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UFC残留が決定した佐々木憂流迦インタビュー。リリース濃厚とされていた裏側には何があったのか?



UFCとの契約を更新したことが判明した日本人UFCファイター佐々木憂流迦。UFCは新体制移行後、膨れ上がった選手数を抑えるために、たとえ勝ち越しても再契約のオファーが選手のもとに届かないケースが珍しくなくなっている。
 そんな中、佐々木憂流迦はUFC通算2勝3敗と負け越し。バンタム級で1勝2敗、その後はフライ級に転向して1勝1敗。現在の“UFC基準”であれば残留が厳しい戦績だ。
  負け越し更新の裏側には何があったのか――。佐々木憂流迦は契約最終試合のウィルソン・ヘイス戦では判定負けを喫したが、ランキング5位(ウィルソンは王者デメトリアス・ジョンソンへの挑戦が決定)の相手に最終ラウンドには、あわや一本勝ちまで追い詰めたこと、そしてフライ級ファイターの将来性を買われての再契約となった。
 もうひとつ強運にも恵まれた。本来ならば、昨年11月のブラジル大会でマテウス・ニコラウ(ランキング11位)と対戦予定だったが、試合直前ギリギリにマテウスに禁止薬物陽性反応が発覚し、試合が消滅。UFCから代替選手が用意されたが、熟考の末にブラジル大会の出場をキャンセル。すると、3ヵ月後の2月大会でランキング5位のウィルソン・ヘイス戦が用意された。目の前の試合をガマンしたことが功を奏した。もしマテウスに陽性反応が出なかったら、あのまま代替選手のオファーを受諾していたら、ヘイス戦の最終ラウンドを取らなかったら……選択のセンス、強運、実力でもぎ取った契約更新とも言えるかもしれない。
 佐々木憂流迦は今後はニューヨークに移住。アンデウソン・シウバ、ヘンゾ・グレイしー、ハイアン・グレーシー、ヒカルド・アルメイダなど有名選手の元コーチが専属トレーナーとして付き、ジム全体でバックアップ体制が取られての再出発となる。それでは本人の話を聞いてみよう。

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ニューヨークの佐々木憂流迦 ©OnTheRoad Management


――UFC契約更新おめでとうございます!

憂流迦 ありがとうございます。いやあ、奇跡ですね!(笑)。

――奇跡ですか!!

憂流迦 ホントですよ。2勝3敗なのにUFCが評価してくれたのはありがたいですよね。ファイトマネーも上がったんですよ、負けてるのに(笑)。

――なんと!

憂流迦 信じらないですよね。それで次の試合も決まりそうなんですよ。たぶん6月くらいになるんじゃないかなあと。

――6月というとシンガポールっぽいですね。憂流迦選手をマネジメントのシュウ・ヒラタさんはかなりのやり手ですけど、いったいどうやったんですかね(笑)。

憂流迦 俺もわからないです(笑)。

――壮大なドッキリかもしれないですよ(笑)。判定負けとなったウィルソン・ヘイス戦で契約満了となりましたが、試合直後はどうなると思ってたんですか?

憂流迦 2勝3敗だし、負けたから再契約はないなと。判定のコールされてるときに「ああ、終わったな……」って。

――普通に考えたら再契約はないと思いますよねぇ。

憂流迦 しかもいまのUFCの状況を考えたら再契約は難しいじゃないですか。

――いまは勝ち越してもリリースされたり、ランカーがFAしても熱心には引き止めないですもんね。堀口(恭司)選手のフリーエージェントにはビックリしたんじゃないですか?

憂流迦 そりゃあビックリしましたよ。またタイトルショットを狙える位置にいましたから「ウソだろ!?」って。ニュースを読んでUFCのランキングを見たら、もう名前が消えてるから、仕事が早いなあって。

――UFCと契約更新できなかった場合、憂流迦選手はどうするつもりだったんですか?

憂流迦 シュウさんには「一番早くUFCに戻れる道筋を作ってほしい」とお願いはしていたんですけど。

――あくまでUFCに拘ると。新体制になってからUFCは方向性が変わったという声がよく聞かれますよね。

憂流迦 周りやネットでもそう言われてますけど、実力主義は変わってないんじゃないかと思うんですよね。やっぱりUFCがナンバーワンだし、そこでチャンピオンになれば一番だって言えますから、そこは間違いないと思うんです。それでシュウさんが「一度UFCと話をしてみるから」と。そうしたらUFCから「ちょっと待ってほしい」という連絡があって。

――ほほう。

憂流迦 リリースされると思ってましたから、「ちょっと待ってほしい」ということはどういうことなんだろうな?って思うじゃないですか。

――一縷の望みがあるんじゃないか……と思っちゃいますよねぇ。

憂流迦 そうしたら奇跡が起きた(笑)。

――ハハハハハハ。

憂流迦 これはボクの力じゃないですね。これって去年から始まってるんですよ。まずランカーのアリ・(バガウティノフ)とのオファーを受けたんですけど、結局流れて11月のブラジル大会でマテウス(・ニコラウ)に決まって。そのマテウスが直前でドーピングで引っかかって、代替選手が用意されたんですけど、UFCに「ランカーとやるためにブラジルに行くのに……」ということで断ったんです。そうしたらランキング4位のウイルソン戦のオファーがあって。

――マテウスがドーピングアウトになったのは試合直前ですよね。試合に向けてトレーニングしてきた選手からすれば、代替選手との試合に飛びついてもおかしくないですが……。

憂流迦 UFCから来たオファーをすべて受けるだけじゃダメなんだなって思います。とくに日本人選手は受けちゃうかもしれないですね、「断ったらいけないんじゃないか……」って。ボクもあそこでランカーでもない代替選手とやったら、今回契約更新できなかったかもしれないです。

――危なかったですねぇ。

憂流迦 そこはシュウさんと、いまのコーチの話し合いで決められたので。ボクがすべての判断をしてるわけではないんですけどね。

――もし自分だけの判断するとしたら……。

憂流迦 それは難しいなあ。まず自分だけで判断はしないですからね(笑)。そこはメチャクチャ信頼してるのでホントに。やっぱりマネジメントはプロフェッショナルな人に任せたほうがいいとは思うんですよね。

――憂流迦選手が判断するのは“誰に任せるのか”ということですね。

憂流迦 チョイス能力の問題が大きいと思いますよ。これから出てくる若い子たちは、そこを知っておかないと、ホントにかわいそうなことになりますよ。



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