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希蝶さん のコメント

 もう少しだけ、語らせて下さい。今回のテーマとは外れますが、思い出した話があるので、紹介しておきます。
 おおにし真という漫画家の作品、「光と闇の方程式」です。今では入手困難なので、詳しく話を説明します。

 第7巻収録「歪んだ構図」
 OL相田は気がついたら、ホテルのベッドの中で、側にいたのは係長の永瀬であった。
 彼に言わせると、飲み会の席で酔った相田をタクシーで送るだけのつもりが、手を引いて「まだ帰らない」と言ったのだという。確かに酔っていたかもしれないけれども、自分はそんなことは言うはずがないと言った彼女は「帰ります」と答えたが、係長は「自分から誘っておいて僕に恥をかかせる気か?」と言い、相田が「苦しいから服を脱がせて」と言ったのだという。
 それでも、逃げるようにその場を離れた彼女であったが、翌日、社内で彼女のことが噂になっていた。周りの目がいたたまれなくなった彼女は会社を退社することになった。彼女は、弁護士の真嶋宇多子に、元上司をセクスハラスメントで訴えたいと依頼した。

 真嶋が調べたところによると、相田は、美人でグラマラスであったため、元々社内からそういう噂を立てられており、それが係長の話で事実と認証されたのではないか、という証言を得た。その一方で、同僚の女子社員からは見た目が華やかで派手に見られるけれども、「遊んでるように見られるから、逆に好きな男性が見つからない」という彼女の悩みを聞いていた、という証言があった。同僚は、永瀬係長についてはやさしく、ハンサムで仕事もでき、愛妻家であるため、評判が良かったとも証言している。課長昇進の噂も出ていたようである。

 その後、真嶋弁護士のところへ、脅迫電話のようなものがかかってくることが多くなった。後日、永瀬と面会した真嶋は、花井和美という女性を知らないか、と尋ねる。花井も、永瀬の噂により退社を余儀なくされた犧牲者であった。

 そんな折、真嶋は永瀬に襲われ、今回のことから手を引け、と直接脅迫されるが、間一髪で恋人の日向に救われる。永瀬は「いまこんなことをされては困る、勘弁して下さい」と呟いていた。

 真嶋は、永瀬のことを気の毒に思いながらも、こう呟いた。
「だからといって、女性の譲歩や犠牲で職場の関係を調整しようなんてことも許されてはいけないのよ。職場の管理職のほとんどを男性が占め、そういった彼らが悪意なしに女性を傷つけることは少なくないわ」
「セクハラ裁判-確かにそういった形で勝訴にもちこむのはむずかしいし、今回にしてもむしろ名誉毀損による損害賠償請求のほうが有利よね。でも、それをあえてこういった形で闘うのは、働く女性たちのささやかな抵抗」
「どこまでやれるかわからない。だけど、だれかがやらなくてはいけないのよ。この男性優位の日本社会で、職場において『なにをしてはならないか』ということを-」

 以上、1993年の作品です。このシリーズは実際にあった事件よりヒントを得て作られた話が多く、これも実話に近い話なのかもしれません。

 私がなぜこれを記したのかは、言うまでもないでしょう。トロツキスト?さんのおっしゃる、陰謀論だ何だといっている愚か者にも読ませたい話です。
 今回のライジングテーマとは離れますが、伊藤さんのエールのようなものになれば、と願います。

 それでは、「オドレら正気か?」関西出張版の成功を応援します。私も『韓国論』を希望します。
No.51
64ヶ月前
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第328号 2019.9.3発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…9月1日、関東大震災の犠牲者を追悼する大法要が東京都墨田区の都立横網町公園にある東京都慰霊堂で営まれた。また、公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、日朝協会東京都連合会による朝鮮人犠牲者追悼式も開催された。この追悼式典には、2016年まで、東京都知事が毎年追悼文を寄せていたが、2017年に小池百合子都知事が取り止めて以降、今年まで3年連続で見送られた。この件がもとで左派が反発を強めており、また、式典当日に同じ場所で「朝鮮人虐殺はなかった」と訴える右派の集会も行われるという情報があったため、気になって現場へ向かったのだ。果たして「虐殺はなかった」と言えるのか?デマが広がり過激化していく根源には何があったのか? ※「ゴーマニズム宣言」…史上最悪といわれる日韓関係について、各ワイドショーではもはや韓国側の擁護はほとんどなく、GSOMIAの破棄にしても、韓国が一方的に判断を誤って事態を悪化させているといった論調になっている。ところが、そんな各ワイドショーの中で、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」だけがおかしい。とにかく韓国を擁護し、日韓仲良くしなきゃダメという方向に世論を誘導しようと躍起になっているのだ。なぜそうなるのか?リベラル左翼の危険性とは? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!京アニ事件の被害者の実名公表についてどう考える?精神論や根性論をどう思う?あおり運転されない為にはどうすれば良い?顔文字はおっさん文化…先生は顔文字に抵抗ある?88歳の元高級官僚の暴走運転により母子が死亡した事故、どう処すべき?未来への希望を失い、国家も人生ももはやどうでも良い…でもどうでもよくなくしたい…私はどうすれば良い?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第138回「関東大震災犠牲者慰霊法要レポート」 2. ゴーマニズム宣言・第339回「『条約』すら無視するリベラル左翼の危うさ」 3. しゃべらせてクリ!・第285回「原始人チャマ・サピエンス危機一髪!の巻〈前編〉」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第138回「関東大震災犠牲者慰霊法要レポート」  9月1日、関東大震災の犠牲者を追悼する大法要が東京都墨田区の都立横網町公園にある東京都慰霊堂で営まれた。取材に赴いたのだが、日曜日でもあり、かなりの人が集まっており、公園に入ってからなかなか中心部にたどり着けないほどだった。新聞発表では約700人が集まったという。  東京都慰霊堂での大法要は、都慰霊協会が主催するものだ。昨年まで出席されていた秋篠宮ご夫妻に代わり、次女の佳子さまが初めて参列された。また、この大法要とは別に、公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑の前では、日朝協会東京都連合会による朝鮮人犠牲者追悼式も開催された。    この追悼碑の隣には、 「一九二三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」 という文章からはじまる石板が立てられている。  大震災直後に 「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が火をつけて歩いている」 などのデマが発生し、あちこちで結成された自警団によって、“朝鮮人狩り”が行われたという出来事だ。  平成20年3月現在、政府が公表している専門調査会報告書によれば、 「武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えたあげくに殺害するという虐殺という表現が妥当する例が多かった」「加害者の形態は官憲によるものから官憲が保護している被害者を官憲の抵抗を排除して民間人が殺害したものまで多様である」「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による死者数の1~数パーセント(1,000人から5~6,000人)」 ( 1923 関東大震災【第2編】第4章 第2節「殺傷事件の発生」 より)とされている。  したがって、この政府報告書に従うならば、石板に書かれた「六千余名」は、正確な人数かどうかはわからないが、推定される最大の犠牲者数ということになる。  朝鮮人犠牲者の追悼式典には、2016年まで、東京都知事が毎年追悼文を寄せていたが、2017年に小池百合子都知事が取り止めて、そのまま今年まで3年連続で見送られた。この件がもとで左派が反発を強めており、また、式典当日に同じ場所で「朝鮮人虐殺はなかった」と訴える右派の集会も行われるという情報があったため、気になって現場へ向かったのだ。 ●「朝鮮人虐殺はなかった」の団体演説  現場では、追悼碑を囲んで慰霊式典を行っているその周辺に、式典を支援する左派の団体がおり、フェンスと大量に配備された警察官を挟んで、右派の団体がテントを張って集会を行っていた。  右派側は 「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」「六千人虐殺の濡れ衣を晴らそう」 という看板を掲げており、何人かがマイクの前に立ち、式典にぶつけるような形で 「朝鮮人虐殺はなかった」「慰安婦の強制連行もなかった。徴用工問題も見てみろ」「関東大震災の時は、朝鮮左翼による横暴、計画されていたテロがあり、それに対処するための自警行為はあった。しかし、虐殺はなかった」「6000人も虐殺したという証拠を出せ」 という演説を繰り返していた。また、左派の団体を名指しして 「なんの縁もゆかりもない過去の朝鮮人に肩入れしている」 と揶揄する演説者もいた。  名指しされた側としては、式典を妨害されたことにもなり、相当な怒りに満ちており、フェンス越しに警官の制止を受けながら怒鳴り声を挙げたり、スマホやビデオカメラで撮影するなどかなりピリピリした様子だった。  怒りの矛先は警官にも向いており、 「なんで東京都は差別主義者を守るんだ」 という話し声が聞こえた。警察官の配備が、追悼文を取りやめた小池都知事と結びつくようだ。あとで知ったが、小競り合いがあり、左派側に逮捕者も出たという。 ●「軍国主義が行った残虐行為」を訴えるパネル展示  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!