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石岡沙織、10年目の大舞台「女子格闘技に転機が訪れてますけど、私にとっても転機を迎えました」
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石岡沙織、10年目の大舞台「女子格闘技に転機が訪れてますけど、私にとっても転機を迎えました」

2017-04-01 00:00
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    4月16日のRIZIN横浜アリーナ大会に出場する女子格闘家・石岡沙織。夫で禅道会・長野支部長の青木隆明と共に指導している道場は、長野駅前から位置している。雑居ビルの1階に構える道場は昨年9月に開設されたばかりだが、それまでは各地の公共施設を曜日ごとに巡回指導が行われていた。道場が固定された現在でも巡回が続けられているのは、子供たちは学区内しか通わない理由があるからだという。場所が変われば格闘技のあり方も変わる。石岡沙織がプロデビューしたのはいまから10年前のことだったが、時代の流れと共に格闘技も変わってきている。女子格闘技はどう変わってきたのか、どう変わるのか。10年目にして初めてメジャーイベントの出場の機会が訪れた石岡沙織に話を聞いた。





    ――禅道会長野支部の常設道場は昨年9月にできたそうですね。

    石岡 はい、まだできたばっかなんです。

    ――場所は長野駅から徒歩圏内とアクセスしやいですが、道場設立以前はどうやって指導していたんですか?

    石岡 各地の公共施設を借りて指導してたんです。曜日ごとに巡回するかたちですね。

    ――自分たちの道場ができたことで、いまは落ち着いて指導できてるんですね。

    石岡 いや、いまでも施設は回ってるんですよ。大人は車があるからここまで来られますけど、子供たちは歩いて来れる学区内だけになっちゃうんで。

    ――あー、なるほど。学区外になると、親御さんの送り迎えが必要になっちゃいますもんね。

    石岡 でも、道場ができてホントよかったです。やっぱり暖かいですから。

    ――暖かい?

    石岡 長野県、寒いんですよ(笑)。室内はマイナスみたいな。

    ――たしかに今日も寒いですけど、暖房をつければいいような……。

    石岡 いや、公共施設でジェットヒーターとか使っちゃダメなんですよね。なのでホントに寒い。

    ――暖房器具を使っちゃいけないルールがあるんですか?

    石岡 ダメなんです。昔、火事になったことがあったんじゃないですかね。小学校の体育館で何かあったりすると、私たちじゃなくて教頭先生の責任になってしまうみたいで。だから使えないんです。

    ――なるほど。いまの道場は暖かいし、最高なんですね(笑)。

    石岡 ホントに嬉しいです!(笑)。寒いと減量も大変ですからね。いまは冬でも汗をかけるから。

    ――環境が整ったところでRIZINの出場も決まりまして。

    石岡 はい。こんなお話をいただいて、ありがたいです、本当に。

    ――石岡さんはキャリア10年目ですけど、日本ではいまほど女子格闘技が脚光を浴びている時期はないですよね。

    石岡 そうですね。RIZINがあるというだけで、選手のモチベーションが全然違ってますよね。

    ――以前はメジャーの舞台はなかったわけですけど、その状況はどう捉えていたんですか?

    石岡 当時はただ強くなりたいということしか考えてないですね。目の前の試合に勝つ。もちろんタイトルとかも目指してましたけど、自分自身が強くなりたかったし、女子の格闘技がもっと大きくなればいいのになとは思ってました。

    ――石岡さんをはじめ若い選手がけっこういたことで、ブレイクの兆しがありましたね。

    石岡 もう29歳ですし、中堅になっちゃいましたけどね(笑)。あの頃はビーチバレーで浅尾美和さんが出てきて。それまではビーチバレーの存在はあまり知られてなかったのに、浅尾美和さんがひとり出ただけでみんながビーチバレーのことを知ったんですよ。長野美香さんや私に女子格闘技でそういう役割をやってほしいという感じだったんですよね。ただ、勝たなきゃいけない世界なので、勝ちきれなかったりして、なかなかうまくいかなくて。

    ――ジャンルのステージを上げるって、テレビのバックアップがないと厳しい面もありますよね。

    石岡 それをいまRENA選手をやってくれたので。RENA選手がシュートボクシングの試合でテレビに出ていたら、ここまで女子のMMAは注目されてなかったと思うんですね。だからMMAをやってくれたことに関しては感謝しかないですね。

    ――今回のRIZINも女子は4枠もありますね。GPも始まるともっと増えてもおかしくないです。

    石岡 UFCではロンダ・ラウジー選手が活躍したり、インヴィクタという女子だけのイベントがあったり。韓国でも女子選手だけのイベントが最近あったので、確実にそういう流れがあると思いますので。階級も増えてきてますし……。

    ――注目が集まるならMMAをやってみたいと思う選手も増えてくるでしょうね。

    石岡 やっぱり女子なので、見られたり注目されるのも嬉しいと思います。けっこう大変なことをやってるいう自負があったというか、犠牲にしてるものが大きい中で。

    ――犠牲ですか?

    石岡 髪の毛をきれいに伸ばせなかったり、化粧ができないときもあったり、爪を伸ばせないとか、殴られたら顔にアザだってできますし。

    ――男子は勲章になりますけど、女子は……。

    石岡 難しいですよね。いまは髪を編んだり、みんなキレイにやってますけど。自分があまり気にしなかったのかな?(苦笑)。

    ――女子は途中でやめていく選手も多かったですよね。DEEPのチャンピオンだったMIKU選手も突然引退したり。

    石岡 ああ、MIKU選手は、その上が見えないからという感じでしたよね。

    ――RENA選手もRIZINでMMAでやってなかったら、引退してたそうですね。

    石岡 もう倒すべき選手はいないですもんね。神村エリカ選手といいライバル関係でしたけど。それに女性っていろんなタイミングで立場が変わっていくじゃないですか。とくに結婚、出産なんですけど。

    ――そこで区切りをつけやすい。

    石岡 男性の場合は結婚したから格闘技をやめるかといえば、そういうわけじゃないですよね。格闘技を仕事にする人もいますし、子供ができたら余計に頑張ろうと思う人もいるじゃないですか。

    ――石岡さんはやめ時みたいなものを考えていたんですか?

    石岡 19歳のときは25歳でやめると決めてましたね。25歳で結婚して子供を産んで……っていう。

    ――25歳定年制だった全女は正しいのか(笑)。結婚・出産がひとつを区切りにしてたんですね、

    石岡 19歳のときになんとなくそういう風に考えてましたね……29歳になったいまでも、やってますけど(笑)。

    ――結婚・出産以外でやめようと思ったことがありますか?

    石岡 けっこうあります。私は目の前の試合に全力投球するタイプなので。「この試合にすべてを懸ける!」という姿勢なので、そこで負けると燃え尽きるし。だからちょくちょく休んでいたり……。

    ――格闘技をやることで一番大変だったことはなんですか?

    石岡 なんだろ……? 金銭面ですかね。

    ――ストレートですね(笑)。

    石岡 ハハハハハ。バイトして練習してバイトして……というサイクルがけっこうキツかったです。


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