Dropkick
ダニエル・コーミエ「何が悲しいって、ジョーンズには本当に薬物などやる必要があったとは思えないということなんだ」
Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは……ジョン・ジョーンズvsダニエル・コーミエ、悲しい結末!!
『UFC 214:コーミエ vs. ジョーンズ2』の試合前にUFCが制作した公式トレイラー『Tame Your Demons(悪魔を飼い慣らせ)』は、ジョーンズとコーミエのただならぬライバル関係を、両者のモノローグを軸に描き出し、すさまじい戦いの予感に満ちた名作だった。そこでは、まずジョーンズがこれまでにオクタゴン外で繰り返してきた失敗の記録をコラージュ映像で描写した後、ジョーンズが積年の恨みを絞り出すかのように、次のように語るシーンを映し出していた。
「コーミエは、自分はいい人間、ジョンは悪い人間だという物語に取り付かれている。コーミエは、僕にはもっと辱めが必要だと考えている。僕はもう、自分の生き方を邪魔されるのにウンザリだ。この試合には勝つ。そして自分の人生を取り戻す」
これに対してコーミエは次のように語っている。
「パーティ、ドラッグ、アルコール。自分自身であるために、彼にはそうしたものが必要だったんだろう。彼は悪魔に魅入られている。悪魔に乗っ取られていることを自分で認めない限り、克服などできないんだよ。彼は、自分がアピールしているような人間になることができるかもしれない。ただそのためには、彼は今回、私に負ける必要がある」
自らがオクタゴン外で重ねてきた交通事故や薬物検査失格などの禍(わざわい)を、あたかもコーミエのせいであるかのように語り、コーミエを倒せば全てが解決すると言わんばかりのジョーンズの言い分は、幼くてナイーブで、だからこそ逆に、ある意味とても真剣なものに見えた。そして、もしそれがジョーンズの本心であるならば、ジョーンズは再び間違いを犯すに違いないということを強く感じさせた。コーミエが言うとおり、ジョーンズは一度負けることで、自分の世界を壊してしまう必要があるのではないか、敗戦を経て、そこから再生するしかないのではないかという祈りのような気持ちすら、抱かせたのだ。
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