Docさん のコメント
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第356号 2020.5.12発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…新コロに関するわしの意見に対して、書評家・プロインタビュアーの吉田豪がツイッターやネット番組で無茶苦茶な非難をしているという話は耳に入っていたが、わざわざチェックするヒマもないので放っておいた。しかし、その発言内容を聞くと、実に典型的な、ある種の人間の思考パターンが暴露されていて面白くなってきたので、ちょっと分析しておこうと思う。なぜコロナ怖い病に罹った人は、「コロナなんてインフルエンザ以下だ」と言う意見を聞くと猛烈に怒りだすのか?その深層心理が明らかに!!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…テレ朝『羽鳥慎一モーニングショー』は、今週もY軸をかるがるぶち破って指数関数的にトンデモが大爆発中だ。「人を見たらコロナと思え!」「国民全員PCR検査して陽性者を隔離せよ!」との教義はGWもとっくに終わって、週も変わって、5月11日(月曜)になっても勢い衰えることがない。PCR検査の拡充を訴え続けた最後には、想像の斜め上をいく展開が待っていた…!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!コロナ騒動で、マスコミ、国民、政治家のどれが一番罪が重い?今年のインフルエンザの感染レベルはどうなっている?椅子に座りっぱなしの仕事で、腰痛になったりしないの?怪しい人物を見極めるポイントとは?「ハイタッチ」はあり?なし?「感染者を増やして集団免疫を作れ!」と言い切れる自信の根拠は?大阪の吉村知事をどう見ている?科学技術との付き合い方はどうあるべき?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第372回「吉田豪という臆病者」
2. しゃべらせてクリ!・第313回「ウイルスなんて怖くなか!チャマノマスクでお出かけぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第166回「『PCR一直線!』まだまだ血道あげるモーニングショー」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第372回「吉田豪という臆病者」 人の本性というものは、いざという時に露呈するものだ。
普段愛想よく近づいてくる人がその腹の底で何を考えているか、頼みもしないのに洗いざらいぶちまけてしまう場面など、わしは何度も目撃している。
新型コロナ(新コロ)をめぐる出来事――ここでは「珍コロ騒動」で定着しそうだが――でも、絵に描いたようなパターンに嵌った者がいる。
新コロに関するわしの意見に対して、書評家・プロインタビュアーの吉田豪がツイッターやネット番組で無茶苦茶な非難をしているという話は耳に入っていたが、わざわざチェックするヒマもないので放っておいた。
吉田はわしにも何度もインタビューをしていい記事も書いているし、わしの雑誌「わしズム」のレギュラー執筆者でもあったから、見て見ぬふりで済ませてあげてもよかったのだが、言っていることがあまりにもひどいという報告も入って来る。
それでその発言内容を聞くと、実に典型的な、ある種の人間の思考パターンが暴露されていて面白くなってきたので、ちょっと分析しておこうと思う。
吉田豪は4月12日、こんなツイートをした。
この切り取り方に既にかなりの悪意があるのだが、これが5000以上リツイートされてちょっとした「炎上」となり、 「ゴーマニズムじゃなく、デマゴーグ宣言のお粗末。」 とか 「万一、自分が罹患してもこういう軽口が叩けるのでしょうか…。」 とか、吉田に焚きつけられてわしを非難するコメントが殺到した。
そして4月20日、吉田はネットの生放送で、雑誌編集者・フリーライターの久田将義と、わしの新コロ論をボロクソに罵ったのだった。
久田は実話雑誌の元編集長で、ゴシップ、犯罪、アウトロー等々を扱い、「日本の裏社会をえぐり出す!」と標榜しているライターだ。
吉田豪も、「アンタッチャブル」な存在と思われているような人まで直撃してインタビューを取るのを得意としており、二人とも「怖いもの知らず」や「男臭さ」を売り物にしている物書きである。
ところがこの日の放送は、二人がそれぞれの自宅にこもって会議ソフト「Zoom」で話すという「テレワーク対談」で、画面は薄暗いわ、音声はプチプチ途切れるわで、ものすごく見苦しいものになっていた。
しかも、ふたりともどうやらずっと外出せずに自粛生活をして疲れ切っている様子で、表情には全く精彩がなく、吉田などは憔悴しているようにも見えた。
もうこの光景が、爆笑である。
わしは新コロなどインフルエンザよりも怖くないと確信しているから、ネット生放送の『オドレら正気か?』でも泉美木蘭さんと密閉空間で、「ソーシャル・ディスタンス」なんてクソくらえの至近距離で濃厚接触してしゃべりまくっているし、泉美さんも全くそれを気にもしていない。
ところが吉田と久田は、新コロが怖くて怖くて家から出られず、いつもつるんで話している相手と顔を合わせることすらできないのだ!
わしは世の中が、いくら自粛が善だとか「うちにいよう、大切な人のために」とか言おうと一切無視してマスクもせずに普通に外出している不良だが、こいつらは普段からアウトローを気取っていたくせに、今はあろうことか、小池百合子なんかの言いつけに黙って従っておとなしく「STAY HOME」している、従順なよいこちゃんに成り果てているのだ!!
番組ではまず吉田が「SPA!」4月14日号掲載の『ゴー宣』の上のコマのわしのセリフを読み上げ、そして言った。
「だから、高齢者は、死んでもいい。しょうがないっ!寿命だしっ!ってね。それよりも、経済を回そうというね、話をしていて」
そんな乱暴な言い方はしていないことは普通に読めばわかるはずだが、吉田はまず、わしがとんでもない暴言を吐いたかのようなイメージ操作から始める。
その上で吉田は、わしが 「命よりもまずはお金」 という考えだと決めつけた上で、こう言ったのだ。
「怯えるよりもまず経済という発想になっていくとね、老人どうせ死ぬんだしという発想になって、この発想の先って、障害者は別にね、救わないでも(いい)みたいな発想と同じじゃないですか、これ。経済的な意味がないなら(死んでもいい)、みたいな発想になっちゃうから、それはやっぱり怖いなと」
吉田豪がここまで幼稚だとは思わなかった。これは「命VS経済」の問題ではない。経済が落ち込めば確実に自殺者が増える。経済も人の命なのだ。ところが吉田はそんなことすら一切理解できず、わしが「津久井やまゆり園」事件の植松聖死刑囚と同じことを言っていると思い込んでいるのだ!
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
次回の放送も楽しみにしております。
放送で話題になった流行曲線がなぜ同じ形に見えるのかということですが、数学的にはこういうことになります。(よしりん先生が「運命曲線」と文学的にみごとに表現しているのに無粋だなと思うのですが、現象をなんでも数理的に考えてしまう職業病なので許してください。それから最初に断っておきますが、この話は数学トリビア以上のものではありません。)
流行曲線の山があるとして、それを頂上付近の部分、それより左の上昇部分、右の下降部分の3つに切り分けて考えます。また、実際のデータには揺らぎやノイズ等がありますので、それらを取り除いて滑らかにした大まかなグラフの概形を考えます。
まず、頂上部分は、左右対称形に近く変化がゆっくりであれば、大体同じ形に見えます。(数学的に表現すると、頂上部でテイラー展開すると2次項のみで概形が決まるということですが、ここは読み飛ばしてください。)
次に、右側の下降部分は、感染者が減っていく理由によって形が変化するところですので、状況によって様々なバリエーションがあると思います。ただし、おおよそ指数関数的に減少する(再生産数の減少によって単調に減るような)場合には次の上昇部分の説明と(時間軸を逆向きにすると)同じになります。
問題は左側の上昇部分ですが、ここは感染拡大期にはおおよそ指数関数的に上昇することが知られており(これは感染者から感染が発生するためで、高利の借金と同じです)、下図のような形をしています(このグラフは指数関数的な減少と半減期の説明のためのものですが、横軸の向きを逆にすると、今回の場合に対応します)。
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/sizensuugaku2016/hangen.png
この指数関数は、数学的な特徴として、どこで切り取っても縦軸のスケールを変えて高さをそろえると同じグラフになるという性質があります。つまり、山の頂上の高さが変わっても、グラフの形は変わらないということです。これが別の関数の場合には、例えば、直角三角形を考えてもらうと、端の方で切って、縦軸のスケールを変えて高さをそろえると、尖った直角三角形になってしまって形が変わってしまいます。そういうことがないというのが、指数関数の特徴なわけです。
そのため、上昇部分のグラフの概形は、山の高さに依存せず、山の広がりを表す倍化時間(上図の半減期に対応)のみで決まることになります。この倍化時間が大体同じであれば(もしくは横軸のスケールを調整すれば)、同じ概形に見えることになります。
ここで注意が必要なのは、山の形が山の高さ(感染者数)や位置によらないということは、形状を見ても感染者数やピーク時期の情報は得られないということです。例えば、もし仮に冬に第2波が来たとして、その時の感染者数が1000万人に及んだとしても、その時の流行曲線も縦軸のスケールを変えると第1波と同じ形になるので、概形では区別ができません。また、第1波と第2波をまとめてグラフにしても、第1波の山の高さは第2波の千分の一程度ですので見えなくなってしまい、第2波の山だけが残るため、結局グラフの形状は変わらないということになり、真のピーク時期がいつなのかはグラフの概形からは分からないということになります。
以上、無粋な話ですみません。数学好きでへぇーと思ってくださる方がいましたら幸いです。
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