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na85さん のコメント

 よしりん師範、木蘭師範、時浦師範代、みなぼん編集長、スタッフの皆様、執筆・編集・配信ありがとうございました。

 初期ゴー宣の頃から貫かれているテーマとして「思考停止するな」があると思います。物事を判断する基準は「わしの常識」だというのも一貫しています。そして、よしりん先生は今もこの姿勢には全くブレがないと思います。「小林は日和見しながら左右によくブレる」という人がいますが、意見が変わったとしても、それは時代状況に合わせてポジションを自ら選びとったのであり、この核の部分には全くブレがないのだと思います。
 今回のゴー宣で先生が最後にあえて表明された「小林よしのりのポジション」=「常識というバランス感覚で判断する」についてですが、真の保守とはこういうものだと思いました。西部邁氏は「伝統とは綱渡りにおける平衡棒のようなものだ」と仰いましたが、歴史の英知である伝統の中で既に因習化した部分を削ぎ落としたものこそが、今現在にも通用する常識だと思います。
 かつて、よしりん先生が漫画という強力な武器を携えて思想界に殴り込んだことを指して「竹槍で戦っていた論壇村に核爆弾を持ち込んだ」と誰かが形容しましたが、重要なのは漫画が強力な武器だという点ではなく、自分の常識に照らしてオカシイと判断したら軌道修正も辞さず、正しいと思う方向へ突き進んでいくというよしりん先生の姿勢そのものが、左右のポジションに安住する言論人にとっては怖いはずなのです。
 だから言論人たちは、自分たちにとって都合の良いことを言っている間は(内心怖がりつつ)味方のフリをしておき、都合の悪いことを言いはじめたら急旋回して敵視しはじめるのでしょう。また、いつ敵になるかも判らず怖いから今のうちに叩いておきたいという心理も働くわけです。結局言論人のほとんどは付和雷同しやすい日本人そのものであり、足軽的集団主義の人なのかもしれません。
 平安から戦国までの武士のように個人として戦える人なら自分の頭で考えて発言すれば良いのですが、左右の学閥に属す学者や、左右の政党・派閥に属す政治家、左右のメディアで役割を与えられるジャーナリストや電波芸人に至るまで、多くの言論人は足軽的な頭数の人となり、自分の属してきた世間の空気に逆らうことができず、ついには考えることも放棄し、左右のポジションからの発言しかできなくなていくのでしょう。
 生きるために仕方なくやっているという面もあるのでしょうが、自分たちが世論形成に影響を与えている存在だという自覚もないまま発言されたのでは、為政者に国の行く末を誤る決定をさせ続けることになります。もちろん中には、分かっていてもニヒリズムに囚われたまま喋っている人もいるでしょうし、さらには確信犯的にやっている人もいると思いますが…。
 しかし、外交や軍事の主体を米国に握られたままの戦後70年間続いてきたレジームのままでは、イスラム原理主義によるテロの脅威にも、近隣国家による侵略の脅威にも、そして欧米とのルールをめぐる争いにも対処できず、危機は去りません。ニヒリズムに囚われたまま何も考えたくないと構える人や、見たいモノしか見たくないと言ってポーズだけ強硬な指導者に「いいね!」を押し続ける人、そして自分が生きてる間さえ安泰なら後は知ったこっちゃないと嘯く人、これらの私的空間に閉じこもる人々にも否応なく破滅は平等に訪れます。
 さて、そうであれば足軽的集団主義の言論人には最早何も期待せず、メディアに騙されないで自分の頭で考えられる個人としての庶民の覚醒を待つしかないわけです。そこで『新戦争論1』をはじめとするよしりん先生の作品群です。この救世の書籍群は、口だけで勇ましいことを言っていても結局は米国頼みという好戦ポジショナーにも、米国庇護下が前提のお花畑な反戦ポジショナーにも受け入れがたいものでしょうが、ポジションから離れて考えてみようとする庶民にとっては個人としての覚悟を問い、覚醒を迫るものだと思います。

 さて、硬派な「警世の書」についての論評から一転して「H大好き40才」ですか(笑)。「ゴー宣」の毎回のテーマ設定にも「わしズム」の編集方針にも貫かれていた、こういった振れ幅の大きさがいつもながら素晴らしいと思います。前回の邪神に辟易していた読者にとって、今回の無邪気な(?)女神のエピソードはホッとします。でもこれ、よく考えたら笑って済ますことのできない被害がある事例ですよ。10年前だったから削除すればOKでしたが、今ならSNSを介して拡散されまくり、ネット世界から永遠に消えない事態になっていたでしょう。
 ちなみに、この3人の中ではDTネット住人からの人気が一番高かったりして(笑)。
 
 ネット世界は人をより頭数の存在に近づける na85
No.57
118ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第119号 2015.2.3発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…戦後70年、戦争に関する日本の言論界そのものが硬直しきっている。「保守」は侵略戦争だろうが、対テロ戦争だろうが、どんな戦争でも「断固やるべし」と言い、「左翼」は、この世のありとあらゆる戦争に反対としか言えない。邦人人質事件に関しても、全てのケースを一緒くたにして、それぞれの陣営が好き勝手に主張している。言論を堕落させた「ポジション・トーク」の時代は終わらせるべきである! ※「ザ・神様!」…前回、大反響を呼んだ性欲魔・御宅王岡田斗司夫之命の追加報告をお届け!さらに、モクレンヒメが巻き込まれた「写真無断盗用事件」とは!?繰り返し出てくる“あるワード”に爆笑必至!世の中に蔓延るペテンに騙されるな!! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!テロ組織に全意識を奪われていて日本は大丈夫?小保方さんが刑事告発された件はどう思う?サブカルは差別されてこそ光るもの?女性にモテるにはどうしたらいい?私には愛人がいます!どこに匿えば良い!?予言者よしりん、どうしてそんなに言い当てられるの?イスラム国は今後どうなる?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第116回「ポジション・トークは『足軽の集団主義』」 2. しゃべらせてクリ!・第79回「まさかのハッピーバレンタインぶぁ~い!の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第50回「モクレンヒメが教える! ネットでの写真無断盗用の対処法」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第116回「ポジション・トークは『足軽の集団主義』」 『新戦争論1』の発売から1週間経てば、ネットの中では必ずわしへのアンチが蠢き出す。   アンチには2種類いて、極右のアンチと、極左のアンチである。  在特会や、ネトウヨや、安倍首相信者の極右が罵詈雑言を投げかけてくるが、反戦リベラル左翼も、罵詈雑言をぶつけてくる。  本の内容も読まず、理解する脳力もなく、ここ何年もずっとこの調子である。本が売れること自体を妨害したいのが、極右と極左のアンチどもだ。中には極左の工作員が、極右に成りすまして、攻撃してくるケースもある。  極右も極左も「ポジション・トーク」に堕しているから、自分の頭で考えない。 意見は自分の属する世間(ポジション)に同調しているから、右も左も紋切り型で、それぞれの陣営の統一見解に固着している。  なにしろ戦後70年、戦争に関する日本の言論界そのものが硬直しきっている。 「保守」「右翼」は好戦的! 「革新」「左翼」は反戦的!  ただこれだけなのだ!  いったん自分の立つポジションを「保守(自称)」に定めてしまったら、好戦的な意見しか言えなくなってしまう。  侵略戦争だろうが、対テロ戦争だろうが、あるいは避けようとすれば避けられる戦争だろうが、どんな戦争でも断固やるべしと言わなければならなくなってしまう。  もしも、「それは侵略戦争だから反対だ」などと言おうものなら、たちまち「左翼」と思われてしまうのだ。   わしには自称保守やネトウヨの「好戦的」な言動が理解できない。  左翼は左翼で、このポジションに立ってしまったが最後、この世のありとあらゆる戦争に反対という意見しか言えなくなってしまう。  過去の戦争も、現在の戦争も、未来の戦争も、すべてがダメだと言わなければならないのだ。  全くおかしな話である。   全ての戦争には、それぞれ異なった事情がある。   やらざるを得ない戦争もあれば、やってはならない戦争もある。  それは右とか左とか、保守とか左翼とかいう立場には関係がない。  ……たったこれだけの当たり前のことが、ポジションを決めてしまった人々には一切通用しないのだ!!  右か左かのポジションによって、かたや100%賛成、こなた100%反対、その両方の極論以外は、決して許されないということになっているのである。  極論になってしまったら、どっちの側についても必ず道を誤る。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!