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na85さん のコメント

 よしりん先生、木蘭先生、みなぼん編集長、執筆・編集・配信、ありがとうございます。

 「『アラブの春』がSNSなどを駆使した『インターネット革命』だという認識もほぼ虚構である」。この一文は今回のゴー宣で最も驚いたことです。実際に「アラブの春」を先導したのがアルジャジーラなど衛星放送による扇動の結果だとすれば、日本のリベラル派が言う「ネットの普及で革命が起こり独裁政権が倒れる」「ネットの普及で国家の壁が低くなれば戦争は無くなる」などの主張は全て破綻することになります。元々自分たちも信じていなかったのだと思いますが…。
 だからかどうか判りませんが、日本のリベラル派は、とりまお手軽に学生デモを扇動し、とりま受け入れられやすい反戦感情を論拠に安保反対を唱えさせ、とりま何かやった達成感を与え、とりま以後の運動要員として確保しようとしているわけであり、それが最近日本で起こったSEALDs現象なのでしょう。こんな「とりま」だらけのくせに、切実感において比べ物にならない「アラブの春」になぞらえて若者デモを煽った知識人の罪は重いでしょう。
 さて、そのアラブ諸国の反政府運動ですが、ゴー宣でフォローしていただいた「アラブの春」の結果を見れば悲惨そのものです。これは「民主化」とやらがもたらした自由より、独裁政権による圧制の方がましだったからでしょう。民族や宗派が鋭く対立するアラブ諸国の現状は、各国から安い労働力として移民を大量に受け入れ、それにより活力を保持しようとする米国やドイツなど欧米先進諸国には絶対に解らないでしょう。いや、そもそも国境線を勝手に決めた19世紀から判る気もないのでしょう。
 ところで、世界中で暗躍するグローバル企業は、大国の政府に介入することで次第に国家を解体し、国家から自由となった企業の上層部と富裕層だけが極端に優遇される構造を作り、世界各国でセーフティ―ネットが失われて民が貧困層に落ちるわけです。FTA・EPA・NAFTA・TPPなど各種自由貿易協定は国家解体ゲームに使われる武器です。
 一人勝ちしているように見える米国やドイツとて、国民一人ひとりのレベルで見れば例外ではなく、ニューヨークでは「Occupy Wall Street」という貧困層の若者を中心とした抗議行動が起こりましたし、ドイツでも難民を受け入れすぎればネイティヴの雇用が無くなり、ネオナチや極右政党が力を増すでしょう。
 日本のSEALDsによる戦争法案反対デモでは、女子大生が「家に帰ったらご飯を作って待っているお母さんがいる幸せ(中略)仕送りしてくれたお祖母ちゃんに『ありがとう』と電話して伝える幸せ(後略)こういう毎日を守りたいんです」という見当違いな訴えをしました。これは労働者派遣法改悪やTPP妥結に反対するという反格差や反グローバリズムの文脈でこそ生きてくるものです。しかし、売国法案が次々通ってしまう背景に宗主国からの要求の存在を見据え、外交のフリーハンドを得るにはどうすれば良いかを真剣に考えていかない限り、若者のデモは成果を期待しない左翼の永久運動に飲み込まれてしまいます。
 デモ=民主主義という反知性的な間違いを犯したままでは、デモや運動の失敗を見せつけられた時に民主主義を担保する議論そのものが滅ぶ可能性があります。マスコミが政府批判を控えるようになった現代日本では、せめて市井の民が常識的な判断でもって投票行動できるようにならないといけません。そのためには、私人が消費の現場(ネットがその代表)でがなるのではなく、個人が生産の現場から語り起こす議論が普及しなければなりません。生産現場から語っていても単に私益を確保したいだけの動機から発される言葉も多いのですが…。

 さて木蘭先生、素晴らしい解説でした。「古事記」中でも難解だったヤマトタケルの火打石の件の意味がやっと解りました。風向きが自分を中心に放射状に拡がるわけですね?これでやっと草薙の剣の有難みが判りました。

 Q&Aのふぁんたんさんの質問にある「月が綺麗ですね」が「愛してる」になる件ですが、「デート2015」で長谷川博己が語っていた通り、夏目漱石が弟子たちと交わした会話が由来です。「I love you」の訳をどうするかでもめた時、直訳では直接過ぎるってことで、以心伝心が可能な日本人同士なら、二人で同じ月を見て美しいと感じるように今あなたと同じ気持ちです、としたわけです。オオカミ男が出た文節以降は先生からその回答を引き出すためのお約束みたいに感じましたよ(笑)。
 「月」というお題でdaiさんと歌を詠みあったことが思い出されます。諫議大夫さん、貴方の京都移住の要求は、na85(京都市民)の名に於いて退けます(笑)。

 みなぼんさん、そういう無意味な見栄は男の習性だと諦めてください。普段左脳を全開にしておられる先生ですから、右脳と左脳とが断線した時にふと本能行動が出るんです(多分)。

 アラブの春より京都の秋の月が有難い…と言っていられるのは今だけか… na85
No.35
110ヶ月前
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第150号 2015.10.6発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…安保法制成立前、シールズなどによる国会前デモを、多くのマスコミ・言論人が過剰に、無責任に称賛した。中にはこれを「アラブの春」になぞらえた者までいた。では、その「アラブの春」とは一体どういうもので、大きな変革を経験した国々の現状はどうなっているのか、知っているのだろうか?SNSなどを駆使した「インターネット革命」という認識も正しいのか?「アラブの春」を巡る虚構から目を反らしてはならない! ※「ザ・神様!」…一目惚れした尾張のミヤズヒメと婚約したヤマトタケルは、再会を約束し、駒を東へと進めるのでありました。山や川の荒ぶる者たちを倒し続け、次の目的地は相模国。順風満帆かと思いきや、待ち受ける絶体絶命の大ピンチ!!どうなる!? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!NHK連ドラ「あさが来た」は児童ポルノ?「積極的平和主義」って「暴力的過激主義」じゃないの?WGIPの洗脳の解き方は?共産党の「国民連合政府」は信用できる?「拷問」に遭ったらどのように切り抜ける?満月の夜は男がオオカミになる!?先場所優勝した鶴竜をどう思う?ペットを飼いたいと思ったことはある?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第146回「『アラブの春』に学ぶ若者デモの陥穽」 2. しゃべらせてクリ!・第110回「へぎゃおーっしゅ!ぽっくんの柔道一曲線ぶぁい!の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第66回「ヤマトタケル物語・その7」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第146回「『アラブの春』に学ぶ若者デモの陥穽」  安保法制成立前、シールズなどによる国会前デモを、多くのマスコミ・言論人が過剰に、無責任に称賛した。  中にはこれを「アラブの春」になぞらえた者までいた。例えば、ジャーナリストの田中龍作は、ツイッターで連日こんな煽動をしている。 昨日並みに10万人規模で20日間も国会前の占拠を続ければ、安倍政権は潰れる。タハリール広場を占拠し、ムバラク独裁政権を倒した市民革命(2011年)がそれを教える。(8月31日) 普通の人が20日間も休めるか? とのご指摘を頂いた。心配ご無用。入れ替わり立ち替わりで、国会前の占拠を続ければよいのだ。 エジプトの民はそれをやってのけた。「あれっ、今日ムハンマドさんは?」「ムハンマドだったら今日は仕事だよ」。こんな調子だった。夕方仕事が終わって来る人もいた(9月1日)  こんなことを言う連中は、そもそも「アラブの春」とはどういうもので、その結果、現在どうなっているのか知っているのだろうか? 「アラブの春」の発端は2010年12月17日、北アフリカ・チュニジアで失業中の26歳の青年が、路上で青果販売をして当局の取り締まりを受け、抗議の焼身自殺を遂げた事件だった。  …もう、この時点で日本のデモとは比較にもならない。日本で、政府への抗議のために焼身自殺するほど切羽詰まった青年が、一人でもいただろうか?  しかも、アラブにおける 「焼身自殺」 は、とてつもなく重い意味がある。  イスラム教では自殺が禁じられている。例外は聖戦(ジハード)と認識される自爆テロくらいである。  さらに、イスラムでは最後の審判の日に死者は甦ることが想定されており、甦るための身体を残すため、決して火葬をしない。まして自ら焼身するなど、考えられない。  焼身自殺はイスラムのタブーを二重に犯す、決してあってはならないことであり、その衝撃は大変なものだったのだ。  当時のチュニジアの経済は、成長率3.8%と決して悪くはなかったが、失業率は14%前後、特に若年層の失業率は25~30%程度と非常に高かった。  23年の長期にわたるベン・アリー独裁政権の腐敗に対する不満は高まり、しかも政権の後ろ盾と思われていたアメリカが、実はもう政権を見離していることをウィキリークスが暴露。国民が爆発する下地が出来上がっていたところに、焼身自殺事件は起きたのだった。  まず青年の親族が自殺現場跡の写真をフェイスブックに投稿、これを衛星放送アル・ジャジーラが取り上げ、情報は瞬く間に伝わり、政府への抗議デモが急速に全国へ広まった。  一方、政権では軍部や内部の寝返りなども重なり、青年の焼身からわずか1カ月足らずでベン・アリー大統領は国外逃亡し、政権は崩壊。これはチュニジアの国花にちなんで「ジャスミン革命」と呼ばれた。  盤石と思われていた長期独裁政権があえなく崩壊した「ジャスミン革命」の衝撃は、たちまちアラブ各国に広がり「アラブの春」といわれる未曾有の政治変動が巻き起こった。  エジプトでは「ジャスミン革命」のわずか1カ月後、大規模な反政府デモに圧される形で30年に及んだムバラク大統領の独裁政権が崩壊した。  リビアでは政権が反政府デモを弾圧、これに対してNATOが介入し、42年に及んだカダフィ独裁政権は崩壊、カダフィは殺害された。  イエメンでは政権と反体制勢力の対立が激化・長期化し、アラブ連盟の介入によりサレハ大統領が退任、33年に及んだ独裁政権に幕を下ろした。  シリアでは、政府軍と反政府派の武力衝突になる。だが、2代44年に及ぶアサド独裁政権は崩壊していない。   他にも「アラブの春」の影響は中東のほぼ全域に及んだが、上記の国以外は今のところ既存の政治体制そのものにまで大変革を及ぼすことはなく、沈静化している。  では、「アラブの春」で特に大きな変革を経験したチュニジア、エジプト、リビア、イエメン、シリアの5か国が現在どうなっているのかを見てみよう。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!