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Dr.Uさん のコメント

>>159
いしひろ19さま

 ウサギと申します。こんな時間ですが、読んでますよ(笑)。何か、いしひろ19さまの役に立つような、気の利いたコメントができればいいのですが、ちょっと雑な応答になってしまいます。ご勘弁。

 まず、天皇は国民ではないという議論については、高森先生が展開されている議論は、政治学的・法律論的な次元においていかに母系・双系が正当化されるかを考えるもので、いしひろ19さまの関心はむしろ、天皇という存在の社会学的・哲学的・宗教学的な本質のようなものに向っているように思われます。

 一般に天皇が「国民の象徴」と言われるとき、その意味は、天皇は国民の一体性(統合性)の象徴である、という意味ではないでしょうか。つまり、天皇はその存在によって国民に共同体としての情緒的一体性をもたらす存在である、という意味での「象徴」だということでしょう。

 強力な国民統合をもたらす力を持つものとしての天皇という存在は、近代国家を作ろうとした伊藤博文のような国際的な視野を持っていた人たちにとっては、自分たちの伝統・文化の一部ながら、実に驚異的なものであったと思われます。

 次に、天皇が「鏡」であると言われるとき、それは、何かを移す媒体としての鏡というよりも、何かの模範となるもの、つまりは「~の鑑(かがみ)」という意味で言われているケースがあるのではないかと思います。ストイックに練習するイチローはプロ野球選手の「鑑」だ、みたいな。

 私たち国民の模範(鑑)としての天皇という意味では、イメージ的には天皇(皇室)という存在から、高貴で気高い人間のあり方が流れ出てきて、私たちを薫陶してくださるという感じです。その意味では、天皇には国民は内在していないということになるでしょう。国民が、天皇というものから、ありがたいものを一方的に頂いている感じ。
 古代世界では、神聖王はしばしば太陽にたとえられますが、太陽と地球(地上世界・人間)の関係が、天皇と国民の関係とパラレルになる。

 このように天皇は「鑑」としての性格を持っていますが、ある意味でそれは「鏡」でもあります。しかし、そこでいう「鏡」とは、何か俗的なものをそのまま映す媒体、という意味ではないでしょう。すなわち、ふだん私たちの目には見えなくなってしまっている、隠されたもの、秘められたもの、真実、本物、端的には神、のようなものを顕わにすることのできる、不思議なモノ、ということになるはずです。三種の神器における「鏡」がこれに当たるのではないでしょうか。

 いしひろ19さまの文言からは、何と言うのだろうか、もし私たち国民が堕落してしまうなら、天皇もその影響を受けるのではないか、私たちが濁っているなら、天皇も濁ってしまうのではないか、というような不安な気持が感じられます。そんな感じがありますか?

 最後に蛇足ですが、私が思うに、日本国憲法は天皇という稀有な存在の本質の、重要ではあるが、ほんの一部分にしか触れていない、表現していないように思われます。
 
<ぽいんと>
・古代社会では、天皇は何よりも、この世界を御造りになった高天原の神々の末裔であり、その神々のお世話をなさる祭祀王であったこと。

・ほとんどの人が農民であった時代に、暦によって刻まれる、農耕のリズム、季節の移り変わり、などを、日本という国の中心である京都で司っていらっしゃった祭祀王としての天皇。

・明治以降、天皇の役割は大きく変わり、都市化・工業化の進展とともに祭祀王としての役割が相対的に低くなり、反面、国民の統合をもたらす存在として、さらには戦争が避けられない時代に、国家の戦いを勇ましく導いてくださる存在(神武天皇とか神功皇后とかのイメージ)としての性格を強めていった。

・大東亜戦争の後には、今のように国民によりそってくださり、その喜びと苦しみを自分のものとして感じてくださる、慈悲深い御方(伝統的なイメージとしては観音様のような?)としての性格が強くなっている感じ。今の天皇が、伝統的な意味での「女性性」を強く帯びているのは、間違いないと思います。

 以上、ちょっと、思いついたことだけ、書き散らしました。まだ、私も、天皇についての考えがまとまっていないのです。何か、いしひろ19さまのご参考になるところがあったら、幸いです。これを読んでくださっている皆様も、自分の思う所を書いてくださるはずです。
 おおいにダイアローグしましょう。

 夜行性のうさぎより
No.165
30ヶ月前
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第414号 2021.10.26発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…10月20日(水曜)に放送されたNHK『クローズアップ現代+』では、mRNAワクチンの接種後死亡と副反応について取り上げられた。法医学の世界では、たとえ解剖しても、死因を特定することはできても、それがワクチンによるものかどうかを調べることは難しく、世界的にもそのような検査手法は明らかになっていないという。そこで、アメリカでは、接種後に出た症状との因果関係を統計的に検証するシステム「VSD(ワクチン安全データリンク)」が運用されているという。NHKが伝えなかった米ワクチン接種後副反応報告とは? ※「ゴーマニズム宣言」… 10月26日、眞子さまはついに念願かなって小室圭氏と結婚されて、小室眞子さんとなった。わしは一貫して眞子さま・小室氏を擁護し、バッシングを批判してきた。反論権のない皇族やその婚約者に対して一方的にバッシングを行うのは「イジメ」以外の何物でもないのだ。しかし、この「ライジング」読者ですら、そんな基本的なことが理解できず「皇室にも反論権がある」と異議を唱える者がいるので、今回はそれに答えよう。 ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!衆院選の候補者でコロナ対応に関して支持出来そうな政治家はいる?コロナのワクチンとインフルのワクチン、両方接種しても問題ないの?TVの出演者がマスクをしている光景をどう思う?コロナ感染後の後遺症が全国で推計17万人いるというのは本当?眞子様と小室圭氏をバッシングする知人にどう接するべき?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第234回「NHKが伝えなかった米ワクチン接種後副反応報告」 2. ゴーマニズム宣言・第440回「皇族と反論の自由」 3. しゃべらせてクリ!・第370回「へごわ~っ! 貧ぼっちゃまと貧民連合の猛抗議ぶぁい!の巻【後編】」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第234回「NHKが伝えなかった米ワクチン接種後副反応報告」  10月20日(水曜)に放送されたNHK『クローズアップ現代+』では、mRNAワクチンの接種後死亡と副反応について取り上げられた。  番組では、今年5月に死亡した91歳女性「れいこさん」の甥を取材。毎週出歩くほど活発な女性だったが、自宅で心肺停止の状態で見つかったという。遺品整理のために、れいこさんの自宅を訪れた甥は、居間にあったカレンダーを見て、死亡したのはワクチン接種の翌日だったと知る。  ワクチンと関係があるのではないかと気になった甥は、自分で情報を集めるようになり、厚労省の公開資料に行きつく。だが、接種後死亡リストに掲載されていたれいこさんの欄には、たった1行 「γ(ガンマ)/情報不足で因果関係は評価できない」 としか記されていなかった。  さらに、他の死亡例についても見てみると、 1190人のうち「評価不能」とされていた人は、99.3%にのぼっていた ことに気が付いたという。  甥は疑念を語る。 「本当に調べているのか? 何を調べた結果、因果関係は評価できないと言っているのか」 「『γ(ガンマ)』という記号1つで受け入れろというのは、無理です」  自宅で亡くなった場合、事件性がないと判断されれば解剖されることはなく、れいこさんも解剖されないまま火葬されていた。  さらに法医学の世界では、たとえ解剖しても、死因を特定することはできても、それがワクチンによるものかどうかを調べることは難しく、世界的にもそのような検査手法は明らかになっていないという。  そこで、アメリカでは、 接種後に出た症状との因果関係を統計的に検証するシステム「VSD(ワクチン安全データリンク)」 が運用されているという。 「VSD」は、1990年にCDC(米疾病対策センター)が設置したもので、全米各地の9つの病院グループが参加し、およそ1200万人の医療データが日常的にほぼリアルタイムで集められているらしい。  CDCのwebサイトで「VSD」について調べてみると、拠点となっている病院が、西海岸の高所得者層の住む地域などを中心に、ごく一部でしかなかったので、思わず「これだけ?」と驚いたが、そもそも1人1人に出た症状について調べるものではなく、新型コロナ発生以前から蓄積されている医療データ全体から、ワクチンを接種した人と接種していない人とを比較して、統計的に因果関係を調べるシステムだという。     VSDに参画している全米の病院グループ(CDCサイトより)  素人ながら浮かぶ疑問は、「統計」ということは、一部少数の人に起きる死亡や、非常に重篤な副反応、不妊や流産などについては、いくら当初から疑念の声や、本人・家族の実体験から察したことが訴えられていたとしても、長い期間をかけて大勢の犠牲者を出しつつデータを集めてからでないと、 「まだ、因果関係があるとは判断できない」 としか言えないのではないかということだ。大規模統計はもちろん必要だが、やはり同時に、死者や症状が出た1人1人に対して、真剣に対応することも必要だと思う。  ただ今回の『クロ現+』は、 「VSD推し」 というテーマがあるようで、「日本版VSD」を構築しようと奮闘している日本の研究者を取り上げていた。日本では、自治体などが個人情報の提供に難色を示すケースが多いため、アメリカと同じ仕組みを作るのは難しいらしい。  番組では、「VSD」によって、心筋炎が指摘されたという点が報じられた。  ファイザーやモデルナのワクチンを、受けた人と受けていない人とを比較すると、10代や20代の若い世代では、ワクチンを受けた人のほうが発症数が高かったという。  接種後に胸の痛みを訴えたアメリカ人の若者がインタビューに応じ、「VSD」のおかげですぐに心筋炎とわかり、治療体制も整っており、無事に回復できたなどと語り、だから安心だという話になっていた。  番組全体から 「軽い心筋炎が起きる可能性はあるけど、すぐ治せる準備ができているから大丈夫!」 というムードが醸し出されていたが、私はここに逆に不信感を持った。   今年8月6日のCDCからの発表 では、ファイザーのワクチンを接種した12~17歳に発現した副反応9,246件のデータを解析したところ、 9.3%が心筋炎を含む「重篤な副反応」だった とされていたからだ。 (※詳細は、 第227回「若者、子どもにワクチンを打ってはいけない~心筋炎・心膜炎について」 を参照のこと) 「軽い心筋炎」なら、たしかに「軽い」のかもしれないが、死者もいるし、ICUに運び込まれ、一命をとりとめても、その後、重い後遺症を抱えて生涯を過ごすことになる若者もいるのだ。  また、『クロ現+』は「VSD」しか取り上げなかったが、このシステムの前提となっているのは、同じく1990年に創設され、CDC(米疾病対策センター)とFDA(米食品医薬品局)が管理している 「VAERS(ワクチン有害事象報告システム: https://vaers.hhs.gov )」 だ。  全米の医療機関や医師、または症状に見舞われた本人が、ワクチン接種後に起きた有害事象を報告するためのオンラインシステムで、報告数は、年間40,000~50,000件。比較的迅速にシグナルを検出することができ、「ごく稀」と言われる有害事象も検知することが可能で、さらに誰もがデータを閲覧することができるという仕組みになっている。 「VSD」が全体の統計なら、「VAERS」は1人1人の報告から、安全性の問題を早期発見するものと言える。  ただ、この「VAERS」単独では、 「報告者のバイアスがかかっている」「データが不完全な場合がある」「関係のない報告もすべて受理されている」「接種者・未接種者の比較ができない」「因果関係の検討ができない」 などの欠点があるため、「VSD」などが創設されて、補完しつつ運用されているわけだ。  では、「VAERS」では、アメリカのワクチン有害事象はどのように報告されているのか? 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!