分かった途端、そっちに尻尾を振るんです。仲麻呂(恵美押勝)が失脚したあと、彼は押勝側について、叛乱するんですが、結局押勝ともども処刑されてしまった、といふ末路です。権威を利用し、強い者に味方しようとする人間の宿命のやうに感じられます。
 ちなみに塩焼の弟は、道祖王(ふなどの わう)と言って、聖武の娘、孝謙天皇(不破の異母姉)の皇太子に(聖武によって)選ばれるのですが、行ひがよろしくないと言はれてやめさせられ、橘奈良麻呂事件といふ、反仲麻呂クーデターのとばっちりを受けて、結局殺されました。
 その殺され方が、「プレ小林多喜二」・「江藤新平前哨戦」といった感じで、笞(鞭打ちの刑)に決まるのですが、「まだ何か隠してゐることがあるだらう、はいてしまへ!」と言はれて笞で打たれ続け、衰弱・拷問死してしまったのだとか。奈良麻呂事件では、奈良麻呂本人も含めて、かうした形で国家に殺された人が多数ゐて(その中には遣唐使でたしか新羅と席次を争って、無事一番を獲得した大伴古麻呂(おほとものこまろ)といふ立派な人もゐる。古麻呂が鑑真を日本に無事連れ帰った)、いったい権力とはなぜかくもとち狂った、非人道的なことをするのだらう、と感じます(サドマゾ話とは違ふのだから)。
 なほ、塩焼の妻である不破内親王は、その後も反律令国家活動をつづけ、桓武天皇の時代に息子ともども島流しにされます。その後は行方知れずに。旦那に比べて、ある意味、気骨はあったといへるでせう。
 不破の(同じ母親の)姉は井上(ゐかみ)内親王といって、桓武の父親、光仁天皇の皇后になるのですが、天皇の崩御を祈願してのろったとか言はれて、息子の皇太子ともども廃され、三年後に息子と同日に謎の死をとげたのだとか。
 確かにかういふ話は古代から存在する、と言へますが、安倍晋三氏やそのとりまきは、その歴史を悪用して己らを美化し、自分たちの無知さ加減を曝露してゐるとも言へるわけで、もっと日本の歴史を学びなほした方が良いのではないか、と思ひます。

 以上、うろ覚えで物知り話を語りましたが(今回のは、永井路子さんのエッセーの内容からです)、本日のよしりん先生のブログと重なりますが、自分の足であるけるやうにならないと、何を言っても駄目なのかな、と自戒します。私たちが歴史を学ぶ、といふのは、過去から見いだせる教訓と共通性。相異点をよみとることにあるのではないかな、と。

 もくれん師範の「8人の金持ち」といふ話をよんでも、私たちは、そんな不正の財産を貯蓄してゐるやからはどこの誰なのか、と嫉妬・いきどほりや怒りを感じないといけないのでは、と思ひます。昔よんだSF的な童話に「三人のふとっちょ」なんて話もあったんですが。
 権力が必ずしも不正をするとは限らない、けれども、その確率は大なのだから、共謀罪とか監視社会とか言はれても、必ず逆に「権力」や「暴力」のなせるわざを観察しないといけない、と思ひました。プロメテウスは火を人間に与へるといふ良いことをしたけれども、神ゼウスの目から見ると、人間に智慧をさづけると増長し、傲慢になるとかいった罪に値し、「権力」と「暴力」の手によって、生きながらはりつけにされてゐるわけですが、それだって、ゼウス側の勝手な言ひ分だったのかもしれないのです(プロメテウスのはうにもおごりはあったといふ解釈も成り立つわけですが)。
 先の国譲りや野見宿禰の話も、「大和と出雲の対立・融和」といふテーマと、大いに関連があります。

 少し力を入れすぎました。でも、歴史や伝説・神話は、現代に生きるもののデータバンクとして、活用されて欲しいです。歴史的に見ても、現代の視点からも正しい権威にもとづいた政治が、権力を通じて行はれることを願ひます。

 木蘭さんのはうは。あとで纏めます。
No.255
81ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第252号 2017.12.26発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…先週は「政治体制としての権威主義に堕した国民」と題して書いたが、この問題は現在の日本にかなり根深く浸透してしまっている。安倍のメディア出演や首相主催の「桜を見る会」などを通して、芸能人までもがあからさまに権力にすり寄り社会的弱者を叩く有様だ。日本はどこまで醜い国になるのか? ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…今回は、読者巻き込み型企画。みなさんのまわりに、私心、私情、私欲だけにとらわれて、迷惑行為に走ってしまう、トンデモなふるまいを晒してしまっている「わたくしの人たち」はいませんか?ここにもいる、あそこにもいる、うわっ、自分がそうなっちゃってるかも……。報告を受けたもくれん探偵が、推理、妄想、解決(?)していきます! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!民進党の行方はどうなるの?多様性を認めた教育とは?年越し蕎麦とおせち料理は食べる?野党側から(憲法)9条2項削除案は出せないの?今年の大晦日も「笑ってはいけない」を見る?よしりん先生は神対応ってできる?老年層はなぜ貴乃花親方に対して批判的なの?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第258回「醜い国・日本の権威主義と忖度」 2. しゃべらせてクリ!・第210回「今年のしゃべクリ30選・2017」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第62回「年末特別企画『スクープ! わたくしの人たち』」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第258回「醜い国・日本の権威主義と忖度」  先週は 「政治体制としての権威主義に堕した国民」 と題して書いたが、この問題は現在の日本にかなり根深く浸透してしまっているので、今回も引き続いて掘り下げていこう。  先日、松本人志が「ワイドナショー」(フジテレビ)で共演している指原莉乃、古市憲寿、東野幸治と共に、安倍晋三と焼肉会食をしたことが報じられ、話題になった。  古市はツイッターで、 「単純に安倍さん出演回の番組出演者で打ち上げに行きましょうという話が、今月まで延び延びになっていただけ」 と苦しい言い訳をしたが、安倍がワイドナショーに出演したのは昨年5月1日で、もう1年7か月も前のことだ。  たった1度安倍が出た回の「打ち上げ」の話など、実現しないまま1年半も経ったら立ち消えになるのが普通だろう。それをわざわざ実行したこと自体、安倍と松本・古市らの関係が普通じゃないほどズブズブベッタリだということの証明以外の何者でもない。  そもそも安倍が出たワイドナショーは露骨な安倍ヨイショ番組だったし、松本はその後、安倍政権を擁護する発言を繰り返しており、完全に安倍シンパの感覚になっているではないか。  こんなふうに、芸能人などが権力にすり寄っていくことこそが、 「政治体制としての権威主義に堕した国民」 の醜態そのものなのである。  以前は、著名人がここまであからさまに権力にすり寄る姿を見せることなど、まずなかった。これは第二次安倍政権発足以降の現象だ。  毎年4月に行われている首相主催の「桜を見る会」は今年で62回を数える恒例行事だが、ここ数年は芸能人が多数招待されて、嬉々として参加する様子がかつてないほど大きく報道されるようになっている。  天皇皇后両陛下が主催する園遊会ならわかるけれども、安倍なんかに呼ばれて、よく行く気がするなあとわしは思う。  ちなみに園遊会の招待基準は「産業・文化・芸術・社会事業などの分野で功労のあった人」などと宮内庁が厳格に定めているのに対して、桜を見る会は政府与党推薦で決めていて、基準はユルユルだという。  元衆院議員の中田宏はブログにこう記している。 「この桜を見る会は与党の党勢と支持拡大の面が多分にあります。  招待者は基本的には政府・与党の推薦なので、国会議員は自分の招待枠に後援会の人を招待することもあります。  総理主催であることや多彩な顔ぶれの人たちに会えるかもしれないという意味で、ファンサービスの側面があるのです」  やっぱりこれは政権のPRイベント以外の何者でもなく、メディア戦略に長けた安倍政権は完全に意図的に、政権の好感度アップに利用するために芸能人を招待しているのだ。  わざわざこんなところにでかけて、はしゃいで安倍と記念撮影なんかして、まんまと権力に利用されている芸能人を見ると、キモいとさえ感じてしまう。  いまは首相に対する感情が、すごく憎むか、すごく好きかのどちらかに極端に二分化されているが、「すごく好き」の有様は、明らかに尋常ではない状態になっている。  月刊Hanada2月号など、安倍首相のインタビューを大々的にトップにして誌面を組み、産経新聞に全面広告まで打った。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!