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daiさん のコメント

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dai
>>32
「パンドラの箱」続き♪

《死体の確認に向かう車の助手席で女は思う。
死体の確認だなんて、馬鹿げてる。余計な証拠を残すだけなのに…。
第一、この男の妻、私の前だけに現れるって、どういう了見だろう。私は殺してない。ただ、感情も感覚も失われた肉塊の始末を手伝っただけ。この男の前に現れるのが筋だろう。あんたのお陰でこの男に借りを作ってしまった。割に合わない…。
しかし、女は男が自分の手を握っているのに気付く。強く握り過ぎて痛いくらいだ。
男は今まで私を女として見たことはなかった。にも拘らず今、こうして手を握っている、ああ、この男も怖いのだ。そう思うと、男に愛情に近いような感情が沸き上がるのを感じる。と同時に死体を始末したときのおぞましい光景が頭をよぎる。おそらく、男がそうであるように、私も我を忘れたい!たとえ、それが一瞬であっても…。
女は自分の心臓の鼓動が速くなり、手先が麻痺するのを感じた。体を巡る熱い血潮が神経毒に変貌したようだった。
しかし、女が運転席の方を見ると、男の血走った視線が飛び込んできた。その刹那、女は男に強い嫌悪を覚えた。女を性の対象としか見ていないその眼。分かっていたはずだったが。しかし、男は身勝手だ。死体の始末を頼んだときのあの口調は、まるで私に責任があるかのようだった。この男が勝手に悩み、勝手に殺しただけではないか。なのに、私を共犯という名の運命共同体に強引に引き入れてしまった…。
「やめてよ」平静を装いつつ、手を払い除けたが、声は震えていなかったか?感情を読まれてなかったか?男は友人であり、共犯でもある。けど、今や敵だ。

車は目的地に向かって、山道をゆっくり走る。》

質問者さん、僕も勝手に遊んでしまって、すみません。
No.34
124ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第101号 2014.9.16発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※(号外)「ゴーマニズム宣言」…安倍政権のコアな支持層である自称保守派やネトウヨは、「河野談話」を見直し「新たな談話」を出すことを期待しているが、それは不可能である!安倍政権が「女性活躍担当相」などを作り、女性の権利保護に力を尽くすかのように見せている、その意図は何なのか?世界に「性奴隷」の認識を広めたのは誰なのか!?慰安婦問題に関する世界の認識を変えたいと本気で願うのならば、朝日新聞を叩いて溜飲を下げている場合ではない! ※「ザ・神様!」…「一回だけ」「ちょっとだけ」「ちょっとやってみるだけ」と迫る弟ヤマサチに根負けし、しぶしぶ大切な釣り針を手渡す兄ウミサチ。気の進まない様子の兄に自分の槍を渡すと、ヤマサチは得意満面の笑みで、生まれてはじめての魚釣りに挑む!!大丈夫なのか!? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!テニスの全米オープン決勝戦を、視聴者の要望に応えNHKが急遽放送したことをどう思う?溜まったストレスの解消法は?ウディ・アレン作品の中で絶対に観るべきイチ推しの作品は?壇蜜はなぜあんなにエロいのか?朝日新聞の大誤報はなぜ起きた?視聴率苦戦といわれるNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の最近の展開をどう思う?妻の不貞疑惑に悩む友人に何とアドバイスしたら良い?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. もくれんの「ザ・神様!」・第41回「A型根性炸裂!ウミサチ兄さんの釣り針執着 ~海佐知&山佐知 その2~」 2. しゃべらせてクリ!・第61回「時期遅れでうらめしや~っしゅ!の巻〈前編〉」 3. Q&Aコーナー 4. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 5. 読者から寄せられた感想・ご要望など 6. 編集後記 第41回「A型根性炸裂!ウミサチ兄さんの釣り針執着 ~海佐知&山佐知 その2~」 「お願い、一回だけやらせて! ちょっとだけだから!」  魚釣りをしてみたくて仕方のないイケイケドンドンのヤマサチは、兄のウミサチに熱烈アタックの末、ついに口説き落として釣り針を借りることに成功します。 「兄さん、代わりにおいらの槍を貸してあげるよ。楽しんで!」  ウキウキのヤマサチから槍を押しつけられたウミサチでしたが、山での獣狩りなどまったく気が進みません―― 「ヤマサチめ、本当にテキトーな奴なんだから。俺はむやみに責任感が強い長男だし、クソ真面目で几帳面なA型だから、いきなりこういうこと自由に楽しめって言われるとストレス感じるんだよ……」  勝手に予定を変えられて、まったく気分が乗りきらないネガティブなA型。 「あいつ、糸の結び方も釣り竿の使い方も知らないだろうに。どうせ、ちょちょいっと結んで海に投げ込めばいいとしか思ってないだろうな。しまったなあ。貸す前に実演して、しっかり絵に描いて使い方を説明すれば良かった」  貸した釣り針はどんな風に扱われているのやら、気が気でないA型。  やたら詳細に、やたら具体的に、きっちり細かくうるさく説明し尽くさないと自分自身が納得できないA型。 「あの釣り針、きのう下ろしたばかりの新品なんだよ。あいつ、脂まみれの汚い手でいじくってるんだろうなあ。はー、嫌だなあ。力加減もわからない奴だし、海底に針を引っ掛けて、馬鹿みたいにぐいぐい引っ張るんじゃなかろうか。もしも竿が折れたら……糸が切れたら……。はー、嫌だなあ」  自分の持ち物を他人に触らせることが本当にイヤでしょうがないA型。  悶々と最低最悪な事態ばかり考えて人知れずストレスを溜めてゆくA型。 「海にもどって監視しようかな……」  他人をほとんど信用していないA型。 「俺も、いい人ぶってあんないい針貸さずに、もっと古くて、いらなくなった針にすればよかった。やっぱり、今すぐ釣り針返せって言いに行こう」  たとえ「こんなに使ってないのがあるんだから、ひとつぐらいいいでしょ」と言われても、自分のなかではちょっとずつ違う種類のものをコンプリートして所有していることに満足しているから、その「ひとつ」すら渡したくはない執着心の塊のA型。  この自分様の世界を他人が理解できるわけがない、他人には踏み込まれたくないという一心から、ドケチっぷりを発揮するA型。   ……ぜんぶ、あたしだよっ!  A型・長女のあたくし、弟が入院したときに、何年も前に読んだきり本棚で埃をかぶっていた『デビルマン』全巻を手土産に、見舞いに行ったことがありました。 「退屈してるでしょ、これでも読みなよ~。全巻セットだー!」なんて言いながら、どさっと漫画の束をベッドに置く、妙に気前の良さを見せるA型の姉。  喜んでページをめくりはじめる、点滴につながれた青白い弟。  しかし、そんな弟を眺めているうちに、A型の姉は悶々と考えはじめるのです。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!