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【第272号】磯野家の謎解き
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【第272号】磯野家の謎解き

2020-01-15 07:00
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    山田玲司のヤングサンデー 第272号 2020/1/15

    磯野家の謎解き

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    【九州とは何か?】


    今週のヤンサンは「九州での初イベント」に行ってまいりました。


    せっかくの「九州初イベント」なので、九州出身の作家やミュージシャンの考察から「九州とは何か?」というテーマを掘り下げようという話になりまして・・


    とはいえ僕は鹿児島県にしか行った事がなかったので、九州を語ろうにも「勝手な思い込み」が入るに決まってます。



    『これは下手すると自分の中の「妄想の九州像」を、九州の人達の前で偉そうに語る変な人になってしまうかも!』


    なんて思ってたんですが、考えてみれば目の前に九州のみなさんがいるので、遠慮なく「これ合ってます?」とか聞けばいいわけで・・


    逆にやりやすいじゃん!!


    と覚悟を決めて「なぜ九州は美輪明宏と松田聖子を生み出したのか?」とか「九州にはなぜ『ボス』が多いのか?」とか「イケメンデフォルト(フミヤと福山)の発生」とか「銀河鉄道999は『博多初』だった」とか「こんな九州弁で口説かれたい(byしみちゃん)」などなど、色々話しました。


    (この模様は今週のヤンサンでお届けします)




    その中で「サザエさんからクッキングパパへ」というくだりがありまして。


    九州出身の長谷川町子さんが生んだ「サザエさんのお父さんは九州男児だろう」とか語ってまして。


    サザエさんに関しては昔のヤンサンで少し語った事もあるし、この手の分析は昔から多くの人がやっていたので、今更かとは思うのですが、今回それをふまえつつ、あえてこの話をしたいと思います。



    【九州男児波平】


    サザエさんは「昭和の普通の家庭」みたいに思われがちですが、なかなか個性的な家族に思える。


    『封建的なお父さん(波平)と上手くやりつつ、従順な夫(マスオ)と結婚し、実家で暮らすサザエさん』

    この家族像は、苦労が多かった戦争前後の時代の「女性の夢」だったのではないかと思える。


    そんな磯野家は、封建的な男を立てながら実は全てを女が操っているように見える。


    この辺の真相は長谷川町子さん本人のエッセイなどを読むと作者自身がどう考えていたかを知る事ができるのだけど「本当は女が主役の磯野家」という説は、そんなに外れてはいないと思う。


    しかもサザエさん母子は「頑固で威張ってる男」を笑いつつも、敬愛してもいて、実にバランスがとれている。



    【頑固男の取り扱いマニュアル】


    「サザエさん」を九州における「男の取り扱い方法の書」という目線で見ると「サザエさん」はもう名前からして面白い。


    頑固な「波平さん」は「波」と「平」という名前。

    「感情的な波」はあるけど「平和」に暮らす、という意味にもとれる。


    感情的になるけど家庭を捨てたりはしない波平。


    そしてその妻は「フネ」


    他のキャラが海の生き物なのに「舟」なのは、旦那の「波」に逆らわずに「波に乗っていく舟」という事だろう。


    この辺り、長谷川町子先生が計算してつけたとしたら凄い。



    サザエさんの夫が「マスオ」なのも興味深い。

    マスは川魚。海の魚ではない。川は海より穏やかだ。


    父親より穏やかな男を選んだ方が良いと、名前で示してるのだろうか?


    この調子で深読みすると「サザエ」という生き物は「トゲ付きの殻」で自分を守っている。


    殻とは何だ?「実家」なのか?!!


    ワカメは波に逆らわずに漂い、回遊魚のカツオはいずれ外の世界に出て、どこかの女に「一本釣り」されるのだろうか?


    うーーん・・勝手な読みが止まらない・・



    【九州男児の変化】


    サザエさんに限らず、九州はイタリアと同じ「母権社会」で、そのたくましい「母」によって支えられてきたのは明らかだろう。


    確かに女性は強いかもしれないけど、弱い女もいるだろうし、男に愛想を尽かす女性もいると思う。


    実際、長谷川町子さんは男に何かを期待せず、独身のまま漫画家を続けた。

    昔ながらの「波平男」は見限られ、サザエさんは「マスオ」を選び、時代は松田聖子に見られる「自由な女の時代」になっていく。


    「このまま九州男児は滅ぶのか?」と思いきや、今度は九州男児のうえやまとち先生の「クッキングパパ」が登場した。

     
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