monmonさん のコメント
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第118号 2015.1.27発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…イスラム過激派組織・イスラム国に日本人2人が拘束された人質事件。しかし、このような事態は予測できたはずである。今月16日~21日にかけて中東を訪問した安倍首相は、明らかにイスラム国に対して「宣戦布告」している!!日本人は「テロとの戦い」という言葉を普遍的真理のように思い込み、このまま何の覚悟も当事者意識もないまま、取り返しのつかない大失敗をやらかすことになるのか!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!絵が上手くなる方法とは?もしかしてだけど~もしかしてだけど~…??普通に恋愛って出来るもの?日本人殺害脅迫事件を受けテレビ各局が「自粛」、どう思う?ドラマ『銭の戦争』は見てる?印象に残っている力士は誰?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※“集合痴”ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今回取り上げるのは「養老継嗣令は女系容認に関する間違い」と題する項目。養老継嗣令にある「女帝子又同」を巡って男系固執派が繰り出した“超絶技巧アクロバット読み”には爆笑必至!!今号も「イタイ人」の所業から目が離せない!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第115回「イスラム国に『宣戦布告』した安倍首相」
2. しゃべらせてクリ!・第78回「御坊家総出でパーティーぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第6回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第115回「イスラム国に『宣戦布告』した安倍首相」 イスラム過激派組織・イスラム国に拘束された2人の日本人のうち、湯川遥菜氏が殺害されたらしく、残るフリージャーナリスト・後藤健二氏の安否も予断を許さない状態が続いている。
しかしながら、このような事態は予測できたはずだ。
安倍晋三首相は今月16日から21日にかけてエジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナを訪問。
18日にはエジプト・カイロで演説し、「 ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるため 」として、「 ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します 」と表明した。
これは事実上、イスラム国に対する宣戦布告ではないか!
後になって「これはあくまでも人道的支援だ」などと弁解しても意味がない。軍事的支援だろうが、非軍事的支援だろうが、「 イスラム国と闘う各国への支援 」であることには変わりがない。
本当の「人道的支援」ならば、イスラム国の支配地域にも行わなければならない。
イスラム国が空爆にさらされ、女性や子供が傷ついていても「人道的支援」をせず、イスラム国を脱出した難民にのみ「人道的支援」を行うということは、要するにイスラム国から人心を離間させるための宣撫工作であって、これは戦時の作戦行動の一環に他ならないのだ。
安倍晋三は、日本は明確にイスラム国と敵対する側に加わるというメッセージを発したのである。
その前日は阪神淡路大震災からちょうど20年にあたり、神戸では天皇皇后両陛下が出席された追悼式が開催されていた。だが安倍はこの追悼式に出席せずに中東に出かけ、わざわざ2億ドルもの国費を投じて日本国民を必要もない危機にさらす宣言を得々としてやらかしたのだ。
翌19日、安倍はヨルダンでアブドラ国王と会談。
安倍は、イスラム国が勢力を拡大する中で多くの難民を受け入れているヨルダンを支援するため、1億ドルの円借款供与など新たな支援を行う意向を表明した。
もちろん、これもイスラム国への宣戦布告以外の何物でもない。
そして極めつけは20日、イスラエルのネタニヤフ首相との会談だった。
そもそもイスラエルは、パレスチナへの攻撃において戦争犯罪が行われた疑いがあるとして国際刑事裁判所が予備審査を開始、ヨーロッパからの批判が高まり、国際的に孤立しかねない状態だった。
そこでネタニヤフはヨーロッパに代え、日本をはじめとしたアジア市場を開拓し、経済連携を強化する方針を強調し始めた。そのエサにホイホイと釣られたのが安倍晋三で、30社近くの日本企業幹部を同行してイスラエルに入ったのである。
イスラエルでは先に両首脳の共同記者会見が行われ、ネタニヤフはイランと北朝鮮の名前を挙げて「われわれは近隣のならず者国家の恐ろしい脅威に直面している」と述べた。
イランのみならずイスラム全般と対立するイスラエルと、北朝鮮と対立する日本では全然ケースが違うのに、両国が同じ境遇であるかのように国際社会に向けて言ってのけたのである。
続いて行われた首脳会談では、安倍はフランスで起きたテロ事件でユダヤ人4人が殺害されたことに哀悼の意を示し、「 このような卑劣なテロは、いかなる理由でも許されず、改めて断固非難したい。イスラエルをはじめとする国際社会と緊密に協力しながら、テロとの闘いに取り組んでいきたい 」と述べた。
安倍は「経済」のエサに目がくらみ、この時期にわざわざネタニヤフと会談し、「テロとの戦い」でイスラエルと「緊密に協力」するなんて表明すれば国際的にどう解釈されるかなど、考えもしなかったのだろう。
ネタニヤフは、イスラム国やヨーロッパでテロを起こした過激派は、ガザ地区に拠点を置くイスラム原理主義組織ハマスと同じだと繰り返し訴え、ガザ地区への攻撃の目的は国際社会と同じだと正当化していたのだ。
テロは卑劣な行為だとか単純に言ってしまうと、パレスチナも、チベットやウイグルにおける抵抗運動のテロも卑劣で、徹底的に潰すべきものだということになってしまう。
民族の存続を脅かされるほどに抑圧を受けたら、人は抵抗せざるを得ない。その手段の善し悪しなど、考慮してはいられない。
いくら「戦争は悲惨だ」と言っても自衛戦争まで放棄するわけにはいかないのと同様に、いくら「テロは卑劣だ」などと言っても、せざるを得ないテロというものもある。
「テロは卑劣で、許してはならない」というのは、「戦争は悲惨で、繰り返してはならない」と同様の、思考停止の言葉でしかない。
安倍がイスラエルで「テロとの戦い」を強調したのは、対米追従のためもあるのだろうが、実はオバマ政権とネタニヤフ政権の関係は緊密ではない。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
特に印象に残ったのは、第14章「国民の手本、少女学徒隊」と最終章「葛藤の果て『ひょん』と死ぬる」です。
第14章では、戦死者の遺体収容と慰霊塔の建立に命がけで取り組んだ、金城和信の生き様に胸が熱くなりました。米兵に拳銃を突きつけられても屈しなかった姿は、瀬長亀次郎とだぶって見えました。「人は死ねば皆神様・仏様」とばかりに日本兵だけでなく、米兵の遺体収容にも取り組んだ姿には日本人の真面目を見た感じがしました。金城和信は瀬長亀次郎と並ぶ、沖縄の偉人だと思います。
金城の娘の信子・貞子姉妹の自決シーンはとても美しいと思いました。「私たちの卒業証書は靖国神社の入場券になる」という言葉を読んで、この姉妹は日本兵と戦場をともにする事に、とてつもない誇りや喜びを感じていたんだという事がとても伝わってきました。誇り高き気持ちで自決した姉妹の死を、決して貶めてほしくないと願わずにいられません。
最終章では竹内浩三の「骨のうたふ」「日本が見えない」を読んで、目頭が熱くなりました。竹内も平和な時代に生まれていたら、きっと表現の世界で多くの人を楽しませる人になったでしょう。それを考えると戦争を憎みたくなるし、竹内の戦争に行きたくないという気持ちにも共感してしまいます。
しかし彼が戦争という逃げられない現実に、必死に自分を「芸術の子」と奮い立たせ、全力で向き合った姿に心を打たれました。同時に今の日本人は竹内並みに、戦争と向き合ってきたのか、と考えさせられました。戦争を語るなら、せめて竹内なみに戦争について考えろ、と小林先生に言われている気がしました。
他にはイスラム国、集団的自衛権、靖国神社、慰安婦問題、ヘイトスピーチなど現在進行形の問題も取り上げられています。これらの問題で少しでも気になった事があれば、そのたびに「新戦争論1」を再読しようと思います。
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