• このエントリーをはてなブックマークに追加

希蝶さん のコメント

● ゴーマニズム宣言・第504回「〈性自認〉の曖昧さを保守としてどう捉えるか?」
 まず、りゅうちぇるさんはぺこさんを残して死出の旅に向かってしまったのはよくないのでしょう。靖国神社の英霊の遺言などでも「先立つ不幸をおゆるしください」とか添えますね。
 死に至るまでの苦しみは、誰にもわかりませんが。
 そして、今回の記事をよむまで、りゅうちぇるさんの苦悩とか、(Q&Aに投稿したにもかかわらず)市川猨之助さんの本当のこともよくわかっておりませんでした…。反省致します。

 昔よんだ、山岸凉子先生の漫画に、半陽の陸上部の少女で、鉢植えの植物にのみ愛情を捧ぐ、というキャラクターが登場していたのですが、男女の別は歴然たるもののようでいて、実はかなり複雑なのかな、とか思いました。
 そういう立場になった場合、いったいどうすればいいのでしょうか?恋愛をするにも、どちらと結ばれればいいのか、混乱しますし。自分をも含めて「人間」そのものに愛情を持てなくなるのかも。
 …という想像を、いわゆる「保守派」にしていただきたいです。

 思想のアップテートということでは、大島弓子さんの「四月怪談」のことをなぜか思い浮かべてしまいました。…この場合、大島先生だったら、「男性失格」とか「ジョカヘ…」とか、「七月七日に…」とか、「パスカルの群れ」とか、「ロングロングケーキ」とか、もっと別なのをあげるべきなのでしょうが(そういう作品が大島作品にも多数あります)、この作をあげる理由を以下に述べます。
 脱線しますが、過去に主婦の友社から出た単行本でよんだのが「四月怪談」初体験で、その後、朝日ソノラマ社の方も購入したのですが、まさか、こんなに知名度があがる作品になるとは思いませんでした。柳葉敏郎・中島朋子主演で映画化されるなんて…それだけ名作ですし、私もよんで、すぐに気に入った作なのですが。

 ヒロインの国下初子は事故で急死しましたが、幽体離脱状態の仮死状態で、すぐにからだにもどれば生き返れると、浮遊霊の岩井弦之丞にすすめられますが、霊魂としての自由な状態を楽しみ、なかなか元の自分のからだにもどりません。その間に、片思いをしていたクラスメートに失恋していたことなどに気づいたりするのですが…最後に、弦之丞を、自分が幼かった頃に好きだったレンゲ畑へと案内するのですが…既に団地建設予定地として整地され、見る影もありませんでした
 落ち来む初子を、弦之丞はこう励まします。

「キミの住んでる街の駅ふきんはさ、ボクが生きているころ、それはきれいな小川のある森だったんだよ。ボクらそこであそんだんだ。でもさ、それを知ってるボクが今の駅ビル矢自転車置場を見ると少しせつなくなるけど、キミらにとっては生まれたときからあそこにある駅ビルや自転車置場がやっぱり いとしいものになってるんじゃないのかい?
 ねえ、事を逆にして考えてごらん。今、急に駅ふきんが野っぱらになったら、きっとキミはなき自転車置場をいたむよね」

 この話、ある意味冗談ではなくなっているんですよね(地方では廃線とかもあったりするのだから。都会でも、線路のつけかえとか駅が高架や地下へゆくこともあるから)
 ノスタルジーとは、そういうものではないかと思います。つまり、過去の人にとっては思い出でも、現在生きる人にとっては「?」なのか、と。そして、不変のものは存在しないのなら、かわってゆく事象を受け入れ、そこから、過去や未来に通じるものを見いださなければいけないのでは、と。
 そして、本当に大事なものは守り、維持しないと、ウクライナ戦争でウクライナが負けた場合や、東日本大震災で故郷を失った次の世代が、親の故郷を惜しむことがあるのだろうか、という話にも。
 「三丁目の夕日」の世界にこだわるよりも、どうしたら、現在がそのような幸福感に満ち溢れた世界になるのか、希望のある世の中になるのかを考えてゆく方がより肝要ではないかと思います。

 ちなみに、この前、部屋を搜索していたら、」「ラジオ深夜便」2018年12月号のテキストが発掘され。「美輪明宏 明日へのことば 歌で愛を伝える」というのが出てきました。愛にもいくつかの段階があり、無償の愛はただ与えることだけが幸せで、何の見返りも求めない永遠の愛、というようなことが記されていたのですが…りゅうちぇるさんも、そんな心境になって欲しかったかな。
 これからゆっくり、じっくりよんでみます。
No.291
15ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
  第475号 2023.7.18発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…先週は「LGBT理解増進法」について書いたが、偶然その配信日にトランスジェンダー女性の女子トイレ使用制限をめぐる訴訟の最高裁判決があった。これは非常に意義のある判決で、次はそれを書こうと準備していたのだが、その翌日にはryuchell(りゅうちぇる)の自殺という衝撃的なニュースが入ってきた。りゅうちぇるのことは最新刊『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』でも描いているが、今回の件でさらに考え直した部分がある。「性自認」に対する正確な知識とは何なのか?「SNSにおける誹謗中傷が原因」としてしまって良いのか?政治家がネット投稿を取り締まると言い出したことはどう考えるべきなのか?「ホルモン治療によって精神バランスが崩れたため」という意見はどうなのか?この件から考えるべきことは膨大にある! ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…現在、ヘルパンギーナが大流行中だ。今年は全国約3000の小児科定点医療機関から2万人以上の報告があり、過去10年で最も多い数となっている。小児科専門医の斎藤昭彦氏によると、「コロナ対策で病気になる機会が減って、免疫が低下したことが原因の1つと考えられる」という。このヘルパンギーナの流行を知らせる記事によれば、ヘルパンギーナの原因であるエンテロウイルスは、腸管で増殖するため、便の中のウイルスが圧倒的に多いらしい。そのため、「糞口感染」が主な感染ルートになるという。某学者から「下水が完備されている先進国では大きな問題にならない」「接触感染はほとんどない」と否定されていた「糞口感染」!!これはどう考えるべきなのか? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…インド版アニメ『おぼっちゃまくん』の契約では先生もちゃんと儲けられる内容になってるの?一生独り身でいるということは、孤独死だけでなく私生活全て晒されてしまうという覚悟も持たなければならないもの?ロシアは日本に対してもウクライナ同様、未だに征服心丸出しでは!?ジャニー喜多川氏の件で、山下達郎氏がジャニーズ擁護論者とネット民からみなされて炎上している件をどう捉えている?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第504回「〈性自認〉の曖昧さを保守としてどう捉えるか?」 2. しゃべらせてクリ!・第431回「スーパー絶交仮面は今日も飛ぶのでしゅ!の巻【後編】」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第298回「腸管で増えるウイルス、やはり糞口感染・接触感染だった」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第504回「〈性自認〉の曖昧さを保守としてどう捉えるか?」  ひたすら弱者・少数者に同調し、あまつさえ弱者・少数者は「聖なる者」と思い込んだら、それは左翼、乃至リベラル・サヨクの空疎な立場に回収されてしまう。この世に楽園はないのだから、リアリズムに立脚した理想に向かう道を選ばざるを得ない。空想平和主義や、空想平等主義に堕ちるわけにはいかない。  先週は「LGBT理解増進法」について書いたが、偶然その配信日にトランスジェンダー女性の女子トイレ使用制限をめぐる訴訟の最高裁判決があった。  これは非常に意義のある判決で、次はそれを書こうと準備していたのだが、その翌日にはryuchell(りゅうちぇる)の自殺という衝撃的なニュースが入ってきた。  りゅうちぇるのことは最新刊『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』でも描いているので、これは先に論じなければならないだろう。  りゅうちぇるについてはわしも見誤っていて、極めて普通の道徳的な感覚で捉えていた部分があった。  だから、りゅうちぇるとぺこが離婚した際は、まずぺこが可哀想だと感じ、りゅうちぇるは無責任じゃないかと思ってしまった。  それで、こんなことなら結婚しなければよかったし、子供を作らなければよかっただろうという道徳的な気持ちから、『恋愛論・完』の中で 「自分探しは子供をつくる前に終わらせておかねばな」 と書いてしまったのである。  だがこれではまだ「性自認」の認識が甘かったと言わざるを得ない。 「性自認」はどこかの時点で固定するもので、自身の意識の上でも踏ん切りがつけられるものだという思い込みが残っていたのだが、それは間違っていた。   人によっては、「性自認」が一生定まらずに揺れ動き続ける場合もあるし、それは本人の意識ではどうにもならないものだった。   りゅうちぇるの性自認は、幼少時にはLGBTのどれにも当てはまらなかったらしい。 前回書いたが、心の性にはLGBT以外に、 無性 (女性でも男性でもない)、 両性 (女性でも男性でもある)、 中性 (男性と女性の中間)という「Xジェンダー」と呼ばれるものもある。  りゅうちぇるは、身体性は男性で、女の子が好き、かわいいものが大好きで、仕草のいちいちが女っぽく、何をしてもからかわれることが多かったそうで、 「これで男の子が好きな方がまだわかりやすいし、楽って思っちゃってた。それか普通の男の子になりたいと思ってた。こんなにかわいいものが好きなのに、なんで女の子が好きなんだろう」 という葛藤を抱えていたと自ら語っていた。  りゅうちぇるは高校卒業後に沖縄から上京、バイト先の古着店でぺこと出会い、交際に発展。二人でタレントとして成功した後、結婚。男児が誕生する。  りゅうちぇるはこの時のことを、「 女性を好きになることは、僕の人生の中で、初めての事でした」「一生一緒に居たいと思えたからこそ結婚して 夫婦になる道を選択し そしてその愛が形になり、最愛の息子も生まれました」 と振り返っていた。  しかしその後、りゅうちぇるは 「父親」であることは心の底から誇りに思えるのに、「夫」であるということはものすごく苦しくなってしまい、生きていくことさえ辛いと思う瞬間もあったという。 「父親」の自認は誇りなのに、「夫」の自認は苦痛なんて、標準的な男であるわしからすれば、意味が分からないと思ってしまう。  そして、全ての気持ちをぺこに打ち明け、話し合った結果 「これからは“夫”と“妻”ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね」 ということになり、離婚。そしてその後も家族として同居を続けていた。   血のつながった「親子」であれば、自分がこの子の父親だという関係は自然に受け入れられたが、元は他人である「夫婦」の場合は、その前提に「男」と「女」という性自認がなければ、関係が成り立たなかったということらしい。  りゅうちぇるにはおそらく「男」という明確な性自認がなく、それでもぺこと恋をして子供も出来て 「父」にはなったが、「夫」であり続けることには耐えられなかったのだろう。  そのために離婚して、ぺこと「夫婦」ではなくなるが、「人生のパートナー」ではあり続け、家族として一緒に生活するという判断をしたのだ。  では、離婚から1年足らずで自殺という悲劇に至った理由は何なのだろうか? 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!