hiroさん のコメント
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第351号 2020.4.7発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…コロナパニック、日本でも「早く政府が強権発動して国民の自由を制限してくれ」と待望する声が続出し、ついには「緊急事態宣言」の発令に至ってしまった。安倍政権は慎重姿勢を保ってきたが、メディアは「羽鳥慎一モーニングショー」を筆頭に、そして普段は政治発言などしないような芸能人までもが「政府の対応が遅すぎる、なぜ緊急事態宣言を出さないんだ」という意見一色に染まり、政府はそんな圧倒的な国民の声に押されて発令する形となったのだ。「緊急事態宣言に強制力はないから、それほど現実は変わらない」などという声も多々聞かれるが、それは本当か?「緊急事態宣言」の本当の問題は何なのか?今の日本は「戦時中の翼賛体制」と同じことが起きているのだ!!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…毎朝、テレ朝『モーニングショー』では、玉川徹氏が視聴者を恐怖と不安の渦に陥れようと居丈高にふるまっている。3月30日(月)の放送では、日本の肺炎死者数が年間10万人にのぼることを取り上げたが、あろうことか玉川氏は「全員のPCR検査をしていないのだから、もっと多数のコロナ肺炎死者がいるはずだろう」と、完全に真偽不明の陰謀論まで言い始めた。肺炎患者差別の扇動に乗っからないためにも、日本に肺炎死者が多い実態について、正しく理解しよう!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!今回のコロナ騒動では、日本人の清潔好きが悪い方向へ働いているのでは?ゴー宣のコマ割りが大きくなった理由は?洋画を観る際、字幕派?吹き替え派?志村けんの死が、自粛や同調圧力を高めるために利用されているのでは?「テレワーク」「在宅勤務」をどう思う?漫画家・浦沢直樹のアベノマスク風刺イラストは不謹慎?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第367回「命が大切だから専制待望?」
2. しゃべらせてクリ!・第308回「現代の闇!メタボ・パラサイト万引き家族ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第161回「肺炎は、コロナ以前から日本の死因トップ5です!」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第367回「命が大切だから専制待望?」 新型コロナウイルスで、欧米各国の都市でロックダウン(都市封鎖)や外出制限が行われ、生活の自由が失われている様子を報道で見るにつけ、日本はそこまでの事態じゃなくて本当によかったと思っていた。
ところが、日本でも早く政府が強権発動して国民の自由を制限してくれと待望する声が続出して、ついには「緊急事態宣言」の発令に至ってしまったのだから、わしは不思議でたまらない。
緊急事態宣言は、先月13日に成立した改正新型インフルエンザ等対策特措法によって発令できるようになっていたが、安倍首相も菅官房長官も再三にわたり、「現時点では緊急事態宣言を発令する状況にはない」と表明し、慎重姿勢を保ってきた。おそらく、あまりにも経済へのダメージが大きいため、経団連あたりからストップがかかっていたのだろう。
これに対して日本医師会や新経済連盟が緊急事態宣言の発令を求める声明を発表、東京都、大阪府も発令を働きかけ、楽天の三木谷社長もツイッターで「これが緊急事態でないとはどういうことなのか? 安倍さん、今すぐ緊急事態宣言をお願いします!」と訴え、ソフトバンクの孫社長も緊急事態宣言が出されないことに疑義を呈した。
メディアは「羽鳥慎一モーニングショー」を筆頭に、政府の対応が遅すぎる、なぜ緊急事態宣言を出さないんだという意見一色に染まり、有名人ではⅩ JAPANのYOSHIKIやら、タレントの坂上忍やら、カンニング竹山やら、武井壮やら、Mattやら、JOYやら、登山家の野口健やらが続々と緊急事態宣言を出せと発言、政府はそんな圧倒的な国民の声に押されて発令する形となった。
今回、安倍首相は東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・兵庫県・福岡県の7都府県に対して緊急事態宣言を発令した。福岡県は当初案には入っていなかったが、県知事が臨時会見を開いて対象地域にしてくれと要望して指定され、念願叶った知事は「大変心強い」と喜んでいた。我が故郷ながら、実に情けない。
都道府県ごとに指定するのは感染症の進行状況が地域によって異なるためで、指定地域の知事は 「住民に外出自粛要請」「休校などの要請・指示」「大規模施設の利用停止、イベントの開催制限や中止の要請・指示」「臨時の医療施設設置のため土地や家屋を強制使用、医薬品などの売り渡しの要請・収用」 などができる。
ただし欧米のような都市封鎖はできないし、個人の外出自粛も「要請」に留まり、強制的に禁じるものではない。
だが問題なのは 「大規模施設の利用停止、イベントの開催制限や中止の要請・指示」 で、 これは強制力を伴う「指示」まででき、これを盾に取れば、権力が政治・言論に関する集会を中止させることが可能になってしまう。
さらには、 首相が「指定公共機関」に必要な措置を指示できる という規定があって、この「指定公共機関」にはNHKが明示され、民放も含まれる余地がある。 要するに首相が全放送局の報道内容に介入することも可能なのだ。
つまりこれは著しく国民の私権を制限し、言論・報道・集会の自由という、民主主義が機能する前提条件を侵害しうる、非常に危険なものなのだ。
しかも 緊急事態の期間は2年が上限だが、その後1年ごとに延長でき、延長の回数制限はない。 つまり無制限に続けられるのだ。民主主義のインフラである言論・報道の自由を奪い、それに異議を唱える集会すら禁止できるという強権を、いつまでも持ち続けることができるのである。
そして、これだけの強制力を持つにもかかわらず 国会の承認は必要なく、報告だけで発令できる。 それも「やむを得ない場合を除き、国会に事前報告をする」となっており、政府が「やむを得ない場合」だと判断すれば、事後報告でもいい。しかもこれは拘束力のない「付帯決議」に書かれているだけだから、たとえ政府が報告すらしなかったとしても、国会はほとんど何もできない。
ここまで立憲主義も民主主義も破壊しかねない緊急事態宣言の発令を可能にする法改正に対し、あろうことか「立憲民主党」が賛成に回ったから、山尾志桜里議員は離党を決断したのである。
ところが国民の大部分は「緊急事態宣言」がどういうものなのか知りもせず、ただ不安に駆られて、なんとなく緊急事態に対応して国民を守ってくれるものなんだろうと思い込み、本当はこれによって自由を奪われる側の立場なのに、なぜ緊急事態宣言を出さないんだ、早くしろと、必死になって安倍首相をせっついたのだ。その倒錯ぶりには、呆れるしかない。
せっかく安倍政権は緊急事態宣言に慎重だったのだが、ここまで国民世論が高まってしまうと政権支持率が急落しかねず、これ以上抗することはできなくなったのだろう。
もうこれは安倍首相の責任とは言えない。奇妙な話だが、安倍政権は必死に避けようとしたにもかかわらず、国民の圧力によって国民の自由を縛る宣言を出さざるを得なくなったのだ。
昭和13年(1938)、近衛文麿政権は蒋介石の国民政府と支那事変の和平交渉を進めていたが、国民の激烈な強硬意見に屈して「国民政府を対手とせず」の声明を出して交渉を潰した。
その結果、支那事変は泥沼化し、英米の介入を招き、大東亜戦争に突入して日本は破滅したのだった。
いま起きているのは、それと同じようなことである。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
「この緊急事態宣言の効力は何時からか?」という質問。
首相も把握していないというか、はっきり決まっていない感じでした。
法令でそのようなことがあり得るのでしょうか?
「正式には○時からですが、今からできだけお願いしたい」というような言い方もしませんでした。
雰囲気だけでやっているのでしょう。
「1か月先にどのようになっていると予想しているか」といった質問。
これは全く答えていませんでした。
要するに先が全く見えておらず、「1か月」ということも最初の「2週間」次の「3週間」と同じです。
こうすれば1か月後にはこうなって、こうできなければ1か月後にはこうなるから次はこのようにする考えだ、ということもありません。
1年後もどうなっているかも分からず、オリンピックも中止になるかもしれず、「また1年延期」となるかもしれないと危惧しています。
「これで収まらなければより強い法律作成に着手する考えはあるのか」という質問。
これも直接は答えなかったのですが、法律が強化されることが「ない」のではなく「今のところ考えていない」というか「そこまで考えが及んでいない」のだと思います。
「今のところ緊急事態宣言を出す状況にない」と言いながら法律が作成され、「どうなれば宣言を出すのか」という具体的な基準が示されることなく出されました。
今は「ロックダウンを行う考えはない」としても、この先感染者数が十分に減ったと感じられず、「世間」の「ロックダウンさせろ」とう圧力に押されて法改正、または「解釈変更」さらには(これも答えていなかった)「警察を動員した『要請』」による「現実的にはロックダウン」ということになっていきかねないと考えています。
こうしてあげてみますと、結局は肝心なことに答えていない、分かっていない、やっぱり内容がない会見だったなあと思います。
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