切り株トレイ、とろーり甘酒、さらにハチの過労死はハエが救う? 先週東京ビックサイトで開催された農と食の技術展覧会「アグリビジネス創出フェア」。会場には未来のヒントがあふれていました。そんな中から私たちが見つけた3つの技術を紹介しようと思います。どれも今は活かされずに放られている「未利用資源」を活用しているのが特徴です。
切り株からトレイ
森林の手入れで切られる間伐材。上の方は柱などとして活用されますが、地面に近いほうは利用価値が低く林地残材と呼ばれる厄介者です。そんな厄介者を薄くスライスし、プレスしてトレイにするという技術が森林総合研究所によって開発されました。リンク先の動画でプレスしている様子が見られます。こちらがそのトレイ。会場でいただいたものです。
一口にプレスと言いますが、適当にやったってばきばきに割れるだけです。水分量や温度などをきちんとコントロールして初めて実現できたそうです。ほんのり木の香りもあってただのトレイにしておくにはもったいないくらいです。
道の駅やサービスエリアの屋台もの(焼きそばとか)のトレイに使って人の目に止まるようにして、しかもそこで買えるようにしとけば、今からキャンプやバーベキュー行く人が地球に優しい使い捨て食器として購入してくださるんじゃないでしょうか。
飼料米からとろーり甘酒
飼料米なんて食えるのか??と思うかもしれませんが、ほんとは「新規需要米」と言って使い道は飼料だけではありません。実は普通のコメよりタンパクや脂質が豊富で栄養満点です。ただ普通のコメのように炊いて食べようとするとおいしくないそうです。でも田植えせずにモミを直播きできるなど普通のコメより簡単に育てられるので、耕作放置されたたんぼを復活させることができます。
そんな新規需要米にこれはおいしい!!!という食べ方ができたのです。コメを水と混ぜて粉砕したライススラリーです。筑波大学などの研究で開発されました。見た目はとろーり濃厚なホイップする前の生クリームのような感じです。これにミルクとオリゴ糖で味を整えたものを頂きました。
おいしい!!! 思わずおかわりしました。オリゴ糖の甘みと一緒にお米の甘みと香り。味は甘酒に似ています。冷やした甘酒はすっきりしたのどごしが特徴ですが、こっちは飲むヨーグルトみたいなとろーりとろとろ。展示会を歩き回って疲れた体にゆっくりしみわたり、元気復活です。勝手にとろーり甘酒と呼ばせていただきます。他にもソフトクリームやアイスクリームなど試されているそうですが、ほかにもいろいろできそうです。
ライススラリーはいわば原料です。ここからどんな商品が生まれてくるのか楽しみです。大当たりしたら、飼料米だったのに家畜に食べさせている場合じゃないなんてことになるかもしれないですね。
過剰労働のハチを大量死から救え! ビー・フライ
最近受粉用のハチが大量死なんてニュースを耳にしませんか。原因はまだ良く分かっていないようですが、ハチにとって過酷な労働条件なのでしょう。早く解明されてほしいものです。
その一方で受粉するハエがジャパン・マゴット・カンパニー社によって開発されました。名前はビー・フライ。蜂蠅ですね。ビー・フライはさなぎの状態でハウスに届きます。ハウスの中で次々と羽化してせっせと受粉を始めます。もともとマンゴーでは天然のハエが受粉しているそうですよ。
そしてここがポイントなのですが花のミツだけでは繁殖できないそうで、ビー・フライは受粉に働いた後、一週間程で子供を残すことなく天寿を全うします。繁殖して近所がハエだらけなんてことにはなりません。しかも活動できる温度帯がハチよりも広いなど、この技術がきちんと確立すればハチより利用しやすいのではないでしょうか。
使われているハエはキンバエの一種でありふれたもののようです。え、じゃあ汚いじゃん!と思うかもしれませんが、きれいな環境で飼育された、いわゆる「箱入りハエ」です。
地元の技術を検索してみてね!
いかがでしたでしょうか。今こうやって、日本中の未利用資源について日々その活用方法が開発されています。日本中宝の山になりそうです。また今回は未利用資源という視点で紹介しましたが、会場にはそれ以外にもたくさんの技術が紹介されていました。検索して地元にどんな技術があるのか調べてみるととても楽しいと思います。なにか手持ちの技術や資源と組み合わせれば新しい名産が生まれるかも?
ちなみに私が活動している未利用資源事業化研究会では、フルーツガーリックというフルーツのような食感のガーリックを紹介していました。スペインの有名レストランのシェフ達が試食したとたん、使い出す魔法のような食材なんですよ!
併せてどうぞ
・【未利研の未利コン、瀬戸内の美しい離島弓削島で合宿しました】来週末いよいよ最終審査会の未利研の未利コン。その合宿の様子です。
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