airmanさん のコメント
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第79号 2014.3.25発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…埼玉県のマンションの一室で、ベビーシッターに預けられていた2歳の男児が遺体で見つかった事件。働く女性が経済的な事情から、ネットで見つけた格安のベビーシッターに子どもを預けるのはやむを得ないのか?責任は福祉制度を整えない国や行政だけにあるのか?ネット以外に「代替案」はないと本当に言えるのか?母親への同情が世論の空気となり誰もが言い辛くなっている中、この事件で浮き彫りとなった現代社会の闇を問う!!
※隠れた名作を紹介している「よしりん漫画宝庫」!“白紙”の天才・よしりん!ヒーローものを見ていて「なんでこの人、顔隠してるの?」という“白紙の疑問”から発想を得て描かれた『学園Z(絶人)』!発表から33年、この作品が扱ったモチーフは、実は当時よりもずっと大きな問題として現われている…!!果たして『学園Z』は何を描いていたのか!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!ビキニ姿とスクール水着姿、どちらがより健全?公明党は日本の政治に必要?やっぱりUGN48からあの娘は外した方が良いんじゃない?忘れられない失恋の思い出とは?安倍政権の移民政策、本当のところどうなの?先生を攻撃する一部AKBヲタの真意とは?東京電力には非は無い?よしりんって「受難の才能」を持ってる?…等々、よしりんの回答や如何に!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第80回「やむを得ないからネットでシッター?」
2. しゃべらせてクリ!・第40回「へぎゃっ!ぽっくんを見捨てんでクリ、沙麻代ちゃん!の巻〈後編〉」
3. よしりん漫画宝庫・第63回「『学園Z(絶人)』匿名の正義という今日的テーマ」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第80回「やむを得ないからネットでシッター?」 埼玉県富士見市のマンションで2歳男児の死体が発見され、この部屋で男児を預かっていた26歳のベビーシッターの男が逮捕された。
死亡した男児の母親は横浜県磯子区の22歳、無職のシングルマザー。今月14日、2歳の長男と8カ月の次男の二人を預け、16日に引き取ることになっていたが、その日になっても連絡がとれなかったために警察に通報、事件が発覚した。
死亡した男児は裸にされて口を塞がれたような跡があり、皮膚が変色している部分が数カ所あった。次男も裸にされていて複数のあざのようなものがあり、低体温症になっていて、病院に搬送され入院した。
母親は子供を預ける10日ほど前から少なくとも7回、男とメールで連絡を取り合ってベビーシッターを依頼したが、男の名字とメールアドレスしか知らなかったという。
メールだけのやりとりで、しかも男の名字しか知らない。「信用」の二文字を一切考慮せず、我が子を名字しか知らない、本名かどうかもわからない他人に預けられるものだろうか?
母親は22歳で二児の母、しかもシングルマザーというのが驚くが、ネット依存が普通の世代なのかもしれない。
母親は以前にもインターネットを通じてベビーシッターを依頼していたが、この時、長男の頬が腫れていたことと背中にあざがあったことがあり、支払いでもトラブルがあったため、利用をやめていた。
実は逮捕された男は、このトラブルを起こしたベビーシッターと同一人物だった。 ところが男は偽名を名乗り、出迎えにも別人を使いに出していたため、母親は知らずに同じ危険な男に預けていたのだ。
しかも使いの男は以前に子供を預けたことがあり、問題のなかった人物だったため、安心していたという。
母親は報道陣の取材に対して「子どもに申しわけない。助けられずに『ごめんね』としかいえないです」と涙を流したという。
ベビーシッターを利用した理由については、「 経済的な事情で仕事に出る時もあった。お金のこともあって、すぐに預けられる場所がなかった 」と説明している。
逮捕された男は、「きのうの昼ごろに自分が薬を飲んで寝てしまい、きょうの朝、目が覚めたら死んでしまっていた」と話している。
男は地元の中学を卒業後、調理師の専門学校に進学、卒業後は調理や運送関係の仕事を転々としたがいずれも長続きせず、昨年11月頃からこのマンションでベビーシッターを始めていた。
この男はネットの仲介サイトには5つ以上の偽名を使い分け、ウソだらけの経歴を登録していた。
他にも子供が顔を腫らし、傷を作って戻って来たというケースがあったとか、1~2時間連絡がとれないこともザラだったとか、以前から相当に問題がある人物だったようだ。
ベビーシッターは、国家資格である保育士資格も行政への届け出も必要なく、誰でも開業できる。 そのためにベビーシッターをインターネットで始める事業者も多く、その実態は国も自治体もほとんど把握していない。
また、 もともとベビーシッターは子供の自宅へ訪問するのが基本 で、外で預かるのは本来のベビーシッターとは「別物」なのだが、法定資格ではないので、これでも「ベビーシッター」を名乗れてしまう。
この事件について、19日の日本テレビ系『スッキリ!!』で、コメンテーターのタレントで一児の母である大沢あかねは、こんな発言をした。
「 私は見ず知らずの人に、その人の自宅で預かってもらうっていうことはまず理解できません。(自分が)ベビーシッターさんに預ける時は、必ず信頼できる人の紹介だったり、そのベビーシッターさんに家に来てもらって、5~6回は必ず私も含めてシッティングしてもらうって形でやってます。
今回2歳と8か月のお子さんを見ず知らずの…2歳と8か月だったら自分の思いも言葉にできない年齢じゃないですか。それを見ず知らずの人に、しかもその人の家で預かってもらうっていうことはやっぱり理解できません 」
するとネットでは、こんな非難が殺到したという。
「あなたがちゃんとした人に預けてるのは、お金があるからだよ」
「5~6回も自分も一緒にシッティングとかそんな余裕のある母はそうはいないぞ」
「一般人は芸能人みたいに金持ちじゃないんだから預けるしかない場合もある」
「あなたのようにちゃんとした配偶者もいて、大金持ちでいくらでも預ける相手を選べる人はそうでしょうよ。どうして持たざる者の視点で考えられないのか」
他にも、この事件で母親側の落ち度を指摘したら、たちまち炎上という事態が相次いでいるらしい。
わしも、「ゴー宣道場」ブログ17日付で以下のように書いた。
信頼を担保するものが何もないベビーシッターをネットで見つけて、我が子を預ける母親がいるとは驚きだ。
馬鹿と言うしかない。
誘拐犯だったらどうするのだ?
変質者だったらどうするのだ?
あまりにも無責任だ。
ネットの中の他人を信用してはいけない。
ネットで知り合って、たとえ和気あいあいと話すようになっても、やはり他人だ。
実は変質者かもしれない。
実は殺人鬼かもしれない。
ネットの中の他人との絆なんか信じてはならない。
ネットのせいで知人と他人の区別がつかなくなっている。
まったく恐ろしいことだ。
大沢あかねより過激だから、文句が来るはずだ。ブログやライジングの読者を始め、ゴー宣道場門弟からも反論があった。
いずれも、働かなくては子供を育てられないシングルマザー、それも若くて収入も少ない母親には、ネット以外の手段がないというものだった。
子育て経験のある女性からは、幼い子供はよく突然熱を出すし、発熱した子供は保育所では預かってくれず、助けてくれる身内も近くにいないとなると、本当に途方に暮れるので、ベビーシッターに頼りたくなる気持ちはよくわかるという意見が届いていた。
ネットで見つけるのがダメなら代替案を出せという意見もあった。
この人たちはネットがなかったら、どうしていたのだろう?
子供も含む自分の人生はネットと一蓮托生だと決めているのだろうか?
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
「ネットがなかったらどうするのだろう?」という疑問は、シンプルなだけに、問題の本質を鋭く抉っていると思いました。
困った時のために、普段から近所付き合いをしっかりやっておくのは、おそらく私の母親の世代(60代)以上の人には当たり前のことだったと思います。
味噌や醤油の貸し借りから、子守りから、なんでもご近所同士でやっていたと言う話を幼い頃、母や祖父母からよく聞きました。
今の感覚からすると、相互扶助だったり助け合いだったりというシステムが地域共同体の中で上手く機能していたんだなと感心してしまいますが、当時の感覚からすれば、そうするのが当たり前で、互いに助け合っていたなんて感覚すらなかったのかもしれません。「お互い様」という言葉がありますが良くいったものだと思います。
今回の事件を受けて、かつて日本にあった世間は、地域共同体内での相互扶助によって、個人世帯のリスクがうまく分散されていた社会だったんだと過去の日本の良さを再発見できました。
子育ては楽じゃないとは、よく親の口から聞きましたが、金を稼ぐだけでなく、いよいよ困った時に子供の命だけは救えるようにと、普段から細やかな人間関係を構築するところも含めてやっておくということだったんだと、今回のライジングを読んで思いました。
親の子に対する愛情の深さ、思慮深さに改めて感謝です。
よしりん先生を普通の人間の尺度で計ることの愚かさは重々分かっているつもりですが、にしても、子育ての経験がないはずのよしりん先生は、どうして、ここまで深く子育てについて考えることができるのかと、不思議に思わずにはおられませんでした。
高森ウィンドウズの「少子化の原因はエロ動画の普及?」ではないですが、ネットで夜のおかずを探すくらいなら可愛いですが、ベビーシッターを探すことがどれほどハイリスクで無責任な行為かということを思い知らされました。
正直、今回のライジングを読むまでは、シングルマザーがネットでベビーシッターを探すのも、已む無しかと思っていましたが、全く甘かったです。
子を育てるためなら、やれることは何でもやる、予め必要と思われることは先手を打っておく。
これらの強かさも含め、親になるにはそういう心構えが必要不可欠であることを肝に銘じておきます。
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