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na85さん のコメント

 よしりん先生、よいしょ先生、みなぼん編集長、執筆・編集・配信ありがとうございました。

 明治期以降の日本においては、天皇はその権威ゆえ事実上国家権力を補完する役割を担わされていると思われます。立憲君主制が採用されているからには、天皇も政府もともに憲法に縛られていなければなりませんが、現実には君側の奸が政府に跋扈しがちです。そんな中、天皇はあえて進んで憲法を遵守することで、政府を壟断する者たちを牽制してこられたのだと思います。戦前も戦後も。
 戦前昭和においては、陸・海軍大臣の引き上げという手段で軍部が政府を掌握し、議会を空転させていくわけですが、そのきっかけとなる事件が天皇機関説事件だと今回初めて知ることができました。ありがとうございます。
 軍部が立法府を無視して戦争を続けていくためには、天皇が立法・行政・司法の三権を総攬するだけの「天皇機関説」より、天皇に(形だけの)主権があって軍部が行政府を掌握できる「天皇主体説」のほうが都合がよかったわけでしょう。そんな私的な目的のために「天皇陛下を機関車に例えるとは何事か!」などという難癖をつけ、天皇機関説へのネガキャンを行ったわけです。当時の軍部とは、まさに君側の奸だと言えます。また、マスコミが煽り立てて圧倒的多数の国民が支持した戦争を軍は止めることができず、立憲主義も議会政治も蔑ろにされたまま破滅的な敗戦への一本道を進んでいったわけですから、昭和天皇以外の全国民も軍部と同罪だと言って良いでしょう。
 よしりん先生が『戦争論』を書かれてしばらく後の「新ゴー宣」で、「これから揺り戻しがくるぞ」と早くも警告を出しておられました。果たして、そのような事態はやって来ました。大東亜戦争の再評価により米国への敵愾心を喚起して独立心を養おうという『戦争論』の理想の部分は抜け落ち、戦うのは怖いけど近隣諸国にだけは強く出たいから米国への依存度を強めたいという『戦争論』の思想とは真逆の習性を持ったネトウヨや自称保守が、戦争論チルドレンだと誤認されるまでに至っています。
 そういう人々に支えられた安倍政権は、今再び立憲主義と議会政治を蔑ろにし、絶望的な戦争への道をひた走っているように見えます。しかも今度は、かつての独立を守りアジア解放を目指した米英との戦争とは違って、米国の忠実な子分として他国を侵略する大儀も主体性もない戦争に加担するのです。
 政府サイドは戦前昭和と同じく絶望的な状況ですが、かつては単にイケイケどんどんでしかなかった世論が、今では「侵略戦争に加担する安保法案には反対」でも「侵略されたら戦う」という人々によるデモが行われることは、庶民サイドに希望が見出せるということです。こういう人たちこそ『戦争論』の正統な後継者だと思われます。

 さて、よいしょ先生ご紹介の著書はもはや妄想が病理レベルですね。昭和天皇以降の皇室の出産傾向と小和田家のそれとから、共産主義者が女児誕生を予想していたという件を読んだとき、心底ゾッとしました。中川八洋先生のご病状にです。このような男系固執論者のヤバさを炙り出せば、男系維持のために女性宮家を潰した安倍も同類だと気づいてくれる人は増えると思います。苦しいとは思いますが、どうか頑張ってください。

 天皇を自由にできると思い上がった逆臣はいつの時代にもいる na85
No.47
114ヶ月前
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第142号 2015.8.4発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…憲法学者の圧倒的多数が「違憲」と判断している安保法制。その見解を崩せないと見るや、今度は違憲論を唱える圧倒的多数の憲法学者の意見は、無視してもいいと主張し始めた。大多数の憲法学者の真っ当な意見を排除して憲法解釈を変更し、憲法を空洞化してしまうという蛮行は、大日本帝国憲法の下でも起きたことがある。「天皇機関説事件」である。日本は同じことを繰り返すのか?謙虚に歴史から学べ!! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!女性専用車両は男性差別?「大東亜論」で女傑スペシャルは描かないの?今のTPP交渉をどう見てる?「ネトウヨは進化している」という反論をどう思う?乳母車に乗せた子供をデモに連れ回す母親はアリ?ナシ?…等々、よしりんの回答や如何に!? ※著名なる言論人の方々の立派な御意見を思いっきり褒めそやす「御意見拝聴・よいしょでいこう!」。保守論壇の重鎮、渡部昇一・中川八洋両氏の『皇室消滅』、いよいよ本文に入ります!小泉純一郎は日本人ではない!?共産党の巨大なる陰謀によって日本は破壊される!?あな恐ろしや!!!色々な意味で背筋が凍る中川先生のご高説、心して拝聴しましょう! 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第137回「天皇機関説事件の再来」 2. しゃべらせてクリ!・第102回「沙麻代ちゃん!貧乏人に甘い顔せんでクリ!の巻〈前編〉」 3. 御意見拝聴・よいしょでいこう!・第3回「『皇室消滅』③日本は共産党に支配されていた!?」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第137回「天皇機関説事件の再来」  憲法学者の圧倒的多数が、安倍政権が成立させようとする安保法制を「違憲」と判断している事実は、もはや動かしようがない。  安倍政権は「合憲」と主張する憲法学者も普通にいるはずだとたかをくくっていたのだろう。だからこそ、ろくに調べもせずに参考人に違憲論者の長谷部恭男教授を招致するという特大オウンゴールをやらかしたわけだし、それを取り繕おうとして菅官房長官は「合憲とする憲法学者もいっぱいいらっしゃる」と発言し、実際には3人の名前しか挙げることができないという醜態をさらして、さらに傷口を広げたわけである。  ここまで来てようやく、安倍政権やその支持者である自称保守派の言論人たちは憲法学者の「違憲」の見解は覆せないということを理解したようだ。そこで今度は、違憲論を唱える圧倒的多数の憲法学者の意見は、無視してもいいと主張し始めた。  例えば拓殖大学特任教授・森本敏は、「 憲法学者の意見が憲法に関する意見のすべてではない。政治家は現実を見て憲法解釈のギリギリを行っている 」と発言している。  要するに、憲法学者の意見は憲法の条文だけを見て言っているが、それでは現実に対処できない。そこは政治家が判断すると言うのだ。  こんなのが防衛大臣をやっていたことにも呆れるが、現実を見ていようがいまいが、 今回の安保法制は「憲法解釈のギリギリ」ではなく、明らかに「逸脱」である。   現憲法では現実に対応できないというのなら、改憲しなければならないのである。  そして、「ギリギリ」か「逸脱」かを判断するのが憲法学者の役割である。   立憲主義とは憲法が国家権力を縛るものであり、その時の権力者である与党政治家の判断で憲法がどうとでも解釈できるというのなら、もう憲法に意味はない。 こんなことは、立憲主義の基本中の基本である。  ところが安倍政権やその取り巻き連中はほとんど「立憲主義」という言葉すら知らないほどの低レベルで、今や自称保守の間では「安保法制を違憲とする憲法学者たちは現実知らずだ」という言説が大流行という有様である。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!