農民であり、作家としても活躍する佐藤藤三郎さんは現在77歳。山形県山元村(現上山市)で育った佐藤さんは「山びこ学校」の舞台である山元中学校の卒業生であり、無着成恭氏の教え子の一人です。今回は山形の家にお邪魔し、新著「ずぶん(自分)のあだま(頭)で考えろ─私が『山びこ学校」で学んだこと」(本の泉社)に込められた思いや、現在の教育現場の問題について話を伺いました。

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─今回、佐藤さんが『ずぶん(自分)のあだま(頭)で考えろ』(本の泉社)を書いたきっかけは?

佐藤:この本は2004年4月から「毎日新聞」山形版に連載していたコラムの中で、特に教育をテーマに抽出して編集された本です。
そもそも連載を始めたのは、ある取材がきっかけでした。「山びこ学校」(1951年青銅社より刊行)が出版されて間もない頃、三重県四日市の生糸工場で女工として働いていた方々が生活を記録しながら学習する活動をしていたそうです。彼女たちが以降も毎年交流を重ねているとのことで、取材をしに行きました。そこで一緒だったのが、毎日新聞で記者をしていた石塚孝志さんという方でした。
しばらくすると、彼は山形支局の次長として赴任され、私のところを訪ねて一緒に酒を飲みました。おしゃべりを交わしているうちに、毎日新聞の山形県版に何か書かないかと言われ、即座に「私の山びこ学校」というタイトルでと提案されました。

ー酒飲みの席から即興でタイトルが決定し、7年間もの連載が始まったのですね。

佐藤:もともとは半年ぐらいの連載にしようという約束でした。でも、読者からの反応がよかったみたいでやめなくてよくなったみたいです(笑)「待ち遠しい」なんてお世辞のお手紙もいただいてね。あっという間に7年の歳月が流れ、ちょうど300回を迎えたところで幕を閉じることになりました。

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ー「山びこ学校」の時代と比べて、教育現場は相当な変化がありそうですね。いじめや自殺、教師のセクハラ事件など、教育現場の事件は後を断ちません。


佐藤:今の学校教育について「おかしい」と思うことがあります。近年おこっている問題の根本には「教育の自由」がなく、押しつけられた「不自由さ」があるのだと思います。
そもそも明治5(1872)年にはじまる日本の「学校教育」は、