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na85さん のコメント

 よしりん先生、木蘭先生、みなぼん編集長、今週も執筆・編集・配信、ありがとうございました。

 「歴史修正主義」とは実に便利な罵倒語ですね。強国に有利な材料だけでつくられた歴史観を他国にも強要し、そこから一歩でも外れた主張をしようものなら歴史修正主義の一言で片づけられます。この外れることを許されない史観とは、戦勝国史観・東京裁判史観・従米史観なのであり、これは永久に日本を永遠の敗戦国に封じ込めておくためにある史観だと思われます。司馬史観という継ぎ接ぎ史観は日本人に受け入れやすく若干アレンジされていますが、やはり全くの同類でしょう。

 さて、歴史のイフを言うことは詮無いことですが、日本がもし満州に留まっていた場合、対米英戦争はどうなっていたのか?を少し考えてみたいと思います。日露戦争に勝った日本は、ポーツマス条約により旅順・大連を含む関東州の港湾を租借(ロシアの南下阻止)し、南満州鉄道の権益を譲り受けることが決まりました。しかし、満鉄の経営においては米国の鉄道王ハリマンに共同経営を持ち掛けられ、これを退けると米国の資本家たちは激怒し、日米対立が顕在化してきました。元々「機会均等」「門戸開放」を唱えていた米国政府とグローバル企業群が満州権益を欲していたことは、この一事からも解ります。
 また、日本がロシアに勝ったことで米国内で黄禍論も高まっており、1930年代の大恐慌発生後は、その収束のために採られたニューディールの不足分を戦争経済で補いたいという動機があり、二次大戦勃発後(三国同盟締結後)には英国を助けて欧州戦線に加勢したいという動機もあります。ゆえに、満州国建国まででも日米戦争が不可避であった可能性は否定できず、おそらく石油禁輸やハルノートといった致命的な対日措置も採られ、真珠湾攻撃にまで行き着いたでしょう。
 しかし例えそうであっても、万里の長城を超えて支那大陸の中原に入り込んだことは、先生が仰るような道義上の問題とともに、やはり戦略的にも間違いではなかったかと考えを変えつつあります。というのも、日本・台湾・朝鮮・満洲をブロック経済圏とし、その域内で人・物・カネが活発に動けば、世界大恐慌による衝撃も軟着陸できた可能性があります。わざわざ「拓け満蒙」などと内蒙古まで進出して蒋介石を刺激したり、盧溝橋で共産党に付け入る隙を与えたりする必要はなく、通州事件も起こらなかった可能性があり、援蒋ルートも当然あり得ません。つまり、北支への侵略は軍の驕りと暴走によると言われても致し方ないと思われます。
 そして、もし米英の日満ブロックへの経済封鎖により、支那事変なき対米英戦争が起こった場合、「太平洋戦争の原因は中国への侵略だろ?」という後の世の非難は当たらないことになります。また、十分な準備の上であれば真珠湾攻撃に対米英宣戦布告も間に合い、大東亜会議が後付けだという誹りも免れ、米英仏蘭に勝っている序盤のうちに国際世論を味方につけて収束させることも、あるいは可能だったのではないかと思うわけです。
 さらに、もし西郷イズムや玄洋社の大亜細亜主義が明治政府の中に欠片ほども生きていたなら、たとえ対米英戦争に負けたとしても、戦後東アジア近隣諸国にまで恨まれて完全な世界の孤児となることはなく、アジア解放の理念や実践も全否定される事態も起こらなかったように思います。このような考えを持ったためもあり、私はよしりん先生の『大東亜論』シリーズに大いに期待しているのです。

 そんな戦前・戦中の歴史観の話から戦場の性の問題にも通じる編集後記です。「広義の股間」説と「狭義の股間」説ですか?狭義の股間は男性のみで、広義には女性およびオネェの切除型・非切除型が含まれるんですね?そして、やがて股間を連想させる一切のモノが禁止されるという「股間性」説にスライドする…と。なるほど。

 続いて、これマタ、股間に刃を突き立てる話の「ザ・神様」(笑)。日本初の女装男子がオカマを掘るとか面白すぎです。「ザ・神様」には必ずエロが必要というなら、例の「古事記ワンダーランド」でも話されたトイレで丹塗り矢を拾う話を、木蘭テイストで読みたかったですね。

 まったく何という振れ幅でしょう(笑) na85
No.45
113ヶ月前
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第143号 2015.8.11発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」という長ったらしい名称の会議が、安倍首相に報告書を提出した。14日に発表されることになっている安倍談話の下地になる歴史観をまとめた報告書である。その中では1930年代以後の日本を断罪している。特に看過できないのは「国策としてアジア解放の決断をしたことなどない」という大ウソである。結局、安倍談話は戦後レジームを完全に完成させる歴史観で貫かれるのか?? ※「ザ・神様!」…西の熊襲討伐のため九州へ向かったオウスノミコト。女物の衣装に身を包み、巨体の猛者・クマソタケルの心臓を懐剣で一突きして殺害。鮮血を全身に浴びたまま血の海のなかに立ち尽くす美貌の少年・オウスの次の獲物は…弟のタケル!なんと最古の女装男子は、最古のお○ま掘りをしていた!? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!昭和天皇「沖縄メッセージ」のご真意は?日本男児は全員戦地に行って死んで欲しい…こんな女をどう思う?漫画家は描いているキャラクターと同じ表情をしながら描いているの?SEALDsをどう思った?髪の長いプロレスラーが多いのは何故?自衛隊は大量破壊兵器まで運ばされる?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第138回「アジア解放は理念も実行もあった」 2. しゃべらせてクリ!・第103回「沙麻代ちゃん!貧乏人に甘い顔せんでクリ!の巻〈後編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第62回「ヤマトタケル物語・その3」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第138回「アジア解放は理念も実行もあった」  8月6日、「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」という長ったらしい名称の会議が、安倍首相に報告書を提出した。  戦後70年にあたり、14日に閣議決定の上で発表されることになっている安倍談話とやらの下地になる歴史観をまとめた報告書である。  これを一読して、『戦争論』以降の17年間の論戦は、一体何だったのだろうと思わざるをえなかった。   その歴史観は完全なる「司馬史観」であり、「東京裁判史観」だったのである。  まず報告書では19世紀について触れ、 「 世界最大の経済大国だった中国が、英国に、しかもアヘン戦争という極めて非道な戦争に敗北してしまった 」 結果、 「 西洋諸国を中心とする植民地化は世界を覆った 」 とする。  そしてその一方、 「 アジアにおいては、植民地化を免れようと近代化を遂げた日本が日清戦争に勝利 」 、さらに 「 日露戦争で日本が勝利したことは、ロシアの膨張を阻止したのみならず、多くの非西洋の植民地の人々を勇気づけた。のちに1960年前後に独立を果たしたアジア、アフリカのリーダーの中には、父祖から日露戦争について聞き、感激した人が多かった 」 と書いている。  アヘン戦争を 「 極めて非道な戦争 」 とまで表記し、そんな西洋列強の植民地化から免れるために日本は近代化したこと、そしてさらに日露戦争の功績も十分に認めて書いている。  ところが、昭和に入ったあたりから一変。 「 日本は、満州事変以後、大陸への侵略を拡大し 」「 世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた 」 等々、これでもかとばかりに断罪をし始め、しまいには 「 1930年代以後の日本の政府、軍の指導者の責任は誠に重いと言わざるを得ない 」 と切り捨てるのだ。  そして、戦後になるとさらに一変。 「 日本は、先の大戦への痛切な反省に基づき、20世紀前半、特に1930年代から40年代前半の姿とは全く異なる国に生まれ変わった 」 と言ってのけるのだ。  日露戦争までの日本はいい国。1930年代に入ると魔法にかかったように極悪な国になり、戦後はまた全く異なった国に生まれ変わった、というのだ!!   歴史を分断し、自分の気に食わない時代の日本を「別の国」にしてしまうのだ。歴史教科書論争の頃にも散々批判してきた「便利すぎる歴史観」が、こんなところで大手を振ってまかり通っている。 こんなこと、まともな学識者だったら主張できるはずがない。バカの歴史観と言うしかない。  さらに報告書では、満州事変以後を「侵略」と書いている。これに朝日新聞などは「侵略」と明記した!と大喜びしているのだが、実は報告書には「侵略」の語に注釈を付け、 「 複数の委員より、『侵略』と言う言葉を使用することに異議がある旨表明があった 」 として、その理由を以下のように書いている。 1.国際法上「侵略」の定義が定まっていないこと、 2.歴史的に考察しても、満州事変以後を「侵略」と断定する事に異論があること、 3.他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを「侵略」と断定することに抵抗があるからである。  左翼新聞のウェブサイトの中には、この注釈を省いて載せるという悪質なものもあった(さすがに朝日新聞デジタルには載っていた)。  この3点の理由を退けて「侵略」と表記したからには、そう判断した理由も明らかにする必要があるはずだが、それはどこにも書かれていない。  国際法上、「侵略」の定義が定まっていなかったというのは確かにその通りである。パール判決書でも、日本のいかなる戦争も国際法上「侵略」とはされていない。   だが、わしは国際法上の観点とは別に、道義上の観点が必要であると考えるようになった。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!