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くぁんさん のコメント

『鳥山明最大の功績』

今回の『ライジング』を読んで、何十年も前の、少年だった頃の自分の心がありありと文章化されたようでとても嬉しい気分になりました♪

そう!大友克洋は衝撃的だったんです!そして、鳥山明に感じたものは確かに安堵感だったのです!原点回帰への安堵感だったのです!

その原点とは"手塚治虫だった"にも、"テーマやアイデアの豊富さでは手塚治虫や藤子•F•不二雄には敵わなかった"にも納得出来きます。

以前にトッキーさんが紹介されてた豊田有恒の『宇宙戦艦ヤマトの真実』を読んだのですが、そこには著者が『鉄腕アトム』のシナリオに携わってた頃の手塚治虫の凄まじさが書かれていました。当時の虫プロにはもう、シナリオストックが無い状態で、ライターのオリジナルシナリオに頼らざるおえない状態だったにもかかわらず、そのシナリオに対しても、執拗にダメ出しと新たな自身のアイデアを機関銃のように喋りまくりのだそうです。そのほとんどは箸にも棒にもかからないようなアイデアだったらしいが、2、3ハッとするようなものがあり、結局、手塚のアイデアに靡いていき、書き直す羽目になる事が何度もあったと豊田さんは書いている。

よく手塚が言っていたらしいのだが、『クリエイターは名前を貸したらおしまいです』はまさにこの事で、たとえ別のライターが書いたものでも、あくまで『手塚治虫原作』である以上、細部にまでその責任を持つ…という姿勢なのだと思います。今、小林先生が多忙の中、インド版『おぼっちゃまくん』のシナリオチェックをしてる姿勢とダブって見えました。

また、「手塚はSF的アイデア、メルヘン的要素、ユーモア感覚なども持ち合わせており、作品に幅を持たせていた」とも語っており、これは『プルートウ』での、10万馬力から100万馬力へと強くなったアトムが、それに対する陰口を聞いてしまい落ち込むというシーンに繋がるのかな?とも思いました。2〜3コマでサラッとが又良いのです。これだけをフューチャーし高尚っぽい物語にしてしまっては、やはりダメだと思います。浦沢直樹版は読んでないので何とも言えませんが。ただ、同じ高校の大先輩なのでちょっと心苦しいのですが(苦笑)。

鳥山明に関して、自分は何にも知りません。ただ絵が異常に上手いという印象だけで、作品に関する思い出も希薄なのです。テーマ性があまり感じられなかったせいかもしれません。絵だけ描ければ良いという作家では無かったとは思いますが、やはり"執念"というか…何よりも『これを描きたい!』というモチベーションがあまりなかった人なのかもしれません。

とはいえ、"裏通りにひっそり佇む名店こそが本物!"と思っていた若い頃には全然解らなかった、"商業的成功"の偉大さ、大変さは今はとてもよく解るので、本心から描きたいマンガではなくても、読者の期待に応える作品を作れたのは、やはり鳥山明は天才だった!!と強く思うのです☆

配信ありがとうございました♪
No.51
5ヶ月前
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第499号 2024.4.2発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…愛子さまがおひとりで伊勢神宮を参拝された。このニュースでは、斎宮にご興味を持たれたことと合わせて、「将来的に、愛子さまが伊勢神宮の祭主になられるかも」という希望の声が語られていた。現在の祭主は上皇ご夫妻の長女・黒田清子さん、その前の祭主は昭和天皇の四女・池田厚子さんだが、それを以て、なんとなく「伊勢神宮の祭主は、結婚して民間に下った天皇陛下の娘さんがなるもの」という思い込みがあるのではないか?事実、男系カルトの竹田恒泰は「伊勢神宮の祭主は、歴代天皇の娘が務める伝統が続いている」と述べ、黒田清子さんの次は愛子さまだと書いていたことがあった。しかし、この「神宮の祭主は歴代天皇の娘が務める伝統」という竹田の言は、真っ赤なウソである!! ※「ゴーマニズム宣言」…今回も鳥山明評の続きである。手塚治虫、大友克洋、藤子・F・不二雄、横山光輝、「劇画」、そして『ONE PIECE』等々、漫画の歴史を振り返りつつ、鳥山明の功績は何だったのか?を分析する。鳥山明が漫画家として本当に「描きたかったもの」とは何だったのか?漫画家の画力やデザインセンス、テーマやアイデア、オリジナリティとは何か?そして、漫画家と編集者や読者との関係性、商売主義にまで目を向けた追悼文である。 ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…大谷選手が万が一クロだったら、マスコミは手のひらを返してキャンセルするの?「男性の性被害」についてどう考える?大相撲の宮城野部屋が弟子の暴行で閉鎖した件は、元白鵬に対するキャンセルカルチャー?そもそもLGBTの人達は「弱者」なのか?小林製薬の「紅麹」サプリの問題をどう思う?若者の性欲低下、精子減少の原因は何?宝塚歌劇団の劇団員死亡事件で、歌劇団側が上級生のパワハラを認めて遺族に謝罪した件について、どう見ている?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第322回「古代の『斎王』と伊勢神宮『祭主』のこと」 2. ゴーマニズム宣言・第528回「鳥山明の最大の功績とは何か?」 3. しゃべらせてクリ!・第454回「アイドル貸し切りステージに大興奮ぶぁ~い!の巻【前編】」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第322回「古代の『斎王』と伊勢神宮『祭主』のこと」  愛子さまがおひとりで伊勢神宮を参拝され、伊勢市の隣町・明和町の「斎宮歴史博物館」まで足を運ばれたというニュースを見た。  愛子さまは、学習院大学の卒業論文の題材に、賀茂神社の「斎院」だった式子内親王とその和歌を選ばれたそうだ。また、『源氏物語』を夢中になって読まれたそうで、そのなかには伊勢神宮の「斎王」にまつわる悲恋も登場するので、斎宮歴史博物館の展示には興味を持たれていたのだろうとのことだった。 ●「斎宮」「斎王」のこと  賀茂神社の「斎院」、伊勢神宮の「斎王」は、古代から中世南北朝時代にかけて存在した、 神の御杖代(みつえしろ=天皇に代わって「神の杖」として奉仕する者) のことだ。時の天皇が、未婚の皇族女性のなかから占いで選んで派遣した。  斎王に選ばれると、天皇から 「都のことは忘れ、もっぱら神に仕えよ」 と告げられ、「別れの小櫛」と呼ばれる櫛を髪にさしてもらう。そして都を離れ、神のそばで神聖崇高に暮らしながら、ひたすら祈りを捧げる日々を送り、天皇の崩御か退位までは解任されることはない。  伊勢神宮の斎王には、多感な時期の少女や、恋仲の男性と和歌をかわしていた女性もいたが、人恋しさ、都恋しさなどすべての思いを遮断しなければならず、寂しさをつのらせながらも伊勢の斎宮(斎王の暮らしたお宮)にこもり、神に仕えるために不浄を避け、物忌みの多い暮らしを送ったようだ。  地元には、そんな斎王の神秘性や美しさに魅了される人々が大勢いて、一目姿を見ようと押しかけ、「斎宮様!」と声をかける男たちもいたらしい。アイドル状態である。  斎王のなかには幼い子供もいて、その場合は母親が随行することもあった。『源氏物語』に登場するのは、「斎王の母親は光源氏の元恋人だった」という設定のお話だ。  7歳年下の光源氏に口説き落とされたものの、あっという間に飽きられてしまった24歳のその女性は、嫉妬に狂うあまり生霊を飛ばしてしまい、光源氏の正妻の娘や、新しくできた恋人を次々と死なせていく。ビビり上がった光源氏がご機嫌を取りに来るのだが、それをきっぱり振り切る和歌を残して伊勢へと出発。娘とともに神域で暮らすようになり、やがて心が浄化され……という内容だ。怖い。  ほかにも、30年以上務め、清らかなまま生涯を終えた斎王、優れた和歌をたくさん詠み、斎宮に文芸サロンを築いた才女の斎王もいる。斎王に選ばれたために恋人と別れ、数年間務めたのちに都に帰って、また交際を復活した斎王もいれば、都の享楽を知って育ったがために、ちょっかいをかけにきた男性を見て魔がさしてしまい、スキャンダルで解任された斎王もいる。 「斎宮歴史博物館」で見た資料に、「斎王も人間であり、女であった」と書かれていたことがとても心に残っている。斎王たちの詠んだ和歌は、事情を知ってから読みなおすと、さまざまに深い心の模様が読み取れる。   神に奉仕する「斎王」 の制度は、戦乱によって存続不能となり、14世紀の南北朝以降は廃絶されたが、 伊勢神宮の神職の長として祭祀を主宰する「祭主」 は現代まで続いている。 ●伊勢神宮の「祭主」のこと  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!