希蝶さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
号外 2019.11.12発行 【目次】
1. ゴーマニズム宣言・第348回「ジョーカーって傷ついた人なの?」
2. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第145回「『女性は避難所でピンクや赤を着るな』について」
第348回「ジョーカーって傷ついた人なの?」 久しぶりに映画評を書こう。
映画評を書くのが億劫になっていたのは、少しでも踏み込んだ内容に触れると「ネタバレだ!」と騒ぎまくって炎上させようとする「ネタバレ警察」が跋扈するようになってウザいという理由がひとつ。
そしてもうひとつの理由は、どんな映画でも相当の制作費と人手がかかっていて、費用を回収するために多くの人が宣伝に必死になっていることを考えると、褒めの批評ならともかく、けなす批評は書き難いという気分になっていたからだ。
とはいえ、世間の評価とわしの評価があまりにもかけ離れているのに、それについて何も言わずにいるとフラストレーションがたまってくる。
それに、ネタバレが嫌なら読まなきゃいいだけなのに、わざわざ読んで文句をつけてくる者の気が知れない。
そんなわけで、有料webマガジンの「小林よしのりライジング」なら、本当に読みたい人しか読まないだろうし、しかももう大ヒットしちゃっている映画なら、ここでわしが酷評したところで誰の迷惑にもならないだろうということで、書くことにした次第である。
完全ネタバレありだから、これから見ようと思っている人や、すでに見て、良かったと思った人は決して読まないように。
前置きが長くなったが、今回取り上げる作品は、ホアキン・フェニックス主演、トッド・フィリップス監督作品 『ジョーカー』 である。
この映画は『バットマン』の悪役・ジョーカーの「誕生秘話」を、原作コミックスにはないオリジナル・ストーリーで描いた作品で、第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で、アメコミの映画化作品としては史上初めて最高賞の金獅子賞を受賞した。
10月29日時点で世界累計興行収入は7億8810万ドル(約857億円)にも上り、R指定映画の興収ランキングでは史上トップ。日本でも10月27日時点で興収は約35億円、公開から4週連続首位という大ヒットで、評論家の批評も観客のレビューも、絶賛の嵐となっている。
ところがわしは、この映画は全然ダメだと思ったのである。
バットマンは何度も映画化され、何人もの俳優がジョーカーを演じているが、わしはクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』(2008)でヒース・レジャーが演じたジョーカーがベストだと思っている。
今回の『ジョーカー』も、てっきりヒース・レジャー版ジョーカーの前日譚を描いたものと思い込んでいたのだが、それは全然違った。
これは今までのバットマン映画とは一切関係なく、独自のジョーカー像を創作した上でその誕生までを描いた単発映画であり、続編は作らずシリーズ化もしないという。そのため、この映画にはゴッサムシティの市長の息子で、後にバットマンになるブルース・ウェインの子供時代は登場するものの、バットマン自体は一切登場しない。
もちろん『バットマン』は原作誕生から80年にもなる作品であり、作風もキャラクターの造形も、時代によって全く異なる。わしが子供の頃にテレビで見た『バットマン』なんかコントみたいな作りで、ジョーカーも無害なおふざけキャラだった。
だから人それぞれに好きなジョーカーが違っても全然かまわないというのは前提である。明石家さんまはティム・バートン監督の『バットマン』(1989)でジャック・ニコルソンが演じた陽気なジョーカーがベストで、ヒース・レジャーのジョーカーもホアキン・フェニックスのジョーカーも暗くてダメだったと言っている。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
私はジャック・ニコルソンのジョーカーしか知らないので、「ダークナイト」とも「ジョーカー」とも比べようがないのですが、映画やドラマは時代をうつす鏡であっても、ゆがめたり、改変したりしてはならない根本があるのかな、ということを感じました。
「ジョーカー」はスピンオフや番外篇にすらなっていないことは分かりました。だったら、別の似通った名前にすれば良かったのに。「メフィスト」とか「クラウン」とか。「アメージング・ジョーカー」でも良かったのでは(笑)。ならばパロディとしての価値はあったのかもしれない。
今回のよしりん先生の評をよんで、むしろ「ダークナイト」や「バットマン・ビギンズ」の方を見たくなりました。
アメリカのヒーローもの、特撮ものの場合、「スターウォーズ」・「007」などを例外とすると、日本の「ゴジラ」や「ガンダム」、ジャンルは異なるけれども「寅さん」みたいに、設定を同じくして何作も作られるシリーズが少ないのがとても気になります。スパイダーマンも3作つくられたら、設定を一から作り直して、「アメージング・スパイダーマン」になるし、「エイリアン」・旧「スーパーマン」も4つでおしまいです。「ターミネーター」を今度やるそうですが、長続きした方なのかな?(あれも設定の仕切り直しみたいです)。
木蘭さんの方ですが、色彩が人があたえる印象や、人間の感情に働きかける効果は大きいと思いますが、とどのつまりは雄とは何か、雌とは何かというテーマに繋がるのではないか、ということを感じました。環境や情況に応じた判断力が、非常の場合には肝要なのだ、というふうにも思いました。
恰好を問題にするのは、「告白の行方」や「BLACK BOX」事件と同じ次元の話になるのでは、とも。
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