RIZIN横浜大会でアンソニー・バーチャックに判定勝利を収め、連敗を3で止めた川尻達也インタビュー。20代前半のファイターが増えているRIZINの中でベテランが見せたい背中とは?(聞き手/ジャン斉藤)
「この歳になって佐藤ルミナさんの偉大さがよくわかります」
――昨日はおつかれさまでした!
――川尻さんに会いに来ました。
川尻 ハッハッハッハッ。
――試合翌日ということもあって、さすがに疲れた顔していますね。川尻さん、見るからに疲れ果ててますよ。
川尻 疲れてないですよ。
――そうですか。じゃあ老けたんですかね(笑)。
――そうですよねぇ。
川尻 なんかね、歳なんですかね。試合が終わっても勝っていれば元気だったんですけど、勝っても全身が痛くて痛くて。しかも昨晩は眠れましたから。いつもは試合が終わった日は興奮して寝られないですけど、昨日は寝ちゃいました。……やっぱり老化じゃないですかね(笑)。
――それでも老体に鞭を打つというか、先ほどの一夜明け会見では「川ちゃん勝手にひとりでサバイバルトーナメント」の開催をぶち上げて、7月のRIZIN出場をアピールされてましたね。今年の大晦日が決勝戦みたいですけど(笑)。
川尻 いきなりバンタム級GPの開催が発表されたじゃないですか。だったら勝手にやっちゃうしかないなって。
――バンタム級GP開催の話は事前に聞いてなかったんですか?
川尻 聞いてなかったですね。
――じゃあ、「川ちゃん勝手にひとりでサバイバルトーナメント」のプランはその場の思いつきだったんですか(笑)。
川尻 そうですよぉ! フェザー級もしくはクロン・グレイシーの階級でGPをやるという話があったじゃないですか。それだったら俺も出られるかなって。
――本来はそういう話でしたよね。来年はフライ級GPで。
川尻 でも、バンタム級と聞いて「これはどうにしかしなきゃいけない」ってことで……。
――それで「川ちゃん勝手にひとりでサバイバルトーナメント」開催(笑)。
川尻 3連敗で止まりましたし、勢いに乗ってやっていきたいですよね(笑)。
――UFCから数えて3連敗という現実はかなりの重みが……。
川尻 いやあ……デカかったですねぇ、3連敗。ボク、修斗のデビュー戦で無残に負けて、ホントにもう誰にも相手にされないような負け方で。それでも悔しいから頑張って、それから1年後に自分の中では再デビューというかたちでまた戦い始めて。そこからトントン拍子で来たんですけど、大晦日に負けて3連敗となったときは、なんか魔法が解けたような……。いままでかかっていた自分の魔法が解けて、デビュー戦のときに戻ってしまったような感覚に陥ってて。「あの頃の自分に戻ったんじゃないか、もう勝てないんじゃないか……」って凄く不安で。
――川尻さんって大型連敗はないですよね。
川尻 ないですね。連敗自体がなかったです。
――それでこの歳で3連敗したら、自分自身を疑っちゃいますねぇ。
川尻 いやもう完全に疑っちゃいましたねぇ。勝てるイメージが湧かなかったし、自分が上がってるのか下がってるのかすらわからないし、かなり不安でナイーブだったんです。
――今回勝つことで重荷は取れたんですか。
川尻 そうですね。憑き物が取れたというかスッキリして。これからはまた調子に乗って自惚れていこうと思ったんですけど、バンタム級GPと聞かされてたんで「……あれ?」って(笑)。
――クロン・グレイシーをGPに担ぎ出すのがいろいろと難しいみたいですね。だからってクロンがほかの団体に行くというわけではなさそうですけど。